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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第三章 帝都ガイール編
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侵入


アクアースへ戻った俺達は気を失っていたギル隊長や騎士達に《ヒール》をかける。


すると、彼等は目を覚まし、キーズが裏切り者で、リフィルとメリルを拐った事を話した。


「やはり、キーズ殿が…!それに魔導人形(サァリィ・ドール)の開発まで彼が関与していたとは…」


してやられた、と拳で壁を殴りつけるギル隊長。

それを横目に俺はリフィルを拐った理由を話す。


「あのキーズって男の目的は帝都ガイールを乗っ取る事だ。リフィルはその人質ってワケだな」


「アルト!早く、あの二人を助けに行こうぜ!」


今にも助けに行きたい、というグレンを俺は落ち着かせる。


「落ち着けよ、グレン。助けに行きたくても奴等の場所が……いや、待てよ…」


そう言えば、16(シックスティーン)は反対側の道を進んでいた…。

なら、その先に何かがあるはずだ。


「グレン、ザイガンの谷の底へ降りるぞ」


「…お前が言うからには何かあるんだな?…なら、行こうぜ!」


こう言う時にコイツは頼りになる。


「アルト君、我々もいくぞ!」


ギル隊長に続き、騎士達もリフィル達の救出作戦に参加しようとしたが…。


「いえ。貴族の居なくなったこの町を狙う奴等がいるかも知れません。騎士団の皆さんはこの町の防衛に専念してください」


アクアースの防衛に当たって欲しい…。

そう頼む俺だが、騎士達は納得のいかない声を上げる。


しかし、ギル隊長は目を閉じ、静かに呟いた。


「…君達ならば、王女様達を助けられるのだな?」


「…必ず」


俺の目を見たギル隊長はクスリ、と笑い振り返る。


「お前達、町の住人を守るのが我々の仕事だ!王女様達は彼等に任せる!」


ギル隊長…。


「任せるぞ、冒険者所君!」


これは…失敗出来ないな。


「さあ、行こうぜ!アルト!」


「ああ!」


拳をぶつけ合った俺とグレンはザイガンの谷に向かう。

騎士達の声援を背に受けながら…。




谷に着いた俺達は早速、崖を下り、始める。

そして、底へ着いた俺達は谷底を見渡す。


「へぇ、谷底ってこんな風になっていたのか…」


興味深そうに辺りを見渡すグレン。

俺は16(シックスティーン)が歩いて行った方を見る。


この先か…。

俺達は歩き始め、途中モンスターに襲われるが、返り討ちにして、先に進む。


暫くした後、一番奥まで辿り着く。

しかし、そこは見渡す限り、壁しかなかった。


「ん…?おい、行き止まりだぞ?」


「…いや、此処には何かあるはず…。っ?」


空気の通りが不自然だと、思った俺は一つの蝋燭を取り出す。


アイテム、〈キャンセル・キャンドル〉…。

幻影や洗脳の技能(スキル)を解除できるアイテムだ。


〈キャンセル・キャンドル〉に火をつけると煙が立ち込め、俺達の前方に大きな施設が現れる。


「建物が出てきたぞ⁉︎」


「幻影で姿を眩ましていたか」


これで漸く、足をつかめた。

俺達は施設の中に入って行った…。




それを前回、この谷で俺を見ていた男と少女が見ていた。


「…」


「えらく不機嫌そうな顔してるじゃねえか」


不機嫌そうな表情をする少女を茶化す男。


「…女神のクセに人間に捕らえられるなんて、甘いわ…」


「まあ、それは言えてるな。…んで、助けに行くか?」


「冗談言わないで。私達の目的はあくまでも監視よ」


「へいへい」


少女の返答に男はつまらなそうに息を吐き、二人は崖の上から飛び降りた…。





俺達が施設の中に入った頃…。

施設の奥ではメリルとリフィルが鎖により囚われていた。


メリルは脱出を試み、リフィルはずっとキーズを睨んでいる。


「リフィル様。そろそろ睨むのをお辞めになってはどうです?」


「…私は貴方を絶対に許さない!何をされても屈しはしないわ!」


彼女の気迫にキーズは少し押されるが、すぐに笑みを浮かべる。


「その余裕の表情が悲しみに変わる所を早く見たいモノです」


すると、13(サーティーン)が現れる。


「マスター。施設内に侵入者です」


モニターが表示されると施設に侵入した俺達が映り出される。


「アルト!」


「アルトさん!グレンさん!」


俺達の姿を見て、メリルとリフィルに笑顔が戻る。

しかし、キーズはククク、と笑う。


「あの幻影を破るとは…冒険者も侮れないな。11(イレブン)12(トゥエルブ)13(サーティーン)14(フォーティーン)。警備ロボを従え、奴等を消去しろ」


「「「「了解」」」」


キーズの命に11(イレブン)達は頷き、その場を去った…。


しかし、モニターに映る俺を16(シックスティーン)が浮かない表情で見ていた事を15(フィフティーン)以外、誰も気がつかなかった…。





奥に進む俺達だったが、気づかれたのか、警報が鳴り響いて、警備ロボが襲いかかってきた。

人型のロボットでやり辛いが、何とか、斬り伏せていく。


するとそこへ、11(イレブン)12(トゥエルブ)13(サーティーン)14(フォーティーン)が現れた。


「麻生 アルト、グレン・アビス…。ここで消去する」


11(イレブン)達を見て、俺達も警戒する。

それと同時にこの施設こそがキーズ達の隠れ家という確信を得る。


「ここがアイツ等の隠れ家で間違いない様だな」


「そうみたいだな。じゃあ、アルト。此処は俺に任せて先に行けよ」


グレンは残って、11(イレブン)達との戦いを請け負うと言ってきた。

勿論、俺は反論する。


「だが、お前…!」


「リフィル王女を守るのはお前の依頼だろ?それにメリルもお前も相棒だ。…女を待たせんじゃねえよ」


グレン…。


「わかった…。頼んだぞ、グレン!」


グレンの決意を無駄にはせず、彼に感謝して、俺は11(イレブン)達を通り過ぎ、奥に進む。


「させない」


だが、それを阻む様に11(イレブン)達が俺に襲い掛かるが、グレンが攻撃を防いでくれた。


「おっと…お前等の相手は俺だぜ!」


剣身に炎を纏わせて、グレンは叫んだ…。





グレンが戦闘を開始した頃、俺は襲いかかってくる警備ロボを薙ぎ払い、ある部屋へと辿り着く。


「まだ続くのかよ…!」


早く奥にたどり着かないと…!

そう思い、再び走り出そうとしたその時、俺の真上から何かが落下して来た。


突然の奇襲を避けた俺は奇襲を仕掛けてきた者を見て、顔を険しくする。


「やっぱりお前も立ち塞がってくるか…」


その者は水色のツインテールの髪に緑の瞳をした少女が立っていた。

頬を伝う汗を拭いながら、俺は少女の名前を叫んだ…。


16(シックスティーン)…!」


そう、俺の前に立ち塞がっているのは、谷底で言葉を交わした16(シックスティーン)だった…。


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