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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第六章 レンドベル闘技大会編
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レンドベル闘技大会Aブロック


第二十回レンドベル闘技大会の開始宣言と同時にAブロックの参加者達は広大なバトルフィールドへ転送される。


控室にいる俺達や客席にいる奴等は映像で楽しむ仕組みになっている。

フィールドは広大な荒野…岩陰や水の中で身を隠す事も出来たりと潜伏も可能なステージだ。


このAブロックにはディムガルトと夕霧が参加している。

ディムガルトの実力はわからないが、夕暮の強さは本物だ…。


モニターに映し出された映像を見つめた…。






一方、客席にいるメリル達は…。


「アルトはまだみたいだな」


「…マスターから、メッセージが来た。Cブロックみたい」


「では、もう少し後ですね」


ウィーズの提案で客席で彼女達は見ているが、ウィーズ達騎士団はいつでも動ける様に控えている様だ。


「…隣、良いかしら?」


「構いま…ッ…⁉︎」


背後から声をかけられ、隣に座っても良いかと聞かれたので、構いません、と答えようとしたが声をかけて来た者を見て、言葉を止め、驚いてしまう。


「怖い顔しないでよ」


声をかけて来たのが、夕暮 キリヤのパートナーであるアナトスだったからだ。


「ア、アナトス…!」


メリルの声を聞き、アイムとマギウスも警戒する。

唯一事情を知らないルルは首を傾げていたが…。


「誰…ですか?」


「アナトス…。メリルお姉ちゃんと同じ女神で、マスターと同じ転移者の夕暮 キリヤのパートナー」


「ええっ⁉︎」


アイムの説明にルルは驚きを隠せない様子を見せる。

その彼女の説明にアナトスは不満そうな顔をする。


「…勘違いしないで、私は彼のパートナーではなく、ただの協力者よ」


「お前…何しに来たんだよ⁉︎」


「だから、協力者のキリヤが出場するから、見に来たのよ。…安心しなさい。こんな人が多い場所で暴れる程、常識知らずじゃ無いから」


そう言い、アナトスはメリルの隣に座る。

それを確認したメリル達も席に座った。


「…貴女達はどうして私達を消そうとするのですか?」


「…命令されただけだから。まあ、話す気はないけど」


それっきり、映し出される映像を釘つく様に見て、アナトスは一言も話さなくなった…。








『いよいよ、始まりました!第二十回レンドベル闘技大会!そのAブロックの選手達が広大なフィールドへの転送が完了しました!』


実況者の声がスタジアムに響く。

どうでも良いが、あの実況者…手慣れているな。


実況者は名の知れた冒険者達を次々に紹介していき、ディムガルトの説明に入った。


『その姿!そして、その戦い方、正しく殺し屋!アサシン風冒険者、双剣使いのディムガルト・スティングだ!』


ディムガルトの説明を最後に実況は終わり…。


『それではAブロック…開始‼︎』


Aブロックが開始され、選手達は一気に動き出した。

制限時間は三十分、この限られた時間で多くの相手を倒さなくてはならない。


数分も経たずにフィールドでは戦闘が開始されていた。

剣や斧で相手を斬り裂き、技能(スキル)が炸裂し、体力がゼロになる選手も出てくる。


俺やグレン達はディムガルトが映し出されるモニターを見る。

彼は双剣で襲いかかってくる相手をバッタバッタ、と斬り伏せていく。


「オラオラァ!かかって来やがれ!」


双剣で斬られた選手達は体力がゼロとなり、消滅し、開始地点で転送されていく。

相手の一人が斧で彼に斬りかかるが、それを華麗に避け、カウンターの連撃を浴びせ、体力をゼロにした。


「つ、強すぎる…!」


「ビ、ビビってんじゃねえ!一斉にかかれば、アイツだって翻弄されるはずだ!」


「よっしゃあ!行くぜ!」


複数人の選手達が一斉にディムガルトに襲い掛かった。

確かに数で圧されれば、いくらディムガルトと言えども苦戦は免れないだろう。


…だが、ディムガルトは余裕の表情を見せ、双剣から複数の斬撃を放つ。


「《ツインスラッシュ乱舞》!」


双剣を振りながら、斬撃を放つ。

正に舞の如く、動くディムガルトの姿には俺も見入ってしまう。

荒々しさに綺麗な舞が見え、複数の斬撃は襲い掛かる選手達を捉え、次々と彼等の体力をゼロにしていった…。


「まだまだ行くぜェ!」


先程の攻撃に戸惑っていた相手にディムガルトは突っ込んだ…。




ディムガルトの戦いを見た後、俺は夕暮の映るモニターを見る…。

だが、俺は目を見開いてしまう。


…奴は開始地点から一歩も動いていなかった。

当然、撃退数もゼロだった。


アイツ…何考えてやがる…?

すると、複数の選手達が夕暮に近づく。


「おいおい、コイツ全然動かねえじゃねえか!」


「勝負を諦めたってか?」


夕暮を小馬鹿にする様に笑う選手達。

…しかし、夕暮はそんな奴等にニヤリ、と不敵な笑みを浮かべる。


その不気味な笑みに奴を小馬鹿にしていた選手達は戸惑う。


「な、何だよ…?」


「いーや…弱い犬はよく吠えるって言うが…本当の事なんだなっとな。いや、お前等は犬というより、ドブネズミに近いか」


ドブネズミだと言われ、戸惑っていた選手達の表情は怒りに変わる。


「野郎…フザケやがって!」


「ぶっ殺してやる!」


憤慨した選手達が動き出そうとした…。

それと同時に彼等の身体は地面に叩き潰される。


アイツ…《グラビティ》を…!


「な、何だこれ…⁉︎」


「身体が…重い…!」


自分達に起こっている状況が飲み込めない選手達。

そんな彼等の上空に大きな氷の塊が出現する。


「…ドブネズミはドブネズミらしく…地面に這いつくばってな!」


技能(スキル)《アイスロック》…。

巨大な氷の塊を落とされ、下敷きになった選手達は体力がゼロとなり、消滅した…。


「ったく、つまらねえな」


ため息を吐き捨て、夕暮はその場に座り込む。

本気で動く気がない様だな…!






その後も奴は向かってくる選手の相手だけをして、徐々に撃退数を上げていく。


そして、残り十分を切った所で…。

ついに夕暮とディムガルトが相対する事になる。


「お前…麻生の兄ちゃんと揉めてた奴か」


「双剣使い…。お前なら俺を楽しませてくれるよな?」


「さあな。案外、お前が楽しむ前に終わるかも知れねえぞ?」


「ほう、そりゃ楽しみだ…。なら、見せてみろよ!」


夕暮の言葉を最後にディムガルトは空を切り、夕暮に突っ込んだ。

彼の双剣による攻撃を取り出した二丁拳銃で受け流した。


アイツ…!

以前使っていた剣は基本武器じゃなかったのか…⁉︎


そして、至近距離で二丁拳銃を発砲していく。

だが、それも反応し、ディムガルトは双剣で放たれる銃弾を叩き斬っていく。


ディムガルトの反応速度は銃弾の速さを超えている。

だからこそ、叩き斬る事が出来るのか…!


「へえ、どうやらネズミ共とは違う様だな。…!だが、小動物には変わりはねえな!」


二丁拳銃をクルクル、と回した後、夕暮がニヤリ、と笑うと二丁拳銃の銃口から光の刃が現れる。


「ビームソードだと…⁉︎」


エネルギーによって形成されるビームソード…それを夕暮は二丁分形成させたのだ。


「さあて、これで二刀使い同士…楽しめそうだなァ!」


勢い良く、ディムガルトに接近した夕暮は二丁拳銃を振るい、ビームソードがディムガルトに襲いかかる。

初撃を避け、双剣でカウンターを仕掛けようとするが、ビームソードと剣身がぶつかり合う。


嫌、ぶつかり合う前に双剣の剣身が綺麗に真っ二つとなってしまう。

あまりのビームソードの熱量に双剣の方が耐えきれなくなったのか…!


武器を失ったディムガルトは夕暮から、距離を取ろうとしたが…。


「遅えよ」


その夕暮の呟きと同時にディムガルトの胸に片方のビームソードが突き刺さっていた。

痛みはない…だが、鋭い攻撃に彼は動けなくなる。


そのまま上空に持ち上げられるディムガルトの身体…。

そして、夕暮はもう片方の銃を縦に勢いよく、振った。


もう片方のビームサーベルがディムガルトを真っ二つに斬り裂いた…。


「バカ…な…!」


その言葉を最後にディムガルトは消滅し…それと同時に戦闘終了のアナウンスが流れた…。


Aブロックの勝者は六十人の敵を倒した夕暮だった…。





控室に戻ってきたAブロックの選手達…。

俺達はディムガルトに駆け寄る。


すると、彼は悔しそうに溜息を吐いて、呟いた。


「負けちまった…」


「ヒヒヒ、でも良い戦いだったぜ」


モルターが励ます様に言葉をかけるとディムガルトも笑顔になった。


その光景を見ていた俺の下に夕暮が来る。

そして、耳元で呟いた。


「上がって来やがれ、まあ…無理かも知れねえがな」


完全な挑発だが、俺は乗る事なく、夕暮を睨みつけた。

視線で待っていろと、伝えるかの様に…。

それを見た夕暮はハッ!、と笑い、去って行った…。





数分後…。

準備が整ったのか、再び係員が話し出した。


『それでは只今より、Bブロックを開始致します!』


案内に従い、Bブロックの選手達が動き出すのを見て、グレンとスノウも動き出そうとする。


「では、行こうか」


「負けねえぜ、スノウ!」


「二人共…頑張れよ!」


俺の言葉にスノウとグレンは同時に頷き、控室を後にした…。


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