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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第五章 新銃作成編
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カイリ・シリング


ま、まさかこの盗人女がガルナの妹だったとは…。


カイリという名の彼女がガルナの妹と知り、戸惑っている俺を放置して、二人は言い合いを始めている。


「ア、アンタこんな所で何しているのよ⁉︎」


「…べ、別に何もしていないよ。ただ、この男の人とぶつかっちゃっただけで…」


誤魔化す気か、コイツ…。


「そうだな。そして、そのぶつかりを利用して俺の財布をスろうとしたよな?」


「いっ…⁉︎」


堂々と犯行をカミングアウトされた為、カイリはなんで言うのよという、睨みを利かせた視線をこっちに向けてくる。


それを聞いたガルナは目を見開き、カイリの肩を掴んだ。


「アンタ、まだ盗賊紛いな事を続けているの⁉︎」


盗賊紛いって…ガルナも知っていたのかよ…。


「兎に角、アルト君に謝りなさい!迷惑をかけたんだから!」


俺に謝罪しろとカイリに言うガルナだが、カイリは一向に謝る気がない。

…少し揶揄ってやるか。


「カイリ、いい加減に…!」


「まあ、落ち着けよ。ガルナ…」


「ア、アルト君…」


今にも怒りで叫び出しそうなガルナを落ち着かせ、俺はカイリの前に立った。

彼女はそれでも怯んだ様子はなく、上目で俺を睨んでくる。


「…謝るのが嫌ならそれでいい。じゃあ、カイリ…だったな?今から一緒に騎士団の元へ行くか。お前の犯行を話して」


「ッ…⁉︎」


「アルト君…⁉︎」


俺の告げた言葉にはカイリだけでなく、ガルナも目を見開き、驚いた。


「お前のやっている事は紛れもなく犯罪だ。誰かから金を取るなんて余計にな。…自分の足で行かないと言うのなら…」


顔と目を逸らし、動こうとしない彼女の右腕を俺は掴み、力尽くで連れて行こうとする。


しかし、その行動を黙って見ていられず、ガルナが俺を止めに入る。


「ちょ、ちょっと待って、アルト君!確かにカイリは悪い事をしたわ!でも…それだけは…!許せないのなら、私が何度でも謝るから!」


…何だよ。喧嘩しても妹の事は心配なんじゃねえか。


「…別にお前に謝って欲しいワケじゃねえよ。…で、お前はどうするんだよ、カイリ?」


「…わかったわ。罰を受ける」


…へえ…。

カイリの言葉に俺は心の中で笑みを浮かべ、ガルナは驚く。


「カ、カイリ⁉︎何言っているのよ⁉︎」


「止めないでお姉ちゃん。私はそれだけの事をしてしまったのだから。私だって覚悟なしでスリなんてやってないのだから」


「カイリ…」


確かに覚悟は聞いたぜ。


「…合格だ」


「えっ…?」


合格、と呟き、俺は手を離すとカイリは驚いた表情でこちらを見てくる。


「き、騎士団に連れて行くんじゃないの?」


「…悪いが試させてもらった。お前には覚悟があるのか、ないのかをな。此処でもしお前が全力で抵抗してきたのなら、容赦なく騎士団に放り込んでいた」


「アルト君…」


クスリ、と目を閉じながら離す俺を見て、ガルナは微笑む。


「お前には罪を受け入れる覚悟がある。その覚悟に免じて今日は見逃してやるが…。あまり、盗賊紛いの事はお勧めしないぜ?」


ポンポン、とカイリの頭に手を置くと彼女は突然、顔を赤くさせ、頭からボン!、と湯気を出す。


「ん…?どうした、顔が赤いぞ?」


突然顔が赤くなった事が不思議に思った俺は彼女の額に手を置く。


「も、もう!」


顔を赤くしながら、彼女は俺の手を退かせた。


「何怒ってんだよ?」


「怒ってない!…あの、ありがとう…それからごめんなさい」


シュン、となって謝ってくる彼女に俺は微笑み、気にするな、と口にした…。


「…所でアルトとお姉ちゃんはこれからデートなの?」


……はい?

何を言っているんだ、コイツは…。


「なっ…⁉︎な、何言っているのよ、カイリ⁉︎私とアルト君はその様な関係じゃないわよ!」


「そうだぞ、カイリ。コイツには何度か高値の情報料売り付けられ…痛っ⁉︎」


事実を話しただけなのにガルナに足を踏まれ、睨まれた。

理不尽だ…。


しかし、高値の情報料と聞いて、カイリはガルナをジト目で睨んだ。


「お姉ちゃん…最低だね」


「盗賊紛いの事をしているアンタには言われたくないわよ⁉︎」


「ちょ!声大きいって!」


また姉妹喧嘩を始めてしまう二人。

…本当に仲がいいな。


だが、これではいつまでも洞窟に行けないと俺は息を吐き、声をかけた。


「おーい、ガルナ。そろそろ洞窟に行くぞ」


「えっ…?わ、わかった」


「洞窟…?」


洞窟という言葉に首を傾げたカイリに俺は説明する。


「実は鍛冶屋で銃を作って貰う為に西側の洞窟にあるパール鉱石を取りに行く所なんだ」


説明を聞いたカイリはそう、と考え始める。

そして、口を開いた。


「ねえ、私も行ってもいい?」


突然行くと言い出したよ。


「別に構わないが…どうしてだ?」


「パール鉱石って、レア鉱石よね?という事は高値で売れて…!」


…目がトレジャーハンターの目になってやがる。


「それに…さっき迷惑をかけたから、それも兼ねて手伝いたいの」


前者が最大の目的だと思うが…。

まあいいか。


「俺は構わないぞ。ガルナは?」


「…ハァ。断っても着いてくるだろうから、構わないわよ」


「じゃあ、少しの間だけど、よろしくね!アルト!」


「おう!」


俺はカイリと握手をして、俺達三人は西側の洞窟へ向かった…。


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