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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第四章 赤雷の鬼編
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差別


馬車を借り、依頼した男の指定した場所付近に着いた俺達はまず、近くの村で話を聞く事になった。


「すみません。この近くで村が襲われたと聞いたのですが…」


「村?あぁ、あれは災難だったなぁ…。襲ったのは鬼だろう?全く…だから、亜人はダメなんだよ…」


聞いた話では亜人は人間からよく思われていないみたいだ。


キーズの様な獣人は人間体なれるから、怪しまれないが、亜人は人間の見た目に他の動物の部分が存在している。


言い方が悪いが、気持ち悪いという奴らもいる。


俺は正直、人間が亜人を見下すなどよく思っていない。

同じ生命でこの世界で生きているのだから…。


亜人はダメと言った村人の言い方に俺は反論を我慢していたが、それを聞いていたアイムはボソッと呟いた。


「人間だって、ダメな人がいる」


アイム…⁉︎


不機嫌そうな顔で村人を睨みつけている。

…そうか。彼女も魔導人形(サァリィ・ドール)…。


人形だと下に見られているはずの存在だったな…。

アイムの言葉に反応した村人は反論してくる。


「ダメな人間もいるだって…?俺達もあの薄汚い獣と一緒という事か⁉︎」


「同じ心を持っているから一緒。それを下に見る貴方達の方が薄汚い」


「この…子供だからと言って、甘く見ていれば、調子に乗って!」


村人達が集まり、アイムと言い合いになっていた男はアイムを打とうとするが、俺がその手を掴む。


「そうやってすぐに手を出すから薄汚いって言われるんじゃないのかよ?」


キッ、と村人達を睨むと彼等は俺に怯んだが、言い返してくる。


「亜人の味方をすれば、軍が黙っていないぞ!」


軍か…。

確かにアイツ等は亜人を奴隷の様に思っていると聞いたが…。


成る程、コイツ等は軍信者ってワケかよ。


「亜人の味方であろうとなかろうと…亜人だって、この世界に住む同じ生命だろ?俺からすれば、お前等の方が相当おかしいと思うがな」


男の手を離し、俺は村の出口に向かって歩き出した。


「行くぞ、アイム、メリル。ここにはもう用はない」


苛立ちを抑えながら、俺達は村から出た。

森の中を歩いているとアイムが俯いている事に気づく。


「どうした、アイム?」


「ごめんなさい…私が余計な事を言ったから…」


確かにこれではあの村にはもう行けないな…。

その事に罪悪感を覚えているのか…。


「大丈夫ですよ、アイムさん。アイムさんは何も間違っていません!」


「言い過ぎってのも良くないが、言いたい事をはっきり言う…これも立派な心を持っている証拠だぜ?それは誇ってもいい」


「マスター…メリルお姉ちゃん…」


俺達を見上げたアイムはクスリ、と笑った。


「ありがとう」


その笑顔に対し、俺は彼女の頭を撫でた。


「だが、はっきり言い過ぎると相手を傷つける事もあるから、それだけは覚えておけよ?」


「うん」


アイムの頷きを確認した俺は彼女の頭から手を離し、歩き出した。


「それよりも…これからどうするのですか?」


「とにかく、別の村で情報収集だな」


そう言い、歩き出そうとしたその時だった。


「助けてぇぇぇっ!」


突如、子供の悲鳴が聞こえ、俺達は互いの顔を見た後、その声の元まで走った。



悲鳴が聞こえて来た場所に着くとそこには複数の狼に囲まれ、恐怖で動けなくなっている女の子がいた。


見たところ、周りに親らしき人も見当たらない…。

このままでは女の子が狼達に喰い殺される…!


少女を助け出す為、俺はエンゼッターを鞘から引き抜こうとしたが、メリルに止められる。


「アルトさん、ここはお任せください!新しい技能(スキル)を試してみたいので!」


そう言うとメリルは前に立ち、技能(スキル)を発動した…。


「《シューティングスター》!」


技能(スキル)名を叫ぶと空から無数の流れ星が落下し、狼達に直撃し、絶命した。


「やりました!」


「流石はメリルお姉ちゃん」


グッドポーズを見せてくるメリル。

それを返す様にアイムもグッドポーズをする。


だが、俺は…。


「阿保女神」


彼女の脳天にチョップを浴びせた。

チョップを受けたメリルは痛っ!、と言う悲鳴を上げる。


「な、何するんですか⁉︎」


目元に涙を浮かべながら、頭を押さえ、俺を睨んでくる。


「近くにあの女の子がいるのに広範囲技を使うヤツがあるか」


溜息を吐き、俺は少女に近寄る。

そして、少女に視線を合わせる様に膝をつく。


「大丈夫か?怪我はない?」


俺の問いに少女は未だ怯えながらも、頷く。


「あ、ありがとう…」


細々と小さい声でお礼を言われて、俺は微笑み、少女を立たせようと手を出したその時だった。


「その子に…手を出すんじゃねえぇぇぇぇっ‼︎」


掛け声と同時に何者かが殴りかかって来たのを確認した俺は少女を抱き抱え、避けた。


空振りに終わった拳は俺が立っていた地面を抉る。

その手は電撃を帯びている。


殴りかかって来た者を見た俺は驚く。

殴りかかって来たのは男で見た目は紺色の短髪。


特にそこ普通だったが、彼の頭に生えている二本のツノに目がいく。


「そのツノ…まさか、お前…鬼なのか…⁉︎」


人間と変わらない見た目だが、頭には確実に人間には生えるはずのない二本のツノが生えている。


その鬼は俺をキッ、と睨みつけ、拳を構えた…。


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