フィル洞窟攻略
フィル洞窟に入った俺達は襲い来るモンスター達を薙ぎ払っていた。
まあ、コイツ等から得られる技能はないな。
「なあ、アルト?」
「ん…?どうしたんだ?」
「無職のお前がどうしてそこまで強力な技能を使えるんだ?」
今更ながら、無職である俺が使えるはずのない技能を使用できる事を疑問に思ったマギウスが問いかけてきた。
「あぁ、その事か」
モンスターを倒し切った俺は頭を掻きながら、マギウスの質問に答える。
技能複写を手に入れた経緯を話した。
レベルの高い《サイクロプス》との戦闘…。
その際に謎の声から与えられた力、技能複写の能力と存在を…。
「倒したモンスターの特殊技能や技能を自分のモノに出来るって…何だよ、その規格外の技能⁉︎」
「人はそれをチートという…ってな」
技能複写の能力に驚きを通り越して、呆れているマギウス。
「でもよ。謎の声って…よくそんな力を使えるな。怪しくないか、普通?罠とか考えないのか?」
「うーん…あの時は生き残る事に必死過ぎて、考えていなかった」
「…あぁ、そうですかよ」
呆れ溜息を吐いて、もう何も言わない、とマギウスは前に進む。
だが、俺も聞きたい事があったので、質問する。
「それにしてもお前の赤雷の力は元々持っていたモノなのか?」
赤雷の力は正直、興味があった。
電撃無効化の俺にもダメージを与えられたからな。
「いいや、俺の電撃も元々は黄色だったんだが、師匠との特訓で赤雷の力を手に入れたんだ」
師匠…?
「師匠って…人間か?」
「嫌、俺が赤雷を手に入れたのは俺がまだ幼いガキの頃で鬼族が滅びる前だ」
って事は…。
その師匠も…。
「マギウス、その師匠は…?」
「…鬼族が滅びた時に…俺を守る為に生命を落とした…」
「…すまない」
やはり…。
悔しそうに俯くマギウス。
相当、その師匠という人を尊敬していたんだな…。
「気にするなよ、アルト!今の俺は師匠の分まで生き抜こうと思っているんだからよ!師匠の意志が俺の中に残っているからな」
マギウスの言葉に俺はそうか、と笑顔で返した。
「その気持ち、わかる…。私のお姉ちゃんの意志も私の中にあるから…」
胸にそっと手を置きながら、アイムは答えた。
やっぱり、アイムには本当の心が存在しているな。
そんな話をしていると広い部屋に出る。
…特にトラップはないな…。
…だが、視線を感じる…。
「…何だこの部屋…?」
…どうやら、マギウスは気付いていない様だな…。
しかし、アイムは視線に気がついたのか俺を見上げてくる。
「マスター…」
「あぁ、二人共、後方へ飛べ!」
衝撃波が放たれ、俺達三人は後方へ回避する。
衝撃波は地面に直撃し、辺りは軽く揺れる。
「な、何だ⁉︎」
衝撃波が放たれた方を見ると暗闇の中に赤い瞳が輝いていた。
目を凝らして見てみるとそこには巨大な蝙蝠が俺達を睨んでいた…。
「《インパクトバット》か…!」
敵意を感じ、俺達はそれぞれの武器を構えた。
「コイツを倒さないと奥には進めないな…!」
両拳に赤雷をスパークさせたマギウスは《インパクトバット》を睨みつけた。
「だったら、すぐにあの羽を叩き斬ってやる!」
エンゼッターを握り締め、俺達三人は一斉に駆け出した。
《インパクトバット》はそんな俺達に衝撃波を放ってくる。
俺達は散り散りに回避し、別方向から攻撃を仕掛ける。
俺はリボルバーガン、アイムはガトリング砲を連射し、《インパクトバット》の注意を逸らす。
その隙に別方向から、マギウスが赤雷を纏わせ、《インパクトバット》を殴りつけた。
感電しつつ、地面に叩きつけられた《インパクトバット》。
何とか立ち上がろうと《インパクトバット》は力を踏ん張るが、そんなヤツの両羽に向けて、アイムが剣を向け、斬り裂いた。
真っ二つに斬り裂かれた羽から大量の血が飛び出て、《インパクトバット》は悲鳴を上げる。
飛べなくなり、あまりの痛みに《インパクトバット》は倒れながら、暴れまくる。
ヤツが暴れた影響で辺りが揺れる。
だが、揺れと同時に俺は跳躍し、ヤツに向けて最大威力の《火炎放射》を放ち、それを受けた《インパクトバット》は悲鳴を上げながら、その場に倒れ、絶命した…。
経験値が俺達に入り、消滅する前の《インパクトバット》に向けて技能複写を発動し、頭の中に文字が刻まれた。
〈特殊技能《索敵》 《暗眼》を獲得〉
〈技能《超音波》 《衝撃波》を獲得〉
久々に新たな力ゲットだ!
「さて、前に進むか!」
戦闘を終え、俺達は洞窟のさらに奥へ進み、最深部にへと辿り着いた。
すると、天井の隙間から太陽の光が照らされ、そこには一輪の花が咲いていた。
あれが…治癒の花か…。
「治癒の花を発見」
「よっしゃあ!早速持って帰ろうぜ!」
「…どうやら、そうもいかないみたいだぜ」
軽く息を吐いた俺はウンザリする。
やっぱり、最深部に辿り着いてもそう簡単には返してくれない様だな。
俺の言葉にアイムとマギウスは振り返った。
そこには巨大なカマを俺達に向け、雄叫びを上げる巨大なカマキリがいた。
「《デスマンティス》…。お前があの治癒の花の守護神って事かよ…!」
呆れる様に笑みを浮かべた俺は《デスマンティス》を睨みつけた…。




