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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第四章 赤雷の鬼編
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赤雷


俺に向かって殴りかかって来た鬼の男は真っ直ぐ俺を睨んでいる。

その目は単純に仕掛けて来たのではなく、大切なモノを傷つけられた時に見せる許せなさの目だった。


このままでは危険だと、担いでいた少女を下ろす。

その事にさらに鬼の男は目を鋭くさせる。


「テメェ!その子に触るな!」


今度は叫んできた。

よほど俺に対して、怒りを覚えているんだな…。


「何に怒っているのかは知らねえが…少し話を聞け。俺は麻生 アルト。冒険者だ」


「冒険者…?って事はやっぱり、テメェも軍に手を貸しているのか?」


軍…?

まさか、魔虎牙(まこうが)軍の事か…?


「嫌、俺達は軍には手など貸していない。俺達はある依頼を受けて、この場所に来たんだ」


「ある依頼…?何なんだよ、一体?」


俺は鬼の男を少し睨み、口を開いた。


「ここの近くの村を襲ったヤツを討伐しに来た…。ソイツは鬼だとな」


「…!」


鬼、と言う言葉を聞き、鬼の男は表情を険しくさせる。


「…お前の事だよな?鬼ってのは…」


「確かにこの付近にいる鬼は俺一人だ。だが、お前は真実を知らない」


真実…?


「真実…?だったら、その真実ってのを教えてくれよ」


ヤツの真実という言葉に興味がいき、問いかけるが、断る、という言葉で打ち消された。


「俺がお前を信用できない限り…話す事は何もない」


鬼の男は手の甲部分にある鉱石が埋め込まれた手袋を両手に嵌め、構える。

…どうやら、やる気って事か…。


俺も少女を下がらせ、エンゼッターを鞘から抜き、剣先を鬼の男に向ける。


「拳を向けたからには…覚悟決めろよ?」


「俺の台詞だ!」


戸惑う少女の元にメリルとアイムが駆け寄る。


「お、お兄ちゃん達…やめて!」


少女が俺達を制止させようとするが、俺達は止まる気配を見せない。


「安心しろ、エル。すぐに終わらせてやるからよ!」


「終わるのは…どちらかはわからねえがな!」


拳を構え、俺に突っ込んで来た鬼の男の右ストレートをエンゼッターの峰部分で防ぐ。

鉱石部分と剣身がぶつかり合い、火花が散る。


すぐさま俺は鬼を蹴り飛ばす。

軽く吹き飛んだ鬼は受け身をとり、俺に急接近し、ラッシュを仕掛けて来た。


エンゼッターで防ぎ続けるが、軽く弾かれ、腹にフックを受け、顔面に横蹴りが浴びせられる。


俺はぐっ!、と悲鳴を上げながら、地面を転がり、倒れる。

そんな俺に追撃をかける様に鬼は俺の下に跳躍して来て、勢い良く、俺を踏み潰そうとしたが、転がりながら跳躍し、何とか回避に成功。


息を整えながら、再びエンゼッターを構える。


「今のを避けやがったか」


「ハァ…ハァ…。ったく、回避に遅れていたら、即死だった…。おっそろしいヤツだな…!」


顔面を蹴られた際、口の中を切ったのでペッ!、と血を吐き出した。


「そろそろ降参したらどうだ?このままじゃ、お前は死ぬぞ?」


「…それは、できないんだよ!」


《斬撃》を放ち、光の刃は鬼に襲いかかる。

鬼は腕をバツに組み、《斬撃》を防ぐ。

着弾した《斬撃》は起爆し、爆煙が立ち込める。


それを利用し、俺は鬼に急接近…。

鬼は俺に気づいたが、時既に遅し、《パワーパンチ》で殴り飛ばした。


爆煙が晴れるとそこには倒れている鬼の姿がある。

だが、鬼はゆっくりと立ち上がり、再び拳を構える。


「…へぇ、やるじゃねえか。熱くなってきたぜ!」


ニヤリ、と笑った鬼は力を蓄積させる。

すると、彼の身体に赤色の電撃がスパークする。


バチバチ、と音を立て、赤色の電撃を纏った鬼を見て、俺だけでなく、メリルやアイムも驚愕の表情を浮かべる。


「あ、あれはまさか…!」


赤雷(せきらい)…!」


赤雷(せきらい)…。

その名の通り、赤い電撃だ。


この世界の電撃の色は俺が使う黄色、青、赤と分類される。

黄色と青は一般的で、赤の電撃はあまり見られないモノだった。


それを難なく、発動した鬼に俺は警戒を強める。


「お前…赤雷使いなのか…!」


「あぁ…この力を知っているなら、威力も知っているよな?」


鬼は右手を俺の方へ向け、掌を広げる。

すると、掌の中心に電撃の塊が形成される。


「《エレキスマッシュ》!」


電撃の塊を俺に向けて放ってきた。

あまりの威力、早さに俺は対応できず、電撃の塊を受けて吹き飛ばされた。


「アルトさん!」


「マスター…!」


メリル達の心配する声が聞こえる。

爆煙が晴れ、俺は軽くよろけながらも未だエンゼッターを構えている。


「…俺の赤雷を受けて、まだ立っているとはな…」


俺が立っている事に驚きを見せる鬼。

…だったら、俺も本気を出すしかないな…!


俺は動きだし、《光波》を数発放った。

その光の光弾を鬼は赤雷を纏わせた両腕で弾く。


それを見た俺は《クイックジャンプ》で一気に接近する。


「同じでは喰らうかよ!」


俺の姿を捉え、鬼は赤雷を纏わせた右足で回し蹴りを浴びせようとした。

しかし、それを《閃光》で回避と同時に、ヤツの背後に回る。


そして、右腕に炎を、左腕に雷を纏い、鬼を殴りまくった。

連続ラッシュの後、勢い良く蹴り飛ばした。


鬼は吹き飛び、地面に倒れる。

だが、すぐにゆっくりと立ち上がる。


「テメェ…何モンだ?さっきの光属性の技能(スキル)だけでなく、炎属性や雷属性まで使えるなんて…!」


「俺か?俺は…無職(ジョブ無し)だ」


俺の言葉を聞いた鬼はは?、という表情をした。


無職(ジョブ無し)だと…⁉︎嘘つけ!お前のその力は無職(ジョブ無し)のモノなんかじゃねえ!」


そんな事言われてもなぁ…。

ため息を吐きながら、俺は頭を掻く。


無職(ジョブ無し)なのは事実だぜ?…それよりももうやめにするか?」


「冗談言ってんじゃねえよ!」


両腕に纏った赤雷をスパークさせた鬼は俺に急接近してきた。


「甘い!」


それを読んでいた俺は鬼を蹴り上げた。

そして、跳躍し、鬼を飛び越えてきた所で《スピンキック》で鬼を蹴り落とした。


地面に音を立てて、落下し、砂埃が立ち込める。

俺もスタ、と着地したその時、砂埃の中から鬼が飛び出て俺の首元を掴み、首を締める?


「ガッ…⁉︎アァッ…!」


あまりの苦しさに俺は抵抗するが、鬼は手を離す気はなく。

さらに身体の赤雷をスパークさせ…。


「《エレキバースト》!」


強力な電撃をスパークさせ、掴んでいる俺にまで電撃が襲った。


《電撃無効化》の特殊技能(スペシャルスキル)を持つ俺が効いているのは相手が赤雷だからだ。


俺が耐えられる電撃はあくまで黄色だけ…それ以外の電撃はダメージを受けてしまう。


強力な電撃が俺を襲い、首を絞められながら、悲鳴を上げる。


このままではマズイ…!

遠のいていく意識の中、俺は腕を動かし、鬼の胸に目掛けて、《アイスニードル》を放つ。


ゼロ距離で放たれたので《アイスニードル》

は鬼に突き刺さり、鬼は俺を離し、後方へ飛ぶ。


離された俺は電撃からも解放され、地面に崩れ落ちたが、何とか立ち上がる。

鬼も口から血を吐きながら、身体に刺さった氷柱を抜いた。


「(コイツ…油断ならねえ…!)」


これが鬼の心境だった。

余裕そうに戦いを進めているが、尽く、俺に阻まれている。


それは俺も同じだ。

少しでも気を抜けば、負ける…!


お互い肩で息をしながら、睨み合う。


「待って!」


そこへ、俺達の間に先程の少女が割って入って来た。

それには俺達や鬼も驚く。


「おい、来るな!」


「何やってんだ、エル!下がっていろ!」


俺と鬼が叫ぶが、少女は聞く耳を持たず、首を何度も横に振る。


「いいから、エルの話を聞いて!」


必死に訴えに俺と鬼は顔を見合わし、鬼が頷いて来たので俺も頷き、エンゼッターを鞘にしまう。


少女は俺達が狼から守ってくれた事を鬼に話した。

それを静かに聞いていた鬼は急に俺に頭を下げて来た。


「す、すまなかった!俺…早とちりしちまったみたいだな。エルを助けてくれてありがとな!」


…案外すぐに信じるんだな。

だが、俺は警戒を解かずにいる。


コイツが依頼人の村を襲った鬼かも知れないからだ。

すると、少女がまたもや口を開いた。


「…近くの村なんて、滅んでいないよ?」


「は…?」


少女の言葉に俺はポカン、となる。

どういう事だ、と俺達は少女と鬼を何度も見た…。


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