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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第六章 レンドベル闘技大会編
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彼女を守る為


〈モンスタードラッグ〉を使用し、《オーク》となってしまったアルガルト。


右手に斧を持ち、雄叫びを上げる。

そのはまるで全てを憎む復讐鬼の如く、俺達を睨みつけてきた。


『どいつもコイツも…邪魔をシヤガッテ…!ルルゥ!オレを選ばなかったコトヲ後悔サセテヤルゥゥゥッ!』


斧を振りかざし、《オーク》はルルに斬りかかってきた。


ルルは怯え、身体を縮小させるが、彼女を守る様に彼女の父親が前に立ち塞がった。


「お父さん…⁉︎」


「お前にあの男を勧めたのは私だ。お前は私が守る!」


…良い父親じゃねえか。

でも…!


無謀だ…!、そう心の中で思った俺は《オーク》とルルさん達の間に入り、エンゼッターで受け止めた。


しかし、相当な威力で攻撃の衝撃が俺の立っている地面に及び、ヒビが入った。


「グッ…!何つー力だよ…!」


『邪魔をスルナァ!』


それが奴の逆鱗に触れ、俺は蹴り飛ばされ、近くの川に落ちる。


「アルトさん!」


「オラァッ!」


そこへ赤雷を腕に纏わせたマギウスが殴り込み、《オーク》を後退させる。

俺達を見張っていたメリル、アイムと共に彼も戦線に入った。


「アルガルト殿!これ以上は罪を重ねるだけです!お辞めください!」


何とか、アルガルト…《オーク》を説得しようと声を上げるヴェイグだが、《オーク》は聞く耳を持たず、斧で彼を薙ぎ払う。


ヴェイグはそれを跳躍して、避け、剣を抜刀する。


『騎士風情がオレを止メラレルと思うナ!』


「是非もなしか…!」


剣を構え、走り出したヴェイグは剣を何度も振るう。

それに《オーク》も斧をぶつけ合う。


しかし、徐々に力負けしていき、ヴェイグが押されていく。


「アイムさん!」


「任せて…!」


飛行ユニットを背中に装備したアイムが上空からヴェイグを援護しようと動き出す。


『無駄ダァッ!』


叫んだ《オーク》は気迫の衝撃波を跳ばし、それを受けたアイムは吹き飛ばされる。


「アイム!…グッ…⁉︎」


アイムを心配した事で気を緩めてしまったヴェイグは《オーク》に蹴り飛ばされてしまう。


ヴェイグを蹴り飛ばした《オーク》は斧をメリルやルル達に向けてブーメランの要領で投げる。


マギウスが斧を受け止めようと腕に赤雷を纏わせたが、それよりも前にメリルが動いた。


「《バリアフィールド》!」


マギウスやメリル、ルルさん達を青色のバリアフィールドが包み込んだ。


斧はバリアフィールドに直撃し、防がれた為、《オーク》の手元に戻る。

そして、再び投げようとするが、川から跳び出した俺に気づく。


ブレッターの銃口を奴に向け、俺は連射する。

斧で銃弾を全弾防いだ奴は俺に向かって、斧を投げてくる。


しかし、その斧に向けて、ヴェイグが斬撃を放ってくれ、斧は軌道を変え、《オーク》の手元に戻る。


あの野郎…相当力が増してやがる…!


『ルルゥ!モウ一度言う!オレの女ニナレェ!』


「…お断りします!」


『ルルゥゥゥゥゥッ‼︎』


《オーク》の誘いを断ったルルに奴は怒りが頂点に達し、ルルの下に突っ込む。


その進行を防ごうとメリルとマギウス、アイムが立ち塞がったが、その三人を奴は斧で薙ぎ払う。


そして、ルルを掴んだ。


「くっ…!離して…ください…!」


『もうイイ!お前ノ許しナドナクトモ…お前ヲオレノ物ニシテヤル!』


そう叫び、奴はルルを連れ去ろうとする。


「ルルゥ!」


「させるかよ!」


ルルを助け出そうとエンゼッターを構え、斬りかかったが、奴の斧を振るった爆風で吹き飛ばされる。


「アルトさん!」


『コイツハモラッテイク!』


ルルを担ぎ、《オーク》は走り去る。

しまった…!


「ルル!…ルルが…!」


ルルを守れなかった事を悔やみ、涙を流す父親。

俺は彼の肩を掴み、笑いかけた。


「安心してください。ルルは…必ず助け出します」


「麻生君…!」


彼の肩から手を離した俺は《ウイング》を発動する。


「メリル、マギウス!その人を頼む!アイムはヴェイグと一緒に後からついてきてくれ!」


「わかりました!」


「うん!」


「おう!」


仲間達が頷いたのを見て、俺はヴェイグに視線を移す。

言葉を交わしなかったが、彼から先に頼むという言葉を聴こえたような気がするので、俺は頷いた後、《オーク》を追った。


暫く飛んだ先で《オーク》を発見する。

ルルは気を失っているのか…!


奴も俺に気がついたのか、斧から斬撃を放ってくる。

それを避けつつ、俺は奴に接近していく。


すると、俺達の前方に水髪の男が立っていた。

マズイ…!


「おい!逃げろ!」


俺の叫びと《オーク》の存在に気づいた水髪の男は目をキッと鋭くさせ、腰のレイピアを引き抜く。


『退けェェェェッ‼︎』


奴の叫びに怯える事なく、水髪の男はレイピアにエネルギーを蓄積させ…《オーク》を突き飛ばした…。


『ナッ…⁉︎グオオオオオッ⁉︎』


突き飛ばされた衝撃で、ルルを離してしまう《オーク》。

宙に舞ったルルを水髪の男が受け止める。


立ち上がった《オーク》は唸り声を上げながら、斧を握り、水髪の男に向けて突っ込んだ。


「危ない!」


このままでは斧で斬り裂かれてしまう…。

そう思い、叫んだ俺の言葉に対し、水髪の男はニヤリ、と笑って口を開いた。


「…心配ないよ」


気を失っているルルを担いだまま、水髪の男は突っ込んでくる《オーク》に向けて、レイピアによる突きの連撃を浴びせた。


連撃を受け続けた《オーク》だが、連撃の一撃を斧で何とか弾き飛ばし、それにより水髪の男の身体を蹌踉け、隙が出来る。


『死ネェ!』


そうは、させるかよ!

動き出した俺は斧を振りかぶった《オーク》を二回斬り裂いた…。


《ツインスラッシュ》…。

《スラッシュ》の二連撃技能(スキル)だ。


《ツインスラッシュ》で斬り裂かれた《オーク》から血が飛び出る。


『バ…カナ…⁉︎』


斬り裂かれた《オーク》はそのまま絶命し、死体は血の海に落ち…消滅した…。


「…ふぅ」


エンゼッターを鞘にしまいながら、息を吐く俺の下にルルを背負った水髪の男が近づいた。


「君のおかげで助かったよ。ありがとう」


「…そっちこそ。アイツを倒せたのはアンタのおかげだ。ルルの事もありがとうな」


気を失っているルルを受け取り、俺も彼に礼を口にする。


「俺は麻生 アルトだ。よろしくな」


握手を求めた俺を見て、水髪の男は思い出したかの様に手をポン、と叩いた。


「麻生…?あぁ!君が最近、名を馳せている無職(ジョブ無し)冒険者か!」


…久しぶりに聞いたぜ、その名前…。


「僕はスノウ・クローゼル…。よろしくね!」


俺は水髪の男…スノウ・クローゼルと握手をした…。


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