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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第六章 レンドベル闘技大会編
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向き合うべく罪


戦闘描写が難しい…。


それではどうぞ!


戦慄する街中…。

その中で俺とスノウが変化した《ブラックナイト》がエンゼッターとレイピアをぶつけ合っていた。


先程から感じている違和感…。

この《ブラックナイト》の剣術…荒々しさを感じるも受けた事のある感覚がある。


そう…使っている技能(スキル)と微かな剣術…全て、スノウのモノだった。

相手の防御出来にくい死角を確実に狙ってくる戦法など特にな。


「クソッ…!」


近距離戦闘で奴に勝てる確率は低い…。それなら…!


「《俊足》!」


《俊足》の発動と同時にブレッターを連射する。

スピードが向上した事で《ブラックナイト》から距離を取る戦法に変えた…。


奴の周りをグルグル、回りながらブレッターを連射していき、放たれ続ける銃弾が《ブラックナイト》を襲う。


しかし、奴は落ち着いた表情で四方八方から襲いかかる銃弾を一弾ずつ、レイピアで撃ち落としていく。


『ウオオオオオッ‼︎』


暫く撃ち落とすと雄叫びを上げ、大きく跳躍した。

そして、降下してきた場所は…。


「ッ…⁉︎」


《俊足》で足のスピードを上げているはずの俺の下だった。

奴は俺のスピードを捉え、飛びついてきた。


防御が遅れ、俺はレイピアにより、突き飛ばされ、民家に激突する。

それにより、民家は崩壊…《俊足》も解除された。


「おいおい…どうするんだよ、この家?誰が弁償するんだよ…?」


『グオオオオオッ‼︎』


知った事かと言わんばかりの雄叫びを上げ、またもや奴は突っ込んできた。

それを横に転がり、回避した俺はブレッターから銃弾を数発放つ。


しかし、その銃弾も全て奴に弾かれる。

…これにより俺は判断した。

奴に銃は無意味だと…。


「降参だ。…もう遠距離攻撃なんて、小癪な真似はやめる…。だから…!」


《ウイング》を発動し、俺は上空に浮く。


「空から真っ向に勝負させて貰うぜ!」


急降下し、《ブラックナイト》に接近し、エンゼッターを振るう。

それをレイピアで防がれるが、負けじとエンゼッターをぶつけていく。


金属音が町中に響き渡り、鳴り止む気配がない。

それでも手を止めるつもりはなかった。


…少しでも手を緩めれば、負ける…!

それに、また迷いが生まれちまうからな…!


暫くぶつけ合った俺達は顔の前でぶつけ合って止める。

ギチギチ、とエンゼッターとレイピアが音を立てる中、俺達は至近距離で睨み合っていた。


「やるな、スノウ…! こんな形でタイマン勝負する事になったのは残念だったがな…!」


声をかけても返答が返ってくる事はない。

そんな事はわかっている…。それでも声を掛けないといけない。

勝負の結果がどうなったとしても…スノウと話せるのは《《今回》》が最後なのだから…。


「そう言えば、この街に来る前にお前に聞いたよな? どうしてソロで冒険者をやっていたのか、って…。今、考えてみてみると…確かにお前の言う通りなのかも知れないな…」


睨み付けてくる《ブラックナイト》とスノウの顔を照らし合わせ、少しニヤリ、と微笑んだ…。




話はレンドベルへ向かっている時に遡る…。

この街に向かう馬車の中で俺はある事をスノウに尋ねていた…。


「なぁ、スノウ。聞きたい事があるんだが…」


「何だい?」


「嫌…どうしてお前はパーティを組まず、ソロでいるのかと思ってな」


確かにソロならば、貰える経験値を割り振られる必要はない。

だが、その分、大量の敵がいたとしても一人で戦わなければならないというリスクを背負う事になる。


最近の冒険者は少なくとも、タッグまでは組んでいるはずだ…。

だが、彼は名を上げているはずが、ずっと一人で冒険者を続けていると聞く。


俺の問いにスノウは俯く。

しまった…答えたくない事か…?


「あ…悪い。答えたくない…よな?」


「いいや、構わないよ」


目を閉じ、少し落ち着くと彼は語り始める。


「僕も冒険者に成り立ての頃は親友とコンビを組んでいたんだ」


コンビ…? スノウが…?


「その時は最強のコンビ冒険者とまで言われていたぐらいだよ。…でも、その親友はある事故で死んだ」


「ある事故…?」


「嫌…殺されたんだ」


親友が殺された…⁉︎

衝撃的な真実に俺やメリル達は驚く。


「殺した犯人は?」


「…まだ捕まっていない。僕は…その犯人を絶対に許さない…! 必ず見つけ出して、罰を受けさせる…!」


そうか…。

親友を…仲間を失ったから…二度とパーティを組まなくなったのか…。

二度と、大切な仲間を失わない様に…。






ーーあの時、悲しみの表情を浮かべていたスノウ。

誰も失いたくない…そう思っていた彼が〈モンスタードラッグ〉によって、モンスター化し、《ブラックナイト》となり、人を傷つけている。


彼の心は相当傷つけられているはずだ…。

だから、解放してやる…!


「…スノウ、お前は強いよ。仲間を失わない様に自ら孤独を貫くところとかな…。悲しかったよな? 辛かったよな? そして、今…苦しいよな?」


『…』


《ブラックナイト》は雄叫びも唸り声も上げない…。

まるで俺の話を静かに聞いている様に…。


「…その悲しみや苦しみ…俺も背負う! 友人として…お前を止める人間として!」


その言葉を最後に俺は《ブラックナイト》から距離を取り、エンゼッターを構えた。


「…コレで終わらせる…! 行くぞ、スノウ!」


『ウオオオオオオッ‼︎』


今まで黙り込んでいた《ブラックナイト》は再び、雄叫びを上げてレイピアを構え突っ込んできた。


そして、俺に向かって、レイピアを何度も突き刺してくる。

俺はエンゼッターでそれを一撃ずつ防いでいく。

その一撃一撃をスノウの想いと勝手に置き換える様に。


だから、俺は避ける様な事はしない。

スノウの全てを受け入れるって、決めたんだ…!


コレを全て受け切ったら俺は…!


その想いが現実となり、奴の連撃は終わった…。

俺はスノウの想いを全て受け切ったのだ…。


「スノウ…。俺の…勝ちだッ!」


そう叫び、エンゼッターの剣先を《ブラックナイト》に勢い良く、グサリ、と突き刺した…。


しかし、俺は気付いてしまう…。

エンゼッターが奴の胸を突き刺す瞬間…《ブラックナイト》はこちらに向けて、微笑んだ事に…。


エンゼッターの剣身は《ブラックナイト》を貫き、奴が倒れると同時に俺はエンゼッターを引き抜く。

そして、奴はゆっくりと姿をスノウにへと変えた…。


「スノウ…!」


ゆっくりと倒れるスノウに駆け寄り、支えた。

その場に俺は座り込み、彼をソッ、と寝かせる。


完全にスノウの姿へと戻ると、彼はゆっくりと目を開けた。


「アルト…? ハハッ、どうやら…僕を、止めてくれた様だね…」


細々と力のない様に話すスノウの手を俺はギュッと握る。

俺の頬には目から涙が流れ、伝っている。


「スノウ…! 俺は…!」


本当は俺を恨んでいるのではないか…。

その微笑みの奥では俺を許せないのではないか…。

そう、思ってしまう俺だったが、それをスノウは否定した。


「僕が…君を恨んでいると…思っているのならば…それは、勘違いだよ…。僕は、君に感謝しているのだから…!」


俺に感謝している…。

その言葉と同時に彼は俺の手を握り返し、俺は彼の顔を再び見てしまう。


「アルト…以前、僕の親友が殺されたって話したよね?…実は、親友を殺したのは僕なんだ」


親友を殺したのが、スノウ自身…⁉︎

その真実に俺は目を見開く。


「どうして…親友を手にかけたんだ…?」


「僕だって殺したくはなかった…。でも、あるダンジョン攻略の最中に親友は…寄生型モンスターに身体を乗っ取られてしまった。元に戻す方法も見つからず、彼は僕に…殺せと言ってきたんだ」


寄生型モンスター…。

話には聞いていたが、本当にいたんだな…。


「もちろん、僕は断ったさ。…でも、彼は意志に反して、僕に攻撃を仕掛けてきた…。同時に彼による被害が…他の人達にも及んでしまう…だから、僕は…!」


「親友に人殺しをさせる前に…殺した…」


今の俺達と全く同じじゃねえか…!

すると、スノウの身体が粒子となり、薄らと消えていく。


「スノウ…!」


逝くな!…叫ぼうとした俺をスノウの手が制止する。


「アルト…。僕達生命ある者は必ず、別の生命を奪って生きている…。生きる為には生命を奪う事が必要だからだ」


生きる為に…相手の生命を奪う…。


「でも、生命を奪うと、その者には大きな罪が重ねられる。…生命ある者はその罪とも向き合わなければならないんだ」


「生命を奪った罪…!」


「その罪はその生命が消えたとしても消え去る事はない。…罪というのは消えないんだよ」


例え冒険者じゃなくとも俺達は多くの生命を奪って生きている…。

そう、生き続ける為に…。


「だから…君もその罪と向き合ってくれ…。罪から目を背けたら…もう、君は戻れなくなるから…」


そうか…そうなんだな。

スノウ…!


それが奴等と俺達の圧倒的な違い…!


「スノウ…。ありがとう。お前やキリヤのお陰で…生命が何なのかを少し…わかったかも知れない」


「フフッ…。それならば、良かったよ。忘れないでくれ…。生命の大切さ…。それを奪う罪の重さを…」


「ああ…!」


俺の肯定にスノウは薄らと微笑む。

そして、細々とした声で口を開いた。


「それから………ありがとう…。僕の…二人目の親友…」


それを言い残して、スノウの身体は完全に粒子となり、消え…空高くへと登っていった…。


先程の戦闘音が嘘の様に辺りは静かになった。

しかし、静けさは俺の嗚咽に掻き消される。



ーーわかってはいた。ここはモンスターなどがいる異世界…。

弱肉強食な世界で…友を手にかけてしまう可能性も…。

だからこそ、俺は涙を止められない。


涙を止めてしまえば、自らの覚悟を崩してしまう…そんな気がしたからだ…。


だが、世界は残酷だ。

俺の一人にはさせてくれない…。


「スノウ・クローゼルは死んだか」


顔を上げ、振り向かなくともわかる…。

サシェスが俺の前に現れた。


「親友をその手にかけた気分はどうだ? これでお前も俺達と同じ、人殺しの仲間だ。ククク…クッハハハハハッ‼︎ 「…違う」…何…?」


高らかに笑い、俺はサシェス達と同じだと告げられる。

だが、それを俺は真っ向から否定したやった。


「何が違うと言うのだ? 貴様は俺達と同じ人殺しだ!」


「…確かに俺はもう人殺しだ。…だが、俺はその罪とも向き合う…。もう罪から目を背けない…!罪に向き合おうともしないお前とは…全く違うんだよ‼︎」


そうだろ? スノウ…。

全てを終わらせよう…。

生命の為…俺は…!


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