15《フィフティーン》
突如として襲いかかって来た16そっくりの少女達。
1率いるアームドシリーズ隊…。
奴等は俺の出会った16の姉達という事か…。
「貴方が16と互角に戦った男ね。…リフィル・ガイールを手渡せば、生命は取らない」
「渡せって言われて、大人しく渡すとでも思うか?」
俺とグレンがリフィルを守る様に立つ。
「では、致し方ない。2、3、4、5は私とあの黒髪の男を…6、7、8、9、10は赤髪の男を殲滅」
1の言葉に他のアームドシリーズは了解、と頷き、共に襲い掛かってきた。
「グレン!五人程任せるぞ!」
「よっしゃあ!任された!」
俺達は左右に分かれ、アクアース近くの林に入る。
リフィルを戦闘に巻き込まない為だ。
6、7、8、9、10と戦闘を開始したグレン。
一対五という不利な戦闘ではあるが、グレンには後退という文字は存在していなかった。
6、7がチェーンソーでグレンに斬りかかる。
それを避け切るグレン。
「(正直、あのチェーンソーって武器は防いでも弾かれるだけだ。…それなら、避けて避けて、様子を伺うだけだ!)」
《小火球》を複数放ち、彼女達から距離を取る。
「動きが雑…!」
しかし、《小火球》を避けながら、グレンの真上に接近した8《エイト》と10《テン》。
「嫌、かかったのはそっちだ…《炎弾》!」
剣身型の炎の矢が8《エイト》と10《テン》を貫き、二人は落下する。
その二人に向かって、跳躍したグレンは剣を振るい、二人を斬り裂くと彼女達は音を立てて、爆散する。
9が剣を装備し、攻めて来るが、剣で防ぎ続けるグレン。
隙を見つけ、蹴りを彼女のボディに浴びせ、剣身に炎を纏わせる。
「《灼熱斬》!」
炎を纏った一振りを受け、斬り裂かれた9も爆散する。
「この男の危険度も上昇…」
「危険…!」
既に三人も破壊された事でグレンを警戒し始める6と7。
彼女達は左右に分かれて、挟み撃ちで攻撃しようとした。
しかし、グレンは避けようもせず、剣を地面に突き刺し、力を込める。
「お前等の装甲は確かに強いが…俺の炎はそれすら、焼き尽くすんだよ!…《炎天下》!」
グレンの地面の周りに炎が噴き出て、6と7を飲み込んだ。
彼女達は爆散する前に炎の威力に灰となり、消滅した…。
「炎…舐めんじゃねえぞ!」
誰もいないはずの場所でグレンはそう叫んだ…。
1、2、3、4、5と戦う俺…。
16との戦いで彼女達の武装を大体把握していた俺は技能を駆使して相対する。
チェーンソーを構えて突進して来る4に対し、俺は地面に手を置き、《冷気》を発動し、彼女の足下を凍らせる。
4を助ける様に2が右腕にガトリングランチャーを装備し、連射してくる。
「へえ、ガトリングランチャーもあるのか!」
《バリア》で防いだ俺はリボルバーガンを2とその横にいた3《スリー》に向ける。
「《ディメンションバレット》!」
無数の弾丸が放たれ、彼女達を襲い、《閃光》を発動して、彼女達の背後に回り、《アイススラッシュ》で斬り裂き、彼女達を凍らせた。
そんな俺に5が剣を振るって来たが、エンゼッターで防ぎ、蹴り飛ばした。
その後、跳躍して、カチカチに凍っていた2と3に向けて、リボルバーガンから《アイススティック》を発動…。
氷柱が凍る彼女達に直撃し、粉々に崩れ去った。
そして、足下が凍り、動けなくなっていた4の目の前に着地した俺は彼女に手を翳す。
「《火炎放射》!」
《火炎放射》を受けた4《フォー》は悲鳴を上げながら、燃え尽くされ、塵と化した。
飛行ユニットを装備し、上空から接近して来た5には《ポイズンバレット》を二発放つ。
毒の弾丸をモロに受けた5は機能が麻痺し、そのまま地面に落下する。
彼女に近づこうとした俺だったが、そこへ1が殴りかかって来る。
それをエンゼッターで防ぐと、彼女はバックステップで後方へ下がる。
その隙に俺は機能が麻痺し、動けないでいる5に接近し、《毒突き》で身体を貫き、彼女の機能は完全に停止する。
「…何なんだ、貴方はっ…!」
最も簡単に妹達が破壊されるのを目の前に1は声を震わして、後退る。
「ここまでやって、今更だが…。俺はお前を破壊する気はない。リフィルを守られればいいからな。大人しく退いてくれ」
これ以上、無用な争いを止めるために彼女へ忠告するが、彼女は逆に拳を強く握り締め、ワナワナ、と震え出す。
「ふざ、けるな…!妹達を破壊した貴方は既に敵…!ここで消去する!…《アイアンナックル》!」
拳を鋼鉄化させ、俺に殴りかかってくる1に対し、俺は《バリア》で防ぐ。
「仕方ねえ…。警告はしたぞ。覚悟があると認めてもいいんだな!」
《バリア》の解除と同時に彼女を蹴り飛ばし、リボルバーガンの銃口を彼女に向け、エネルギーを蓄積させる。
対する1も右掌から砲身を出し、エネルギーを蓄積させる。
お互いのエネルギーが溜まり、発射態勢に入った…。
「《フォトンビーム》!」
「《ビーム》!」
光線同士がぶつかり合い、辺りに電撃が起こる。
しかし、次第に俺の方が押していき…。
《フォトンビーム》は1《ワン》を包み込んだ…。
光線が消えると、そこには全身が焦げ、ボロボロの1の姿があった。
至る所から電撃が起こっている。
「…任務、失敗…。でも、あ、なた…では、15には、勝て、ない…」
その言葉を残し、1は倒れながら、機能を停止した…。
「分かってはいたが…アイツ等の様な奴等がまだいるのか…」
俺は辺りを見渡し、軽く息を吐いた…。
これは俺とグレンがアームドシリーズと戦いを繰り広げた頃だった。
メリルとギル隊長はリフィルを守る様に立っていた。
リフィルは俺とグレンの無事を祈っている。
「大丈夫ですよ、リフィルさん。アルトさん達ならば、負けませんよ」
「そうね…」
不安そうな顔をするリフィルを元気つけるメリル。
彼女の言葉にリフィルは笑顔になる。
だが…。
「彼等は大丈夫でも、貴方達は大丈夫じゃないわ」
声が聞こえ、警戒しつつ視線を声の方へ向けると、そこには青髪の少女が立っていた。
さらに後ろには四人のアームドシリーズの少女がいる。
「まだ仲間がいたのか!」
ギル隊長を中心に騎士達がメリルとリフィルを守る様に立つ。
「…邪魔」
右掌から砲身を出し、光線を放って、ギル隊長や騎士達を吹き飛ばした。
「ギルさん!皆さん!」
「…次は貴女」
青髪の少女…。15が標的をメリルに狙いを定め、急接近した。
「くっ…!《ファイアボール》!」
接近してくる15に向けて、《ファイアボール》を放ち続けるメリルだったが、全て避けられ、懐に入られてしまい…。
「ああっ⁉︎」
蹴り飛ばされてしまう。
「メリル!」
メリルに駆け寄ろうとするリフィルの首元に15は剣を向ける。
「ッ…!」
「マスターの命により、貴女を殺す事は出来ない。…でも、あそこの金髪の少女を殺す事は出来る」
15の言葉に背後に控えていたアームドシリーズの11、12、13、14が砲身を出し、砲口をメリルに向ける。
「やめてッ!私はどうなってもいいから!」
「リフィルさん…ダメです…!」
何とか立ち上がろうとするメリルだが、あまりのダメージだったのか、立てずにいた。
「言い訳が良い人は素敵ですよ。リフィル王女様」
突然、男の声が聞こえると、町からメリル達の見知った男が出てきた。
「あ、貴方は…!」
「キーズ…!」
そう。アクアースを守る貴族のキーズ・リファパインだった。
「貴方には人質になってもらいますよ。交渉の道具としてね。勿論、金髪の君も来てもらうよ」
キーズが命ずると11と12がリフィルを、13がメリルを捕らえる。
捕らえられながらもリフィルはキーズを睨み付けた。
「やはり…貴方の悪い噂は本当だった様ね…!」
「ええ。勘が鋭い方は嫌いなので…強硬手段とさせていただきました」
それを聞いて、メリルはある事に気づく。
「もしや…あの十人の魔導人形はアルトさん達を引きつける囮だったのですか…⁉︎」
「その通りですよ」
何処までも卑怯な奴…!、とリフィルは睨む。
「では、私の施設にご案内しましょう」
アームドシリーズは飛行ユニットを出し、メリルとリフィルを担いで、飛ぶ。
それに続いて、15とキーズを担いだ14も空を飛んだ…。
1達を倒した俺の元にグレンが駆け寄って来た。
「アルトー!」
「グレン!その様子だと、お前も勝ったんだな」
「あったり前よ!」
笑顔でグッドポーズを見せるグレンだが、俺は不満そうな顔をする。
「ん?どうしたんだよ?」
「…アイツ等、あまりにも呆気なかったと思ってな…」
俺の疑問を聞くと確かに、とグレンも考え始める。
取り敢えず、メリル達の元へ戻らないと…。
すると、そこへ…。
「アルトー!グレンー!」
リフィルの声が空から聞こえ、俺達は空を見上げるとアームドシリーズに捕らえられ、空を飛ぶリフィルとメリルの姿があった。
「メリル!リフィル!」
しかし、俺達の視線はすぐに男の方へ向かう。
「フハハハッ!見事に囮りに引っかかってくれたね、冒険者所君!」
男…キーズの姿を見たグレンは歯を食いしばる。
「アイツは…確か、キーズ!」
「誰だ?」
「アクアースの貴族だ。…リフィル王女の言葉通り、敵だったとはな…!」
悔しそうに拳を握るグレンを横目に俺は叫ぶ。
「二人を拐って何をするつもりだ⁉︎」
「金髪の少女はどうでも良いが、リフィル王女は人質だ。彼女を使い、私が帝都ガイールの王となる!」
「そんな事…させるかよ!」
いち早く動き出したグレンが《火球》を放つが、周りのアームドシリーズに防がれる。
「君達は大人しく見ているといい…。私が王となる瞬間をな!」
そう言い残し、飛び去ろうとするキーズ達…。
「逃すかよッ!」
《ウイング》を発動し、奴等に接近した俺だが、目の前に一人のアームドシリーズ…15が現れ、俺は回し蹴りを受けてしまった…。
その所為で地面に叩きつけられ、顔を上げると、そこには奴等の姿は既になかった…。




