洞窟捜索
ガルナ、カイリと共に西側の洞窟へ向かう俺達。
しかし、俺はある事に気づく。
西側と言っても正確な位置を聞いていなかったな。
「なあ、ガルナ?」
「何?」
「洞窟の正確な場所はわかるのか?」
「…あ」
おい、何だよ、その、あ…、は?
「どうした?」
「…せ、正確な場所までは…ちょっと…」
成る程。そうかそうか…。
「金返せ」
「だ、ダメよ!西側という情報は教えたんだし、それに貰った物は返さない主義なの!」
「そんな主義知るか!曖昧な情報しかねえじゃねえかよ!」
言い合う俺達。
しかし、そこへちょっと!、とカイリから声をかけられる。
カイリに視線を移すと今、彼女は《キックラビット》の群れを小型ダガーで斬り伏せていた。
「痴話喧嘩してる暇があるなら、戦ってよ!」
飛びついてくる《キックラビット》を斬り伏せながら、俺達に叫んだ。
「はいはい…っと!」
俺は飛び蹴りを放って来た奴等を《サンダースラッシュ》で斬り裂き、ガルナも大型ランスで貫く。
そして、奴等が一か所に集まったのを見て、カイリはグレネードを奴等に向けて、投げるが、一体の《キックラビット》に起爆する前に弾かれる。
「しまった…⁉︎」
「任せろ!」
弾かれたグレネードに向けて俺は跳躍し、ジャンピングキックで蹴り、グレネードは集まった《キックラビット》の下で起爆し、爆発で巻き込んだ。
《キックラビット》達を一網打尽にし、全滅させた事を確認した後、経験値を貰う。
そして、唯一残った死体に技能複写を発動し、頭に文字が刻まれた。
〈特殊技能《空中ジャンプ》《ジャンプ強化》《蹴り技強化》を獲得〉
〈技能
《飛び蹴り》 《エネルギーキック》《トルネードキック》を獲得〉
蹴りとジャンプ強化系の技能が多いな。
すると、技能複写の事を知らず、カイリは首を傾げる。
「な…何をしたの?」
戸惑う彼女にガルナは説明する。
「これがアルト君の技能。技能複写よ」
「技能複写…?」
技能名を聞いてもピン、ときていない表情をする彼女に俺が更なる説明をする。
「簡単に言うと倒したモンスターの技能を入手する事が出来るんだよ」
「…何、そのレア技能⁉︎」
…流石は盗賊紛い…レアって言葉に弱いな。
「そこまで良いモノじゃないぜ。相手を倒さないとダメだし、人間や生きている奴には使えないしな」
だが、この力…。
あの声の主は一体何者だったのだろうか…?
「アルト君、どうしたの?」
「…嫌、何でもない」
…深く考え込んでいた為、その事を心配したガルナの声で我に帰る。
…まあ、考えていても仕方ないな。
エンゼッターを鞘に戻した俺は息を吐き、どうやって洞窟を見つけるのかを話し出す。
「…それで、どうやって洞窟を見つけるんだ?」
「確か、この先には村があったわね。そこで聞いてみましょうか」
「そうだね!」
この先に村があるのか。
仕方ない。そこで情報収集をするしかないな。
その村に向かう為、俺達は歩き始めた…。
「それにしても、お前等…姉妹のクセに似ていないな」
「…そうね。こんなバカな妹に似ていなくて…」
「うん。こんなバカな姉に似ていなくて…」
軽い笑みを浮かべたガルナとカイリは同時に答えた。
「「清々したわ…」」
同時に言葉を発した二人は言葉を止め、数秒の沈黙が流れる。
そして…。
「「…は?」」
数秒後、二人は睨みを聞かせて目でお互いを見た。
「何言っているのよ、カイリ。私がバカ?頭おかしくなったのかしら?」
「お姉ちゃんこそ…小癪な手で情報料を取っているから頭が腐ったんじゃないの?」
睨み合う二人…。
表情には笑みが浮かんでいるが、目が笑っていない。
そして、二人は無言でそれぞれの武器を取り出し…。
「「死になさい!」」
姉妹喧嘩が殺し合いに発展したな。
…まあ、兎に角…。
俺は《バリア》で二人の攻撃をそれぞれ防ぎ…。
「やめろ、バカ姉妹」
「「ひゃっ⁉︎」」
軽い拳骨を二人に一発ずつ落とした。
「な、何するのよ、アルト君⁉︎」
「そ、そうだよ!」
「姉妹揃ってつまらない事で喧嘩するな」
呆れた様に溜息を吐き、俺は歩き出した。
ガルナ達二人も不満そうな顔でお互いを見た後、俺の後に続いて歩き出した。
少し歩くと漸く村が見えて来たので、村の中へ入ると…。
「良いから、金になる物出せよ!」
一人の男がナイフを片手に叫んでいた。
どうやら、村の住人達から金になる物を巻き上げようとしている様だ。
…ってか、あの男って…。
すると、俺が動く前にガルナとカイリが動いた。
「ちょっと貴方!」
「あん?」
ガルナとカイリに話しかけられ、男は振り返る。
「何だよ、姉ちゃん達?邪魔するってのか?」
「貴方…人からお金を盗もうとするなんて、恥ずかしくないの?」
カイリが腕を組み、当たり前の事を言う。
…嫌、お前がよく言えたな。
「恥ずかしいなんて思った事はねえよ!生きる為には金が必要だからな!」
「そ、それは一理あるわね」
「納得しないの!」
…こんな時に姉妹コントはマジでやめてくれよ。
「ちょっと待て…。姉ちゃん達、可愛いじゃねえか!お前等が俺の相手をしてくれるなら、コイツ等には手は出さないでやるよ!」
「お断りよ」
「貴方みたいな人は無理だから」
姉妹揃っての冷たい言葉に彼の堪忍袋の緒が切れたのか、額に血管が浮き出る。
「そうかそうか…。ガキのクセしてお高くまとまってんじゃねえよ!」
っと、ナイフを二人に向けて、振り下ろしたが…男のナイフを持つ腕を俺が掴んだ。
「…俺の連れに手を出そうだなんて良い度胸じゃねえか?」
ニヤリ、と笑みを浮かべた俺は掴んでいた腕を引き寄せ、奴の顎にアッパーを決めた。
男は吹き飛ばされ、地面に倒れた。
しかし、男はゆっくりと立ち上がり、俺を睨む。
「何しやがんだ、テメェ!痛い目を…見たく、なかっ…た、ら…」
男の表情が怒りから驚き…そして、恐怖にへと変わる。
恐らく俺の事を思い出したのだろう。
「お、おおおお前は…!」
「どうやら懲りていない様だな?…所で、痛い目を見たくなかったら…何してくれるんだ?」
「ヒッ…⁉︎ヒィィィィッ⁉︎」
俺の笑みを見た男は更なる恐怖を植え付けられ、情けない悲鳴と共にその場を走り去った。
「…アルト君、彼と知り合いなの?」
「貴方の事を物凄く怖がっていたけど」
「なぁに、ちょっとな」
俺の説明にもなっていない説明にガルナとカイリは顔を見合わして、溜息を吐いた。
「た、助けて頂きありがとうございました!」
村の村長らしき男が俺に頭を下げてきた。
「いえ、困っている人を助けるのは当然の事です!…それと…聞きたい事があるのですが…この村の近くに洞窟って、ありますか?」
「ええ、この村を超えた先にありますよ」
「そうですか。ありがとうございました!」
洞窟についての情報を聞いた俺達は村から出て、その洞窟の場所に向かう。
そして、暫く歩くとその洞窟らしき入口を見つける。
「あれが洞窟の入口か…」
「アルト君、カイリ…。気をつけていきましょう」
「うん。行こう!」
俺達三人は警戒しつつ、洞窟の中へと入って行った…。




