作戦
フィル洞窟…その最深部で俺達は治癒の花を見つける事が出来た。
しかし、目の前に立ちはだかるのは巨大なカマキリ…《デスマンティス》だ。
《デスマンティス》は獲物を見つけた様に両カマを合わせ、ガキンガキン、と鳴らした。
「《デスマンティス》…。厄介な相手だな…!」
「カマキリのカマにバッタの跳躍力を合わせたモンスター。一気に踏み込まれない様、注意して!」
「まずはヤツの動きを封じる!カマを斬り落とすのはその後だ!」
作戦を立てていると《デスマンティス》が斬りかかって来た。
俺達はそれぞれ回避し、ヤツの動きを封じようとマギウスは《エレキスマッシュ》を放った。
《エレキスマッシュ》を受けた《デスマンティス》だったが、全くと言っていいほど、無傷だった。
《エレキスマッシュ》を受け切ったヤツは両カマから斬撃を繰り出し、回避が遅れてしまったマギウスは斬撃を受けてしまう。
砂煙が舞う中、未だ斬撃を放ち続ける《デスマンティス》。
確実にマギウスを仕留めるつもりだ。
しかし、そのヤツの顔めがけ、俺は《ファイアバレット》を放ち、俺に注意を引く。
案の定ヤツは俺に向かって、跳躍して来た。
《バリア》を展開し、ヤツの両カマによるラッシュを防いでいくが…。
「ッ…⁉︎」
《バリア》の障壁がピシッ、と音を立ててヒビが入る。
そして、最後の一撃で《バリア》は完全に破壊され、衝撃で俺は吹き飛ばされる。
しかし、そんな俺をアイムが受け止めてくれた。
「無事、マスター?」
「お、おう…助かったぜ、アイム!」
アイムは俺の無事を確認した後、右腕を構え、《ナックルミサイル》を発射した。
発射された右腕は《デスマンティス》に直撃するが、ヤツは雄叫びを上げ、アイムにも向け、斬撃を二発放つ。
右腕を戻し、盾で斬撃を防ぐが、衝撃で吹き飛ばされ、壁に激突する。
「アイム!」
崩れた壁からアイムが飛び出てくる。
そして、俺の隣に降り立つ。
「強敵…。攻撃が効かない…!」
「まるでカブトムシの様な装甲だな…!」
エンゼッターを構え、どう攻撃を通すか考える。
すると、ヤツに殴りかかっていたマギウスも弾かれ、こちらに飛んでくる。
「ぐっ…!硬い!」
「どうするの、マスター?」
このままでは攻撃が通らずにこちらが消耗するだけだ。
しかもあの跳躍力…。
まさに回避と防御は完璧だな。
「何か、ヤツにダメージを与えられる場所があればいいんだが…」
「…一つだけある」
「何処だ⁉︎」
ダメージを与えられる場所が一つだけあると呟いたアイムにマギウスは問いかける。
すると、アイムの視線は《デスマンティス》の腕の関節分にいく。
「腕の関節は柔らかい」
…腕の関節だと…?
だったら…!
「二人共、ヤツの注意を引いてくれないか?」
俺の話に二人は視線を向ける。
「何かアイツを倒せる方法があるのか?」
「あぁ、名付けて…〈敵の武器は最大の武器作戦〉だ!」
考えついた作戦名を聞き、マギウスはポカン、となり、沈黙が俺達を包む。
「何だよそのダッサイ名前の作戦⁉︎」
「…略して最大武器作戦…」
「待て待て、アイムちゃん!それは略すと言うのか⁉︎最初の敵の武器は、の部分が抜けてるぞ!」
アイムの略し方にマギウスの盛大なツッコミが炸裂する。
その彼女は気にしていない様だが…。
「何でもいいんだよ、マギウス。気にし過ぎているとハゲるぞ」
「そうそう…最近薄毛が気になって…じゃないわ!俺もお前と同い年だっての!」
と言う事は17歳か。
って…無駄話をしている暇じゃなかったな。
「作戦名のツッコミは流すが、大体理解してもらえているか?」
「あぁ…。ってか、最早作戦名で行動がモロバレだけどな」
「説明しなくて済むだろ?」
満面の笑みを浮かべる俺に呆れたのか、マギウスは溜息を吐いた。
「…もういい。早くやろうぜ!」
コイツ…現実逃避しやがったな。
「マスター…トドメはお願い」
アイムの言葉に頷く。
俺の頷きを確認し、アイムとマギウスは一斉に《デスマンティス》に向かって駆け出す。
上手くヤツの注意を引いてくれている。
俺もいつでも動ける様にエンゼッターを構える。
アイムはガトリング砲を連射し、マギウスは赤雷の弾丸を撃ち続ける
ダメージを受けずとも目障りな攻撃にイラついたのか、《デスマンティス》は雄叫びを上げ、右カマを振り上げた。
今だ…!
俺は跳躍し、振り上げている右カマの関節部分を狙い、エンゼッターで斬り裂いた。
斬り裂かれた部分から緑色の血が吹き出る。
俺は宙に浮いている右カマを掴み、ヤツの頭に目掛け、振り下ろした。
右カマは《デスマンティス》の脳天に直撃し、そのままヤツは地面に音を立てて地面に伏した。
…技能複写は…意味がないな。
地面に着地した俺の下にアイムとマギウスが駆け寄って来た。
「上手くいったな、アルト!」
「あぁ!」
拳をぶつけ合った俺とマギウスを見て、アイムは微笑んだ後、奥に咲いてある治癒の花の下に歩み寄り、その手で治癒の花を掴んだ。
優しく、崩さない様にだ。
両手で治癒の花を持ち、アイテムバッグに入れたアイムは俺達の下に戻ってくる。
「マスター、治癒の花は無事に確保したよ」
「おう、ご苦労さん!さてと…これでエルの父親の病気を治せるな」
洞窟から出ようとした俺達。
その時、拍手の様な音が聞こえた。
音が聞こえ、俺達は足を止める。
足を止めた俺達の前に複数の鎧と来た奴等とちょび髭を生やした小柄の男が現れた。
「おめでとうございます。無事に目的の花を手に入れた様ですねェ」
小柄の男が不敵な笑みを浮かべ、俺達を見る。
「お前…誰だよ?」
不敵な笑みに嫌気がさしたマギウスが喧嘩腰に問いかける。
すると、小柄の男が名乗り出した。
「これは失礼…。私はシュウ・イグリア。ギルド、絶対終焉の副リーダーです」
絶対終焉…。
確か、騎士団も目をつけている暗殺ギルドか…!
「暗殺ギルドか…」
「そのお前等が何の用だよ⁉︎」
「なぁに…貰った物の性能を試したいのですよォ。お前達…」
ククク、と笑うシュウは後ろにいる鎧の者達に声をかけた。
シュウの命に従う様に鎧の者達はあるカプセル薬の様なモノを取り出し、それを飲み込んだ…。
すると、数秒後、鎧の者達の体は変化していき、蜥蜴のモンスター…《トカゲソルジャー》となった。
今の光景に俺やアイム、マギウスは驚愕の表情を浮かべてしまう。
「な、何だ…それは…⁉︎」
「ククク…。それでは味わってください。"モンスタードラッグ"の力をねェ…!」
このヤツの不敵な笑み…。
そして、今の状況…俺の頬には冷や汗が流れてしまった…。




