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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第六章 レンドベル闘技大会編
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レンドベル闘技大会決勝戦


決勝戦の準備の為、決勝進出を決めた俺、夕暮、スノウ、マスクド・ジェッターの四人にそれぞれ個室の控え室を与えられた。


惜しくも敗退したグレン達は客席で俺達の戦いを観戦すると立ち去った。

俺は今、エンゼッターとブレッターの手入れを終わらせて、ティーブレイクで心を落ち着かせている。


すると、扉をノックする音が聞こえ、扉に視線を移す。


「すみません、アルトさん。メリルとアイムさん達です!」


何だ、みんな来てくれたのか。

そう言えば、関係者だったら、個室の控え室に来ても良いって、話だったな。


「入っても構わないぜ」


その言葉を聞いて、ドアが開き、メリル達が入って来た。


「応援に来たぜ、アルト!」


「マスター、体調は大丈夫?」


「大丈夫だ。ありがとな、アイム!」


体調を気にしてくれるアイムの頭を撫でる。

すると、彼女は心地良さそうに笑う。


「アルトさん。カイリさんから頑張れ!…と伝えて欲しいと言われましたよ」


「そうか。それで、カイリは?」


「ガルナさんに報告をしないといけないとの事で来ていません」


そうか…アイツも大変だな。


「なあ、アルト…。〈モンスタードラッグ〉について何かわかったか?」


「…あぁ、その事なんだが…」


夕暮から得た情報…みんなにも話した方がいいか。

話し出そうとしたその時、再びドアをノックする音が聞こえる。


「アルト!ウィーズだ。少しいいかい?」


「わかった、待ってくれ!」


俺は扉を開くとウィーズが入ってくる。

ちょうど良い。ベストタイミングだな!


「決勝進出、おめでとう。アルト」


「ありがとうな、ウィーズ。…それで何か用か?」


「…〈モンスタードラッグ〉の事で聞きたい事があるんだ」


…やはり、その事か…。


「丁度良かった。その事で俺も話がある」


ウィーズとメリル達に夕暮から聞いた話を全て、話した…。

混乱を防ぐ為に夕暮の事は伏せてだ…。


「…読み通り、この大会を狙っていたか…」


「だったら、この大会を中止にした方がいいんじゃねえか?」


マギウスの言う通り…〈モンスタードラッグ〉を利用している奴等がこの大会で何かをしでかすのは間違いはない。


だが、今から決勝戦だ…。

そう簡単に中止には出来ないだろう…。

それに…


「…悪いがそれは出来ない。〈モンスタードラッグ〉については世間には公表していない」


情報規制が仇となったか…。

だが、公表すればするだけで人々に不安や恐怖が刻まれ、大混乱になるだろう。


「それに、利用している人間の正体がわからない以上…迂闊に騒ぎ立てる事は出来ない」


「情報が少な過ぎる…という事ですね」


完全に八方塞がりだが…今は悩んでいても仕方ない。


「出来るだけ、みんなは客やスタジアムの関係者にも気をつけてくれ。俺も気をつける」


「わかった。…それにしてもルーク大隊長がこの大会に出ていたとはね」


…おいおい。本当に他の騎士達にも内緒で出ていたのかよ…。


「あの人には無理をさせていたし…。頼みを聞き入れてくれて感謝するよ。アルト」


「お前に感謝される事はしていねえよ。…さて、そろそろ俺は行く」


席から立ち上がるとメリル達も立ち上がり、部屋を後にしようとする。


「では、アルトさん。客席で見ています!」


「頑張れよ!」


彼女達の言葉に頷き、彼女達は客席にへと戻って行った…。


それを見送った俺はすっかり冷え切った紅茶を飲み切り、装備を整えて集合場所へ向かった…。




集合場所に着いた俺…。

そこには既に夕暮、スノウ、マスクド・ジェッターが来ていた。


「遅かったね、アルト」


「え?時間通りだとは思ったが?」


「とっとと来やがれ。いつまで経っても始められねえだろうが」


「まあまあ。彼も悪気があって遅刻をしたワケじゃないんだから」


「いや、何で俺が悪者的な流れになってんだよ⁉︎」


俺、本当に間に合ったよな⁉︎


「冗談だよ。試合開始五分前さ」


「騙されやすいな、テメェは」


「少なくとも私は悪者ではないよ」


「お前等!」


こ、コイツ等なぁ…!

ってか、仲良いな!


深く溜息を吐いていると係員が現れた。


「準備が整いました。少しお早いですが、決勝戦を開始したいと思います!」


係員の言葉に夕暮以外の者は頷いた。


どうやら決勝戦は客席から生で見ることの出来るスタジアムで行うようだ。

スタジアムの周りにはバリアを張り、攻撃が客達に飛ばないように考慮しているらしい。


つまり、全力で戦えるってワケだ。


すると、スタジアムに続く扉がガチャン、とゆっくり開いた…。

それと同時にマスクド・ジェッター、夕暮、スノウ、俺の順でスタジアムへ向かう。


扉を出ると客席から大きな歓声が聞こえて来る。

前世のアイドルとかって、こんな感じだったんだな…。


『来た来たぁっ!多くの戦いを制した四人の選手が入場だ!』


実況者も力が入っている。

正しくテンションはMAXだな。


『まずはDブロックの勝者!正義の力で決勝への駒を進めた最強のヒーロー!マスクド・ジェッター選手ゥゥゥゥッ!』


「マスクドォ〜、ジェッタァァァッ‼︎」


観客達に向けて、マスクド・ジェッターが謎のポーズを取ると観客達の歓声も大きくなる。

ファンサービスも行きたわっているじゃねえか。


『続いて、Bブロックの勝者!己の手一つで此処まで這い上がってきたソロ冒険者!スノウ・クローゼル選手ゥゥゥゥッ‼︎』


スノウの紹介を終えるとスノウ自身は観客達に向けて、圧倒的なスマイルで手を振った。

…そんな彼の行動に女性達が黄色い声を上げていたのは無視しよう。


『お次は、初参戦のAブロックの勝者!圧倒的な力で相手を屈服する両銃の悪魔!夕暮 キリヤ選手ゥゥゥゥッ‼︎』


「ケッ…!」


両銃の悪魔…。

キリヤはその二つ名にウンザリした表情を浮かべている。


『そして、最後は…!Cブロックの勝者!こちらも初参戦ながらも名を馳せる程の実力で聖凰騎士団の騎士大隊長を倒した無職(ジョブ)無し冒険者!麻生 アルト選手ゥゥゥゥッ‼︎』


客席を見渡すとメリル達を見つける。


「アルトさーん!」


「頑張ってくださいー!」


みんなは声援を送り、手を振ってくれた。

やはり、期待には答えないといけないな!


「信頼されているね」


「ま、まあな」


スノウに突然そんな事を言われ、俺は照れを誤魔化す様に顔を逸らした。


「仲間というのはいつでも素晴らしいモノさ!」


「ヘッ、くだらねえ…。御託はいいから、とっとと始めようぜ!」


すると、スタジアムの周りにバリアが展開される。

開始前って事か…!


『準備が整った様です!それでは選手の皆様…準備はよろしいですね?』


勿論だとでも言うように俺達四人は武器を構えた。

それを確認した実況者はついにあの言葉を叫んだ。


『では…第二十回レンドベル闘技大会決勝戦!レディィ〜…ゴォォォォッ‼︎』


ついに決勝戦が始まった。

…だが、俺達は気付けなかった…ゆっくりと俺達に向けて悪意が放たれつつある事に…。


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