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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第三章 帝都ガイール編
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姉と妹


15(フィフティーン)の攻撃から俺を守った16(シックスティーン)…。


何故彼女が俺を守ったのか…。

確かに、俺は彼女達をキーズから解放するとは言ったが、彼女が俺を守る理由にはならないはずだ。


ましてや、今の行動は彼女のマスターであるキーズへの反逆となる。

それなのに何故…。


俺を守った16(シックスティーン)は真っ直ぐ15(フィフティーン)とキーズを見る。


「シ、16(シックスティーン)、貴様…!これは何の真似だ⁉︎」


「申し訳ありません、マスター。彼を殺すワケにはいかないのです」


16(シックスティーン)…」


彼女は本当に俺を守る気でやったのか…。

すると、彼女は目線だけを俺に向ける。


「貴方には約束を守って頂きたいので」


「お前…」


そうか…。

アイツは本当にキーズから解放されたいんだな…。


16(シックスティーン)、約束とは何?マスターに逆らって、無事でいられるとでも思っているの?」


「話す気はないわ、15(フィフティーン)。…マスター、お聞きしたい事があります」


16(シックスティーン)の問いにキーズが興味深そうな顔をする。


「何だ?言ってみろ」


話を聞こうと、再び王座に座るキーズ。

それに対し、16(シックスティーン)は静かに問い出す。


「マスターは…。1(ワン)達を囮として…最初から彼女達が破壊される事を見越して、彼女達を麻生 アルト達と戦わせたのですか?」 


「そうだ。お前達のデータは取ってある。いつでも新しい物が造れるからな」


それを聞いて、16(シックスティーン)は顔を俯かせる。


「…貴方は…私達に心があるとお思いですか?」


「つまらん事を聞くな。お前達は私に造られた魔導人形(サァリィ・ドール)。ただの道具だ。…お前達の様な鉄の塊に心をなどあるはずがないだろう?」


コイツ、本人達の前でなんて事を…!


「では、最後の質問をします…。貴方は、私達でさえも使えなくなったら、処分しようとお思いですか?」


「当然だ。私に尽くさないガラクタなど不必要だ。そんな物を処分しようが私の勝手だ」


16(シックスティーン)は小さく身体を震わせる。

…もう我慢できねえ…!


「…では、私は貴方には抵抗します!」


俺が声を張り上げようとしたが、その前に16(シックスティーン)が顔を上げ、声を上げた。


その彼女を見た俺や15(フィフティーン)は驚く。


16(シックスティーン)、貴女…」


それを聞いたキーズが声を出して、笑い出した。


「フハハハッ!製作者である私に歯向かうと言うのか…。そうか、そうか…」


尚もククク、と笑い続けているキーズだが突然、豹変し、叫んだ。


「鉄屑如きが意気がるな!15(フィフティーン)!この鉄屑を処分しろ!」


それを聞いた15(フィフティーン)は一瞬、苦い顔をしたが、すぐに16(シックスティーン)を睨んだ。


「了解」


「麻生 アルト…。貴方は手を出さないでください。15(フィフティーン)は私が倒します」


そう言い残し、16(シックスティーン)15(フィフティーン)に突っ込んだ。

彼女達はお互い、左腕を鋼鉄の腕に換え、パンチをぶつけ合う。


さらに、右腕も鋼鉄の腕に換え、ラッシュをぶつけ合う。


「貴女には私のデータもある…。だけど、最強の私には勝てない」


「それでも勝てないワケではない」


強力なパンチをぶつけ合い、二人は距離を取る。


「貴女…まさか、麻生 アルトに何かされたの?」


「何もされていない。強いて言うのであれば、彼から心を教えて貰った」


「心?私達は機械よ。心なんてない」


俺の教えた心という言葉を15(フィフティーン)にも投げかけるが、彼女に否定される。


心という言葉を否定した15(フィフティーン)は左腕を剣に換え、16(シックスティーン)に斬りかかる。


すぐさま、16(シックスティーン)も左腕を剣に換え、攻撃を防いだ。

次に剣をぶつけ合う二人。


金属音が鳴り響き、どちらも一歩も引かない戦いを見せる。

このままでは何もならないと二人はまた距離を取った。


15(フィフティーン)、貴女は嘘をついている」


「嘘…?」


「貴女には心がある。そして、それを理解している…。でも、貴女はそれを認めようとしていない」


「…」


「貴女にもあるのよ…。優しい心が…」


「その様なモノはない!」


声を上げ、再び斬り付けてくる15(フィフティーン)の攻撃を左腕に切り替えた盾で防いだ。


「私達は魔導人形(サァリィ・ドール)!マスターの道具よ!道具の私達が心なんてあるはずがないの!」


盾ごと16(シックスティーン)は吹き飛ばされるが、盾を引きずり、動きを止める。


「どうしてそう言い切れるの?」


「…ッ…⁉︎」


「…私にはわかる。貴女はいつも私や1(ワン)達を心配してくれていた…。それは貴女が心があるから…違う?」


16(シックスティーン)の問いに15(フィフティーン)は俯く。

しかし、顔を上げ、否定の言葉を述べる。


「違う…!私は貴女達の事を心配なんてしていない!」


左腕をガトリング砲に換え、銃弾を連射する。

16(シックスティーン)も負けじと盾で防ぐ。


「それが嘘…!貴女はいつも私達の事を気にかけてくれた!貴女は、私を妹として見守ってくれた!」


無数の銃弾を盾で防ぎながら、15(フィフティーン)に接近し、右手で殴り付けた。

軽く吹き飛び、地面に倒れる15(フィフティーン)だが、すぐさま立ち上がる。


「それが心を持つ本当の貴女…!貴女はその心に気付いていながら、ずっと否定していた!マスターに抵抗できなかったから!」


核心を突かれたのか、15(フィフティーン)は顔を険しくさせる。


「私は…私は…!」


「もう苦しまなくていいよ、15(フィフティーン)。私が貴女を助けて上げるから。…妹として…!」


「ッ…うあああああっ‼︎」


魔導人形(サァリィ・ドール)としての15(フィフティーン)と心を持つ15(フィフティーン)が葛藤し、彼女は声を上げた。


そして、左腕をチェーンソーに換え、16(シックスティーン)に斬りかかった。

それを盾で防ぎ、鋼鉄の右腕で殴り返す。


16(シックスティーン)の鋼鉄の拳は15(フィフティーン)を捉えるが、負けじと彼女も16(シックスティーン)の頬に右腕で殴る。


そして、お互いに蹴りを浴びせ、後方へ軽く飛ぶ。


地面に転がりながらも立ち上がった両者は鋼鉄の右腕を構える。


「私を助けると言うのなら、私を越えてみなさい!16(シックスティーン)!」


「越えてみせる…!そして、貴女を…お姉ちゃんを助ける!」


言葉を発した二人は一斉に駆け出し、鋼鉄の右腕を構え、相対時に突き出した…。


お互いの腹に直撃したと思える互いの拳…。

しかし、実際は…。


「グフッ…⁉︎」


「…私の…勝ち!」


15(フィフティーン)の拳は届いておらず、16(シックスティーン)の拳が確かに15(フィフティーン)の腹を捉えていた…。


強力な一撃に15(フィフティーン)は前に倒れそうになるが、それを16(シックスティーン)が支える…。


そして、細々とした声で15(フィフティーン)は話し始める。


「フ、フフ…。効いたわ、貴女の一撃…」


16(シックスティーン)…」


負けたはずなのに笑みを零す15(フィフティーン)を見て、16(シックスティーン)は驚く。


「貴女の言う通り…私は心を否定していた…。いや、認めたくなかったの…。それを認めてしまえば、マスターを否定してしまう事になる。…私はマスターに造られた存在だから…」


どれだけ認めたくない命令でもキーズがマスターである限り、断れない。

…何故なら、キーズが彼女達を造った男だからだ。


「でも、貴女のおかげで目が覚めたわ。ありがとう…」


「違うよ、お姉ちゃん。私だって、あの麻生 アルトに教えられたの。心の意味を…心のあり方を…」


それを聞いて、15(フィフティーン)は微笑んだ。


「そう…。良い人に出会えたわね、私達は…」


「うん。彼は私達を道具としてではなく、一人の心ある者として接してくれる…」


「まさに恩人ね…。私もこれから…ガッ…⁉︎」


これから貴女と生きたい…その言葉を掻き消された…。

巨大な爪で15(フィフティーン)の身体を貫いた者の仕業により…。


そのまま15(フィフティーン)は力を失い、ダラン、と16(シックスティーン)の横を通り過ぎ、倒れた…。


「お姉ちゃん⁉︎」


15(フィフティーン)!」


俺達が彼女の名を叫ぶ中、その光景を見て、巨大な爪で15(フィフティーン)を貫いた者…キーズ・リファパインはニヤリ、と笑みを浮かべた。


腕が変化した…⁉︎

まさか、奴は獣人なのか…⁉︎


そして、キーズは高らかに笑い出し、16(シックスティーン)は何度も、お姉ちゃん、と叫んでいた。


それを嘲笑うかの様にキーズは口を開く。


「15《フィフティーン》…。お前も愚かなガラクタだった様だな。…敗者のゴミに存在する価値はない」


キーズの…奴のその言葉を聞いて、俺の中の何かが弾け…。


「キーズゥッ‼︎」


俺の叫びが部屋内に響き渡った…。


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