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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第四章 赤雷の鬼編
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少女の決意


マギウスとエルに連れられて、俺達はエルの暮らす村にまで来た。

村に入ると村人の視線が一気に俺達に向く。


恐らく、村の外から人が来るのが、久しぶりなのだろう。

そして、俺達はエルの家にへと入った。


そこで俺達が見たのはベッドに寝て、酷く痩せ細っていた父親らしき男性と母親らしき女性がいた。


「ただいま、お母さん」


エルが母親に声をかけると、母親は目に涙を浮かべた。


「もう!また村を出たんでしょ!お願いだから、心配させないで…」


エルを軽く叱って、彼女を抱き寄せた。

…いい母親じゃねえか。


「で、でもそれだとお父さんが!」


エルの視線はベッドで横になっている父親に向く。

父親は眠ってはいるが、苦しそうに魘されていた。


「これは…病気の類か?」


コンディションブレスを父親に翳すと病名が表示された。


「腐敗病…?」


「徐々に身体が弱り、腐っていく病気の事です」


「珍しい病気なのか?」


「うん。一万人に一人かかる病気。放っておくとこの人があぶない」


メリルとアイムの話を聞き、俺の視線は再び父親に移る。


「あの…貴方達は?」


ずっと俺たちの事が気になっていたのか、母親が問いかけてくる。

それにマギウスが答えた。


「彼等が森でエルを助けてくれたんだ」


マギウスの説明に、母親はまあ!、と声を上げる。


「本当にありがとうございました!何とお礼を申し上げればいいのか…」


「良いですよ。…それよりもエルはどうしてあの森へ?」


どうして危険だとわかっているであろう森に出たのか問いかけるとエルは俯きながらも小さく口を開いた。


「森の奥に洞窟があるの」


「森の奥…?フェル洞窟の事か!」


「エル…貴女まさか…」


エルが森に出た理由に気づいたマギウスと母親は驚きの表情を浮かべる。


「うん…。その洞窟の奥にある治癒のお花…。それを使えば、お父さんの病気も治ると思って…」


エル、お前…。


コンディションブレスでエルが話した治癒の花について調べた。

確かに治癒の花ならば、治せる可能性もあるな。


「…そうか。お父さんの為にあんな無茶を…」


目に涙を浮かべながら、エルは俯く。

そんな彼女を見たマギウスはエルの頭を撫でた。


「お前は強いよ、エル。大切なお父さんの為に森に出るなんてよ。…じゃあ、俺が取りに行ってやるよ。エルの勇気に俺も心打たれた!必ず、取りに戻ってくる!」


マギウスの言葉を聞き、エルはありがとう、と口にした。

エルの決意に胸を打たれたのは俺も同じだった。

俺はマギウスの肩を掴む。


「俺も手を貸すぜ、マギウス」


「アルト…」


「アルトお兄ちゃん…」


マギウスとエルの視線が俺に向く。


「流石に見逃せる状況じゃないからな。一人よりも二人いた方がいいだろ」


「…ありがとな。心強いぜ!」


拳をぶつけ合った俺とマギウスは笑い合う。

すると、アイムも歩いてくる。


「私も行く。…私も誰かの役に立ちたい」


確かに人数は多いに越した事はないな。


「構わないぜ。一緒に行こう!…メリル、お前は定期的に《ヒール》で治癒してやってくれ」


「わかりました!」


俺も出ていく際、エルの頭をポンポン、と手を置き、マギウス達と共に家を出て、森に入った。



森に入ったと同時に《ファングウルフ》の群れに襲われる。

俺、アイム、マギウスはそれぞれ《ファングウルフ》と戦い始める。


左腕のチェーンソーで《ファングウルフ》達を斬り伏せていくアイムを見て、マギウスは興味深そうな表情を浮かべる。


「どうした、マギウス?手が止まっているぞ!」


目の前まで《ファングウルフ》を引き寄せ、リボルバーガンを発砲し、倒しながら、手を止めているマギウスに声をあげる俺。


「あのアイムって子…。本当に魔導人形(サァリィ・ドール)なんだな」


「ん?あぁ、でも…」


未だ戦いを続けているアイムに視線を移しながら、話を続ける。


「アイツには心がある。誰かを想いやれる優しい心がな」


「それは俺もわかっているさ。だからこそ、頼りになる」


アイムの姿を見て、マギウスが微笑んだので俺もクスリ、と笑った。


「そうだな。だけど、頼りになるのはアイムだけじゃない。メリルもだ」


「お前は本当に仲間を信頼しているんだな」


「まあな」


「二人共、サボってないで戦って」


微笑み合う俺達に気づいたのか、アイムが声を上げた。


「あぁ、すまない!」


「おう!」


俺達も戦闘を再開し、《ファングウルフ》を全て倒し、先に進んだ。

そして、洞窟の入り口に着く。


「ここがフィルの洞窟の入り口か…」


「ここから正念場だぜ!行くぜ!」


マギウスの言葉に頷き、俺達は洞窟の中にへと入った…。






それをまたもや俺達を監視していた夕霧 キリヤとアナトスがいた。


「今度は鬼との遭遇か…。アイツ等は余程面倒な騒動が好きな様だな」


「…接触するのはもう少し後の方がいいわね」


「まあ、俺はいつでもいいがな。…にしても嫌な匂いがしてきやがる…。俺の気に入らねえ…胸糞悪い匂いが…」


夕霧 キリヤは鼻で笑いながらも険しい表情を浮かべた…。


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