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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第六章 レンドベル闘技大会編
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受付嬢


俺がスノウと向き合っていると、遅れてメリル達が駆けつけた。


「アルトさん!」


「ルル!」


ルルの父親が俺達に元へいち早く駆けつけ、俺が抱き抱えているルルを見る。


「んうっ…?お父さん…?」


父親の叫びでルルは目を覚ました。

そして、今の自身の状態を確認する。


俺にお姫様抱っこ状態で抱き抱えられているのを見て、顔を赤くしていく。


「あ、あああ…!あの…ア、アルトさん…⁉︎」


「ん?起きたのか、ルル」


ルルが起きた事を確認して、彼女を下ろす。

…ってか、何で顔を赤くしてんだよ。


「あ、あの…ありがとうございます、助けて頂いて…」


「助けたのは俺だけじゃねえよ。ここにいるみんなだ」


この場にいるみんなをルルは見渡す。

だが、ふと疑問に思い、俺にある事を尋ねてきた。


「そういえばアルトさん。…私の事をルルと…」


…そう言えばさん付けで呼んでたな。

アルガルトのこうどうが頭にきて、咄嗟にそう呼んじまった。


「あぁ、悪い。馴れ馴れしかったよな?」


「いいえ。構いませんよ、アルトさん!」


笑い合う俺とルルの下に父親が歩み寄ってきた。


「アルト君…娘を助けてくれて、ほんとうにありがとう」


「ルルにも言った通り…彼女を助けたのは俺だけではありません。俺もただ彼女を助けたみんなの一人なだけです!」


「…君を見ていると若い時の自分を思い出す。…それよりも、アルト君とルル…二人は恋人同士ではないだろう?」


「「えっ…⁉︎」」


まさか、恋人同士を偽っていたのに気づいていたのかと俺とルルさんは同時に表情をポカン、とさせる。


「まさか誤魔化せているとでも思っていたのか?そこまで私の目は濁ってはいないさ」


…敵わねえな、この人には…。


「だが、ルルが君の事を好いているのは本当の様だ」


「お、お父さん‼︎」


好いているって、友達としての意味か?

それで顔を赤くされると逆に傷つけられるのだが…。


「だが、君はルルだけでなく、複数の人を大切に思っている…違うかい?」


「どういう意味の大切かどうかはわかりませんが…俺は俺が大切と思っている人達は大切に思っていますよ。勿論、ギルドメンバーやヴェイグ達…そして、ルルも」


「アルトさん…」


頬を少し赤らめつつ、目を輝かせるルル。

そんな彼女を見て、微笑んだ父親はある提案を持ちかけてくる。


「アルト君。ルルを君のギルドに入れてくれないか?」


「…え?」


「な、何言ってるのよ、お父さん⁉︎」


この提案には俺やルル、そしてメリル達も驚く。


「わ、私は冒険者じゃないし…戦う事ができないのよ!」


「だが、このままお前を冒険者支援施設で働かせる事は出来ない」


…確かに冒険者の中にはルルさんを無理矢理連れ去ろうとする奴が出てくるかも知れないな…。


そう考えつつ、父親の顔を窺うと彼は真剣な眼差しで俺を見続けている。

それは言葉通り、娘を誰かに託す父親の表情だ。


この人は俺達ならば、ルルを任せてもいい…瞳でそう訴えてきている。


「いいんじゃないですか、アルトさん?」


「受付嬢が必要」


「ルル姉が来てくれるとウチの人気も上がるだろうぜ!」


メリル、アイム、マギウスがそれぞれ俺に言う。

マギウスの発言には殴ってやろうかと思ったが、今は抑え、再び、父親とルルに視線を戻す。


「俺は…俺達は構いません。…ですが、それはルルの意見を聞いてからです。…ルル、どうだ?」


「わ、私は…」


どう答えようかと悩み、俯くルル。

そんな彼女に俺は手を差し出した。


「じゃあ、これはお前のお父さんの頼みとか関係なく言う。…俺はお前に仲間になって欲しい。…俺達、可能の星(ポッシブル・スター)のメンバーとして…受付嬢として!」


俺の真剣な眼差しを見て、ルルは目を見開いた後、フフッ、と微笑んだ。

その後、彼女は俺の手を取った。


「まだ未熟な点もありますが…よろしくお願いします、アルトさん!」


「こちらこそよろしくな、ルル!」


微笑みあいながら、握手をする俺達。

そんな俺達を見て、みんなは微笑む。


「…いい雰囲気の所、申し訳ないが。アルト、アルガルト様は?」


ずっと気になっていたのか、ヴェイグがアルガルト…《オーク》の事を尋ねてきた。


「アイツなら、俺とそこにいるスノウで倒した」


俺が視線を向けた先にスノウが立っていて、みんなの視線がスノウに向く。


「失礼だが、君は?」


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。僕はスノウ・クローゼル。ソロの冒険者です」


綺麗に頭を下げるスノウ。

どことなく気品を感じるな。


「君のおかげで被害を出さなくて済んだ。感謝するよ」


「いえ。それにあのモンスターのトドメを刺したのはアルトですから」


ははは、と笑いながらスノウは俺に視線を向ける。


それから俺達はあの《オーク》が人間だと言う事と人間をモンスターに変化させてしまう〈モンスタードラッグ〉の存在をスノウに話した。


「成る程…。その噂は本当だったのか…」


「ああ。だから、スノウも気をつけてくれ」


「わかった。気をつけるよ」


だが、貴族にまで〈モンスタードラッグ〉が流通しているとなると、今後厄介だな…。


「そうだ。〈モンスタードラッグ〉の件でアルト…君達に依頼したい事があるんだ」


「依頼?」


騎士隊長であるヴェイグからの依頼…?


「…実は決闘が盛んの街…レンドベルで〈モンスタードラッグ〉の目撃情報が出たんだ」


街で目撃情報が…⁉︎

街中でモンスターになんてなられたら、今回の様な事件が起きるぞ⁉︎


「実は五大騎士隊騎士隊長の一人が管轄している街なんだが…君にはその騎士隊長と協力して、〈モンスタードラッグ〉の全貌を暴いて欲しいんだ。勿論、それなりの報酬も出す手筈だ」


…確かに〈モンスタードラッグ〉を売り払う商人とかを捕らえれば、〈モンスタードラッグ〉の開発者などの情報が手に入るかも知れないな。


「…わかった。〈モンスタードラッグ〉については俺達も気になっているからな」


「そう言ってもらって、安心したよ。馬車はこちらから手配するから数時間後に向かって欲しい」


「そう言う事だ。メリル、アイム、マギウス。…それから、ルル。俺達はレンドベルへ向かうぞ」


俺の言葉にメリル達は頷いた。

正直、戦闘を行えないルルを連れて行く事はひけるが、彼女にも情報収集などで動いて貰いたいから同行を頼んだ。


すると、父親が動き出し、俺とルルの肩に手を置く。


「気をつけてな、ルル」


「うん、お父さん!」


「アルト君。娘をよろしく頼むよ」


「お任せください!」


任せてもらった以上、無碍には出来ないとルルの父親と握手をした。

すると、そんな俺にスノウが話しかけてくる。


「すまない、アルト」


「どうした?」


「レンドベルには僕も用があるんだ。同行してもいいかな?」


同行か…。

スノウの腕なら、途中でモンスターに襲われても問題ないし…。


「いいぜ。短い間だが、よろしくな!」


そして、数時間後、ヴェイグの手配した馬車が来て、俺達はレンドベルに向かった…。






ーーその俺達が向かっているレンドベルの暗がりでは、二人の男がいた。


二人の顔は影に隠れて見えない。


「…何?騎士団の手配で無職(ジョブ無し)冒険者が来るだと…?」


「その様だ。…騎士達も我々を警戒している。気を付けろ」


「問題ない。この〈モンスタードラッグ〉がある限りな」


男の一人が〈モンスタードラッグ〉を取り出し、もう一人の男に見せびらかした。

それを確認したもう一人の男もニヤリ、と笑う。


その光景を夕暮 キリヤとアナトスに見られている事も知らずに…。


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