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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第五章 新銃作成編
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ブレス作成屋


ー朝起きた人間が行う事が決して共通しているとは限らない…。

武器の手入れをする者、朝食の支度をしている者、トレーニングをしている者、シャワーを浴びる者…様々だ。


だが、忘れないで欲しい…。

男性は女性と共に暮らす時、最小限気をつけなければ、痛い目を見るという事を…。


今日の朝食の支度の当番はアイムなので俺は彼女に任せ、エンゼッターの手入れをしていた。

何かと相棒の剣だから、綺麗してやらねえとな。


一方、朝の走り込みを終えたマギウスが帰ってきた。


「フゥ、今日は此処までにするか!」


首元にかけてあったタオルで流れてくる汗を拭い、彼は風呂場に向かった。

気分良く、鼻歌を歌いながら、脱衣所の扉を開き、服を脱ごうとした…その時だった。


ガチャリ、と風呂場の扉が開き、そこから金髪の女性が出てきた。

シャワーを浴びていたのか、髪や身体は濡れていて、湯気も出ている。


しかし、マギウスはその者を見て、膠着してしまう。


「えっ…?」


それは相手も同じで、何故此処にいるのかと、目を見開いて、数秒後…。


「キャアァァァァァァッ‼︎」


「ち、違うんだ、メリル!」


姿を隠す様に悲鳴を上げながら、風呂場に戻り、扉を閉めるメリル。

その誤解を解こうとマギウスは声を上げたが、突然、風呂場の扉が少し開き…。


「良いから、出て行ってください‼︎」


「ちょっ…⁉︎ギャアァァァァッ⁉︎」


怒りを込めた声と共に腕を少し出し、誤解を解こうとした彼に《ウインドカッター》を発動し、風の刃が彼を襲う。

そして、朝早くからマギウスの悲鳴が家中に響き渡った…。




その悲鳴を聞きながら、俺は自室でエンゼッターの手入れを進めている。


「…朝から騒がしい奴等だな、全く…。よしっ!手入れ完了!」


手入れを終えて、エンゼッターを上にあげると俺の部屋の扉をノックする音が聞こえた。


「はい?」


すると、扉が開き、アイムが入って来た。


「マスター。朝食が出来た」


「そっか。じゃあ、飯にするか!…あの騒いでいる二人も呼んでこないとな」


俺とアイムは服を着たメリルと傷だらけになっているマギウスを連れて、リビングまで来た。


既にテーブルには朝食が置いてある。

パンにサラダ、スープにベーコンエッグ…。


嫌、本当にアイムは料理上手だな。

椅子に座り、俺達は朝食を食べ始めた。


いただきます、は忘れずにな。


「うん!美味い!」


マギウスの奴、さっきの傷が嘘みたいに消えていやがる…。

被害を受けたメリルはジト目で彼を睨んでいる。


それに気がついた彼は冷や汗を掻く。


「わ、悪かったよ、メリル!悪気があったワケじゃないんだ!」


必死に誤解を解こうと何度も謝る。

しかし、彼女は不満そうな顔をして、逸らす。


「信じられません。男の方はみんな獣と聞きますので」


それは誤解を招きかねないから言うのはやめろ。

正常な男もいるっての。

だから、俺を見るのはやめろ。


「…何故、俺を見る?」


「…やっぱり、アルトさんも…」


「それ以上言うなら…その獣の力を見せてやろうか?」


俺は拳に電撃を纏わせて、ワナワナ、と震わせ、悪い笑みを彼女に向けた。


俺の笑みを見たメリルはうっ!、と怯えた様に声を上げ、顔を痙攣らせる。


「男はみんな獣…」


ほら見ろ!アイムが変な事を覚えちまったじゃねえか!


「マスターも汚らわしい獣?」


「いらない事を覚えなくて宜しい」


このままじゃアイムの教育上良くないな…。


「…それにしても…来ないな、依頼」


マギウスが仲間になって数週間…。

全くと言っていい程依頼が来なかった。


「まあ、初めの内なんてこんなもんだろ」


この数週間は冒険者支援施設のクエストをこなし、食い繋いでいたが…。

この状態が続くのは流石にマズイな…。


だが、今日はやる事が沢山ある。


「よし、お前等、ブレス作成屋に行くぞ!」


「という事は…!」


「俺達のコンディションブレスが出来たんだな!」


そう言う事だ!




朝食を食べ終えた俺達は支度をして、家を出て、イズルリの街に着いた。

此処のある店に今日は用がある。


それがブレス作成屋だ。


ブレス作成屋とは、装備用のブレスレットや冒険者になる為には欠かせないコンディションブレスなどを作成している店だ。


実はアイムとマギウスの分のコンディションブレスの作成を頼んでいた。


ブレス作成屋に着き、扉の取手に手をかけたが、途中で止め、振り返った。

俺の突然の振り返りにアイムとマギウスは首を傾げ、メリルは何かを悟り、苦笑する。


「どうしたんだ、アルト?」


「入る前に言っておくが、この店の奴等は少々特殊でな…。驚かずに接して欲しい」


俺の真剣の表情に二人は思わず頷いてしまう。

2人の肯定を確認した俺は扉を開き、店の中に入った。


そして、俺達を出迎えたのは…。


「あ〜ら、いらっしゃい!」


女性ならば、思わず見惚れてしまう程の美男子達だった…。

それはもう少女漫画の男達の様にだ。


そして、俺の視線は店の中の中心にいた男に向く。

俺に気づいた男は笑顔で挨拶をしてきた。


「あらあら、アルちゃんじゃない!」


「よう、ハルさん。頼んでいた物は取りに来たぜ!」


彼…いや、彼女はハルヤ・ブルーネル。通称、ハルさん。

このブレス作成屋の店主である。


イズルリの街を見回った時に知り合いになったんだ。


気軽なく、ハルさんと話していると彼…いや、彼女達の話し方に唖然としたマギウスが無理矢理俺を後ろに向かせて、コソコソ、と話し出した。


「お、おい。アルト!何だ、あの奇妙な人達は…!」


「言っただろ?驚かずに接してくれって」


「無理があるだろうが!見た目は男なのに喋り方がまるで女じゃねえか!」


だから、特殊な奴等なんだって…。

しかし、マギウスの声が聞こえていたのか、ハルさんが叫び出した。


「だ〜れが、見た目がジジイで中身がババアですって⁉︎」


「言ってねえよ⁉︎」


物凄い勘違いで怒り出すハルさんにマギウスが全力でツッコミを入れた。

そして、マギウス同様に唖然となっていたアイムの声を震わせながら、口を開いた。


「オ、オカマ…!」


「あらあら、面白い事を言う子ね。私達は全員女よ」


「でも、どう見ても…」


「お・ん・な、よ♪」


物凄い形相でアイムを見続け、彼女は涙目になって何度も頭を縦に振り、メリルの背後に隠れる。

そんな彼女を見て、メリルも苦笑している。


「…っと、ごめんなさいね、取り乱して!この子達がアルちゃん達の新しいお仲間なのね?」


「あぁ、この二人の分のコンディションブレス…出来ているんだよな?」


「ええ、出来ているわよ。…じゃあ、お二人共、奥へ行こうね!」


ハルさんの言葉に他の店員達がアイムとマギウスを奥へ案内しようとしたが、何かの恐怖を感じた二人は俺達を見る。


「待て!その作業は奥に行かないとダメなのか⁉︎」


「大丈夫、安心して、すぐに終わるから」


「何をどう安心しろってんだよ⁉︎」


「もう、聞き分けの悪い子ね…。良いわ、問答無用で連れて行きなさい!」


ドスの聞いた声を発したハルさんに店員達は敬礼を取り、マギウスの両腕をガシッと掴み、力尽くで奥に連れて行こうとする。


「ちょっ⁉︎力強いな、アンタ等⁉︎あ、アルト、助けてくれ!」


「…楽しんで来いよー」


見捨てる様に笑顔で手を振った俺に対し、マギウスはお前ぇぇぇぇっ!、という叫びと共に奥にへと消えた…。


そんな彼を見たアイムも恐怖を覚え、メリルの腕をガシッと掴む。


「え…アイムさん…⁉︎」


見ると今にでも泣き出す寸前の顔をして、アイムを上目遣いで見上げている。

その眼差しだけでわかる事はついて来て!、と精一杯のお願いをしていた。


その眼差しが眩しすぎ、メリルは断るに断れなくなり…。


「大丈夫ですよ、アイムさん。私がご一緒しますから」


と言い、メリルはアイムの手を引き、店員達と奥にへと消えて行った…。


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