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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第六章 レンドベル闘技大会編
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デート


ブレッター入手から一週間後…。

俺はある人物とイズルリの街の近くの街…シガンの街にいた…。


「ふふっ、楽しいですね!アルトさん!」


「そうだな、ルルさん!」


その人物とは…ルルさんだ。

俺は今、ルルさんと買い物…もといデートをしていた…。


何故この様な事になってしまったのか…。

それは二日前に遡る…。





二日前、俺達はギルドホームで朝食を食べていた。


「アイムちゃんの料理はいつも美味いな!」


「褒めても何も出ない」


そう言いつつ、トーストの追加をマギウスに渡すのやめろ。


「そうですね!お嫁さんに行っても問題ないレベルです!」


「だから、褒めても何も出ない」


だから、そう言いつつ、サラダの追加をメリルに渡すのやめろ。

すると、突然扉が開いた。


「アルトさん、朝早くにすみません!」


入ってきたのはルルさんだった。


「よう、ルルさん。おはよう!朝早くにどうしたんだ?」


「実は…アルトさんにある依頼をお願いしたいんです!」


「ある依頼…?」


珈琲を飲みながら、ルルさんの話を聞こうとする。


「私の…彼氏になって欲しいんです!」


「ブーッ⁉︎」


ルルさんの依頼内容に俺は飲んでいた珈琲を吹き出してしまった…。

珈琲を吹き出してしまい、俺はむせてしまう。


同じくメリルも驚いて頬を赤くさせている。


「か、彼氏ですか⁉︎」


何で、メリルが頬を赤らめるかは知らねえがな。


「モヤシ?」


「彼氏だよ、アイムちゃん!」


「彼氏…?」


小首を傾げながら、アイムは頭の中で検索する。


「…検索結果。彼氏とは…一人の男性を指して呼ぶ事。また、恋人の男の人の事を言う…マスターはルルお姉ちゃんの恋人?」


「そんなワケあるか。…それで、ルルさん?彼氏になって欲しいってのはどういう事なんだ?」


依頼内容についてルルさんに尋ねると彼女は難しい表情になり、俺に言い放った。


「じ、実は…私のお父さんがお見合い相手を連れて来たんです。それが…この人です」


ルルさんが差し出した写真を俺達は見る。

…イケメンだなぁ…。

優しいお兄さんという感じだが…。


「この方のお名前はアルガルト・カタロフィさんです」


「イケメンさんですね…」


「そうだな。男からしたらムカつくけどな」


変な所で腹を立てるなよ…。


「ですが、この方…よくない噂が多いんです」


「良くない噂?」


「…その方とお付き合いをなされた方々は皆…身も心も壊されて…最終的には自害してしまう様なのです」


何…⁉︎


「身も心も壊されて…自害しているだと⁉︎」


その男の噂の内容を聞いて、俺達は驚愕する。

写真を見る限りではその様な事をする人間ではないが…。


「…一応、ガルナさんにもお伺いした所…この噂の被害者の関係者の方々からお話を聞いた様なのです」


確定情報じゃねえか…!


「…ひ、酷い…!」


「人は見かけによらない…。それがいい意味でも悪い意味でも…!」


「許せねえ!すぐにでもソイツをぶっ倒そうぜ!」


確かに許せる奴ではない。

被害者と同じ女性であるメリルやアイムが怒る理由も理解できる。


「…騎士団にこの事は?」


「それが…この方は貴族の御子息様なのです…」


立場上、厄介な奴だな…!


「貴族の圧力があって、簡単に手を出せないって事かよ!ふざけやがって!」


そうか。だから、争いが起こらない様に俺がルルさんの恋人となれば、相手も諦めてくれるかも知れないというワケか。


「勿論、アルトさん達にも大変なご迷惑をおかけするかもしれません…。ですが、騎士団の方々が動けない今…アルトさん達にお願いするしかないのです…!」


小粒の涙を落としながら、ルルさんは訴える。

ルルさんだって、一人の女性だ。


…本当に好きになった相手と恋愛をしたいに決まっている。

だが、父親に反抗できないのだろう…。


「…分かった。その依頼、引き受けるよ」


「い、良いのですか⁉︎」


「ああ。ルルさんには世話になってるし…恋愛ってのは好きな相手としたいだろ?」


「ありがとう…ございます…!」


こうして俺はルルさんの代理彼氏となった。





ー現在。


どうやら、このデートをルルさんの父親が見に来ているらしい。

ルルさんはあらかじめ俺の事を父親に話していた様だ。


娘が心配なのはわかるが…デートを尾行する父親ってのはどうなんだ?


兎に角、俺がやるべき事はルルさんの彼氏らしい行動を取ればいい。

…って、簡単に言うが俺は前世では誰かと付き合った事もないしな…。


一応、メリルからはデートのノウハウを教えて貰ったが…。


「…アルトさん、大丈夫ですか?」


「…何とか。兎に角、頑張ってやり遂げよう」


小声でコンタクトを取った俺達はデートを再開した。

勿論、非常事態の時の為にメリル達にも監視してもらっているが…。


「じゃあ、ルルさん。そろそろ昼時だし、お昼でも食べに行くこう」


「はい!行きましょう!」


ルルさんが俺の左腕に抱きついた。

所謂恋人つなぎってヤツか…。


お互い頬が赤い…。

頼むからバレるなよ…!


ルルさんを連れ、レストランで食事をしようとしたその時だった。


「あれ?ルルじゃないか」


突然声をかけられ、俺達は立ち止まるが、ルルさんからヒッ、と怯えた声が聞こえる。

横目でルルさんを見ると怯えた様に身体を震わせている。


「聞こえているのかい?おーい、ルル!」


「あ、あ…アルガルトさん…」


この男がアルガルトか…。


「奇遇だね。こんな所で」


「そ、そう…ですね」


完全にルルさんが怯えてしまっている。

まあ、無理もないが…。


「そちらの人は?」


「あの…私の彼氏の…麻生 アルトさんです」


「彼氏…?」


彼氏、という言葉を聞いて、アルガルトは俺をキッ、と睨み付ける。


「おかしいな。君のお父さんからは君には彼氏が居ないと聞いていたが…」


「…は、恥ずかしくて…言えなかったのです…」


怯えつつも頬を赤らめ、俺を見てくるルルさんに俺は笑いかけた。

さて、俺も挨拶しておくか。


「初めまして。ルルさんの”彼氏”…麻生 アルトです」


敢えて彼氏という言葉を強調して言ってやった。

すると、奴は一瞬、表情を険しいモノにさせる。


「そうか。僕はアルガルト・カタロフィ。"貴族"の息子だよ」


奴も貴族を強調させてくる。

余程、ルルさんを取られたくない様だな。


「それにしてもルル…。これでは見合いの話は白紙になるね」


「…」


ルルさんを嘲笑う様な笑みで彼女を見るアルガルト。

それにルルさんは俯いている。


…まさか、何かで脅されているのか?


「まあ、僕は良いんだよ。…これから君達に不幸が舞い降りない事をお祈りするよ」


「ッ…!」


コイツ…両親を使って、ルルさんを脅してるのか…!


「まあ、僕といれば不幸なんて舞い降りないと思うよ。だから、僕と…」


僕と付き合え…。

そう奴はルルさんに手を伸ばしたが、その手を俺が掴んだ。


我慢出来ねえ…!

もう、ルルさんの彼氏だとかそんな事関係ない…。

ルルさんの知り合いとして…許してはおけない!


「今、俺達はデート中なので…彼女に触る事はやめてもらえないでしょうか?」


「…何?」


「アルトさん…!」


俺の行動にルルさんは目を見開き、アルガルトは俺をさらに睨めつけてくる。


「…君は聞こえなかったのか?僕は貴族の息子だ!凡人の君が僕の腕を気安く掴んでいいモノじゃないんだよ!」


何とか俺の手を振りほどこうとするが、俺はさらに握る手を強める。


「そうですね。俺は貴方から見れば凡人だ…。ですが…貴方の様な…いや、お前の様な貴族風情がルルに手を出すんじゃねえ!」


アルガルトの腕を勢い良く振り離し、ルルを守る様に立って、俺はアルガルトを睨みつけた。


「貴様…!僕に手を出すというのがどういう意味か…教えてやろうか!」


「では、その彼に手を出すというのがどういう意味か…私が教えてご覧にいれましょうか?」


この声…ヴェイグか?


振り返るとそこにはヴェイグとルルの父親の姿があった。


「騎士…⁉︎それに…」


「お父さん⁉︎」


ルルの父親は一瞬、俺を見た後にアルガルトを睨みつけた。


「アルガルト様…貴方に娘はやれません」


「な、何だと⁉︎無礼だぞ!私は貴族の息子なのだぞ!」


「…私はそのお父上に貴方の不評についてお話をしました。優秀な情報屋からの情報を」


ガルナ達…ヴェイグにも情報を与えてくれたのか!

不評という言葉にアルガルトは一歩下がる。


「そして…お父上から、貴方を拘束して欲しいとの証言も出ました」


「ち、父上が⁉︎」


「ええ、これがその拘束状です」


ヴェイグはアルガルトに一枚の紙を見せた。

拘束状…逮捕状の様なモノか。


「よって、アルガルト・カタロフィ…。強姦、及び精神的殺害容疑で貴方の身柄を拘束します」


ヴェイグの後ろにいたと思われる兵士二人がアルガルトを捕らえようとしたが…。


「ふざけるな…!どいつもコイツも…僕を苔にして…ぶっ殺してやるぞ!」


そう怒号を飛ばし、奴が取り出したのはカプセル薬だった。


「あれは…!」


「〈モンスタードラッグ〉…⁉︎マズイ!」


ヴェイグが兵士二人を下がらせようとしたが、既に遅く、アルガルトは〈モンスタードラッグ〉を飲み込み、《オーク》となってしまった。


『殺してヤル…!コロシテヤルゾォォォッ‼︎』


こうなったら…やるしかない…!

俺はエンゼッターとブレッターを構え、《オーク》を睨みつけた…。


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