洞窟攻略
洞窟の中に入った俺達は奥にへと進んでいく。
歩いている最中、モンスターに襲われると思っていたが、暫く歩いても何一つと襲って来なかった。
「妙だな…。モンスターが襲って来ない…。ガルナ、この洞窟にはどんなモンスターが現れるんだ?」
「…えっと、確か…幽霊やアンデッド系のモンスター…だったと思う」
幽霊やアンデッドか…。
また戦った事のないモンスターの類だな。
「幽霊やアンデッド…?ちょっと、待って…お姉ちゃん?」
カイリがガルナに視線を移すと何故か、ガルナは震えていた。
顔も真っ青になってきている。
「…ガルナ?どうしたんだ?」
「な、ななな何でもないわ」
嘘だ。声まで震えているじゃねえか。
そう言えば、幽霊やアンデッドと聞いてからだよな。
…まさか。
「…お前、幽霊やアンデッド系のモンスターが苦手なのか?」
「そ、そんな事ないわよ!ただ、見たくないだけよ!」
「それを人は苦手だって言うんだが…」
成る程、それなら身体を震わせている理由も理解できる…。
「そ、そんな事ないから!幽霊なんか、私の大型ランスで一捻りよ!」
「ちょ…!お前声がデカイ!」
恐怖を誤魔化す様に大型ランスを振り回す彼女を止めようとするが…。
遠くからヴゥ〜…という呻き声に近い声が聞こえてくる。
洞窟内で少し暗い為、俺は《暗目》を発動する。
すると、暗い中で遠くが見える様になり…宙をフラフラと浮く複数の影が見えた。
「…アルト、来てるの?」
「…来てるな」
「う、嘘でしょ⁉︎」
…そして、奴等は《暗目》を使わずとも見える距離まで来た。
実体がなく、薄らとしか見えない奴等は間違いなく、《ゴースト》だった。
それも結構いるな…。
「ガルナ、カイリ、やるぞ!」
「ええ!」
俺はエンゼッター、カイリは小型ダガーを構え、戦闘態勢を整える。
だが、俺達の背後でフルフル、とガルナは震えていた。
「おーい、ガルナー?大型ランスで一捻りじゃなかったのかー?」
「む、無理なのよ!幽霊を攻撃すると錆びてしまう仕様だからダメなの!」
「嘘つけ!そんな武器あってたまるか!」
ガルナの苦しすぎる言い訳に俺は呆れながらもツッコミを入れてしまう。
仕方ねえ…。
「だったら、そこで見てろ!」
俺はエンゼッターで《ゴースト》に斬りかかる。
だが、エンゼッターの剣身は空を斬る様に空振りに終わる。
「擦り抜けた…⁉︎」
「アルト!幽霊系のモンスターは一度、光を浴びせて、実体化させないと攻撃できないわ!」
「幽霊あるあるってワケかよ!」
俺は光属性の技能を使おうとしたが、俺よりもカイリが先に動く。
「アルト、お姉ちゃん!目を閉じて!
カイリの動きに何かあると思い、俺とガルナは目を閉じる。
「フラッシュグレネード!」
地面にフラッシュグレネードを投げると、辺りに閃光が起き、光を浴びた《ゴースト》達は驚き、実体化する。
「グレネードを喰らいなさい!」
実体化した事で逃げ出そうとする《ゴースト》達の下にカイリはグレネードを転がせる。
「《ストーンドーム》!」
岩のドームが逃げ惑う《ゴースト》達と地面に転がるグレネードを包む。
そして、起爆音が聞こえ、《ストーンドーム》を解除する。
そこには《ゴースト》達の姿はなく、俺達に経験値が入る。
「やった!」
「ナイス!」
俺とカイリは笑顔でハイタッチをする。
それを見たガルナは一瞬不満そうな顔をするが、すぐに引き攣った顔をする。
「あ、貴方達…意外とエゲツない事をするのね…」
逃げ惑う《ゴースト》達の下にカイリがグレネードを転がせて、俺が《ゴースト》達を逃さない様に《ストーンドーム》で奴等を包み、グレネードの餌食にする。
洞窟に入る前にカイリと考えた方法だ。
まさか、初めてで上手くいくとはな。
「にしてもガルナにも弱点ってのが、あるんだな」
「ゴ、ゴメンなさい…。足を引っ張っちゃって…」
不甲斐なさでいっぱいとなったガルナはシュンとなる。
そんな彼女を見て、俺はクスリ、と笑い、彼女の頭をポンポン、と叩く。
「気にするな。得意不得意なモノは誰にもある。…お前はお前の出来る事をすればいいんだよ」
「…ありがとう…」
ガルナの感謝の言葉を聞き、俺は彼女の頭から手を離し、先へ進む。
「…お姉ちゃんってさ…」
「何?」
「アルトの事、好きでしょ?」
「…うん」
否定しないんだぁ、とクスクス、笑うカイリ。
「…アンタはどうなの?」
「うん、まあね…」
頬を軽く赤く染め、顔を逸らすカイリ。
それを見て、ガルナもクスッと笑う。
「…初めて私達がにていると思ったわ」
「同感よ。…後、負けるつもりはないから」
「私もよ。…でも、気をつけた方がいいわ。ライバルは結構多いから」
「…嘘⁉︎」
本当よ、と溜息を吐くガルナ。
「おーい、二人とも!先に進むぞー!」
俺の叫び声を聞いて、ガルナとカイリは見合って、微笑み、俺の後を追いかけた…。
その後も俺達は洞窟の奥へ進み、襲い来るモンスターを倒し、罠を潜り抜けていく。
結構、奥まで来たが、最深部が見えてこない…。
「…まだ最深部は先みたいだな…」
「ここまで深い洞窟なんてね」
「ん…?アルト君、あれ…」
ガルナがあるモノを見つけ、俺とカイリもガルナの指差す方向を見ると、複数の鎧の置物があった。
これは…。
何か罠が作動して動くパターンのヤツだな…。
「二人共、気を付けろよ。…罠で作動するかもしれないからな」
コンコン、と鎧を叩く俺にカイリが叫んだ。
「アルト!その鎧から離れて!」
「え?離れてって…」
離れろと叫んできたカイリに視線を向けたが、背後に殺気を感じる。
そして、剣が振り下ろされたが、俺はそれを回避する。
回避しつつ、剣を振るって来たのが、先程叩いた鎧だった事に気がつく。
「…おいおい、勝手に動いてるぞ…?」
「幽霊のモンスターが憑依しているのよ。…それも全部にね」
ガルナの説明に俺は成る程、とエンゼッターを構える。
…確かに全鎧に憑依しているのか、動き出したな。
「鎧相手なら、ガルナもいけるだろ?」
「ええ、勿論よ!」
「それなら散開!ここで時間を食うワケにはいかない!すぐに片付けるぞ!」
俺、ガルナ、カイリはそれぞれ分かれ、幽霊のモンスターが憑依した鎧と戦い始める。
鎧はそこまで強くなく、俺達は次々に薙ぎ払っていく。
残り数体…そう思っていたその時だった。
戦闘の最中、ガルナが何かのスイッチを踏みつけてしまう。
「ッ…⁉︎」
ガルナが気づいた時には、彼女の足下に穴が開き、彼女は落下しそうになる。
「お姉ちゃん!」
しかし、そんな彼女をカイリが押し飛ばし、カイリは変わりに落ちそうになる。
「ッ…カイリ!」
俺は目の前の鎧を斬り飛ばし、飛び込んでカイリの腕を掴んだが、引き摺り込まれ、そのままカイリと共に穴の中へと落ちてしまった…。
「アルト君!カイリィィィィッ‼︎」
ガルナの叫び声が穴の中に響き、俺達は更に底へと落下していった…。




