大切なモノの為の戦い
マギウスのピンチに駆けつけた俺はマギウスを立たせた。
「大丈夫か、マギウス?」
「助かったぜ、アルト…」
マギウスの無事を確認した俺は彼と共にゆっくりと立ち上がった《トカゲファイター》に視線を移す。
『これはこれは…間抜けなギルドリーダーではないか』
「まさかお前が絶対終焉のリーダーだったとはな。まんまと騙されちまったぜ」
『そうさ。お前の所為でお前の仲間の女はボコボコにされちまったんだぜ?可哀想になぁ…』
「テ、テメェ…!」
奴は嘲笑う様に口を開き、それに対してマギウスは怒鳴る。
「やめろ、マギウス」
「で、でもよ…!」
怒鳴るマギウスを落ち着かせる俺にでも…、と口を開く。
だが、マギウスは気付いてしまう。
奴の言葉に俺は力強く拳を握り、爪が食い込み、血が流れている事に…。
「アルト…」
『さてと…麻生 アルト。俺達の仲間になるつもりはないのか?』
俺を仲間に引き入れようとするが、俺の答えが決まっている…。
「…俺がYESと答えるとでも思っているのか?…そもそも…俺の仲間に手ェ出したんだ…覚悟は…出来ているんだろうな!」
『そう言うと思ったぜ。…なら、そこのクソ鬼と共に死にな!』
そう叫ぶと奴は光弾を飛ばしてくる。
飛んできた光弾をエンゼッターで斬り裂き、破壊する。
《クイックジャンプ》で奴の下に接近し、エンゼッターを何度も振るう。
しかし、奴の手甲で防がれ続ける。
ガキン、と金属同士がぶつかり合う音が響き渡る。
その隙に俺の背後からマギウスが飛び出て、奴に赤雷を纏わせた飛び蹴りを浴びせる。
咄嗟の攻撃に防ぐ事が出来ず、奴は蹴り飛ばされる。
だが、奴は受け身を取りつつ、次の攻撃に入る。
俺とマギウスはそれぞれの方法で攻撃を防ぐが、弾かれ、マギウスは殴り飛ばされ、俺は蹴り飛ばされる。
吹き飛んだ俺達に向けて、奴は光弾を数発放つ。
吹き飛ばされてしまった為、俺達は光弾を全て受けてしまった。
『ヒャハハハハッ!まだまだいくぜェ!』
光弾を受け、ヨロめいてしまった俺達に《トカゲファイター》は光弾を連射する。
「そう大人しく受け続けるかよ!」
前に出た俺は《リフレクト》を発動し、奴の放った光弾の全てをはじき返した。
『なっ…⁉︎チィッ…!』
俺の弾き返した光弾を奴は間一髪避けた。
しかし、避けた場所にマギウスがいた。
彼は右拳に赤雷を纏わせ、《トカゲファイター》を殴った。
しかし、奴は腕をクロスさせ、攻撃を防ぐ。
「そこだッ!」
横から俺が接近し、奴の横腹を《スラッシュ》で一閃した。
奴の横腹から血が溢れ、怯んだ所でマギウスが奴を蹴り飛ばす。
地面を転がって、倒れた《トカゲファイター》。
だが、奴はゆっくりと立ち上がった…。
『グッ…テメェ等よくも…!』
口から緑の血を吹き出しながら、《トカゲファイター》は俺達を鋭く睨みつけた。
「確かにお前は強いかも知れない…。だが、大切なモノを守る為に戦う俺達には勝てないんだよ!」
『ほざくなァッ!だったら…これで終わらせてやるゥ!』
《トカゲファイター》は右拳にエネルギーを込め、勢い良く駆け出した。
それを迎え撃つ様に俺は右拳に電撃、マギウスは左拳に赤雷を纏わせる。
『《フィニッシュブロー》!』
俺達に接近して来た奴は右拳を突き出してくる。
それに対して俺達も右拳と左拳を突き出す。
「《サンダーナックル》!」
「《エレキブレイク》!」
俺達の拳と《トカゲファイター》の拳がぶつかり合う。
その衝撃は電撃を辺りに発生させ、爆風で辺りの木々を激しく揺らす。
威力は同等で互角の勝負を見せる俺達。
だが…。
『ッ…⁉︎何だとォッ⁉︎』
徐々に俺達が奴を押し始めた。
そして、奴の拳を弾き、そのまま奴の身体へ向けて、拳が伸びる。
「「ウオオオオオッ‼︎」」
俺達のそれぞれの技が奴に直撃し、奴は苦痛の悲鳴を上げながら、スパークし、吹き飛び、近くの木にぶつかった。
倒れ、シャルルの姿へ戻った奴を確認し、俺とマギウスはハイタッチを決める。
「やったな」
「おう!」
ニッ、と笑い合い、俺達の視線は張り付けにされているエルに向く。
早く助けないとな…。
「ク、ククク…!」
シャルルの方から不敵な笑いが聞こえ、視線を奴の方に戻す。
「何がおかしい?」
「…どうやら…間に合った様だな…!」
「…何⁉︎」
間に合った…だと…⁉︎
すると、祠の方から凄まじいエネルギーが放出される。
そのあまりの威力に爆風が起き、俺達はそれに耐える。
「あ、あぁぁっ…!ぐうぅぅぅっ!」
エルを見ると彼女の身体は光り輝き、苦しそうに悲鳴を上げている。
「エル!」
そんな彼女を見ていられず、マギウスは彼女に駆け寄る。
「待て、マギウス!」
「ッ…⁉︎ウオアッ⁉︎」
俺の制止は間に合わず、エルを中心に小さな閃光爆発が起き、マギウスは俺の下まで吹き飛んでくる。
爆煙が晴れるとそこには赤い身体に青い瞳…そして、黒い大きなツノが生えた頭。
手には巨大なトゲのついた金棒を持った巨大な鬼が立っていた。
鬼は雄叫びを上げ、その衝撃だけで俺達は吹き飛ばされそうになる。
「マギウス、あれが…!」
「あぁ、《イグニッションオーガ》…!蘇っちまった…!」
悔しそうに歯を喰いしばるマギウス。
俺達が《イグニッションオーガ》について話していると、奴の足下へソロソロ、とシャルルの奴が歩いていた。
「ク、ククク…!アハハハハハッ!ついに俺は最強の力を蘇らせた!これで世界は俺達、絶対終焉のモノに…!」
モノになる…。
シャルルは最後までそう言えなかった。
何故なら…。
「なっ⁉︎ウアァァッ⁉︎」
《イグニッションオーガ》の巨大な手が奴を捕らえたからだ。
そのまま奴はシャルルを自分の口へと持っていく。
「や、やめろ…!俺はお前を復活させてやったんだぞ!俺はお前のご主人様なんだぞ!や、やめ…!ギャアアアアアッ‼︎」
シャルルの必死の制止も《イグニッションオーガ》が聞くはずもなく、そのままシャルルは奴に食べられてしまった。
おいおい…トラウマもんだぞ、こんなの…!
シャルルを食べた《イグニッションオーガ》の標的は俺達になる。
すると、奴は右拳を俺達に向けて、勢いよく突き出した。
何やってんだ…?
その距離から届くはずが…。
「ッ…!避けろ、アルトォッ‼︎」
マギウスの言葉を最後に俺は突如起こった閃光爆発に呑みこまれた…。




