救出での出会い
この度、カイト・レインと名前を改めさせていただきました!
これからもよろしくお願いします!
俺、ヴェイグ、グレンの攻撃を受けた百鬼夜行のリーダーはボロボロになり、《グラビティ》によって、地面に埋まっていた手下と共にヴェイグの部下に連行された…。
「それしても、ヴェイグ。お前、何しに来たんだ?また、百鬼夜行を捕えにでも来たのか?」
「嫌、今回は偶然だよ。私は君とメリルさんに話があって来たんだ」
俺達に話…?
「話とは何ですか?」
首を傾げ、質問するメリルにヴェイグは答えた。
「私達が拠点としている帝都ガイール…。その国王のメルド・ガイール様が君達に会いたいそうだ」
「国王様がアルトさんに…?」
…もしかして、シーリンの町の事件の事か?
「あの事件の事か…」
「あの事件?アルト、何かやらかしたのか?」
いや、グレン。お前も知っている事だっての。
「シーリンの町の事件だよ」
「あぁ、それか」
何だそれか、と言う顔をするグレン。
そんな彼に苦笑しながらも、ヴェイグは俺に視線を戻す。
「どうかな?」
「国王自らの呼び出しだからな。断る必要はねえよ。メリルもいいな?」
「はい!」
メリルは俺の問いに笑顔で頷く。
すると、再びグレンが口を開いた。
「ガイールに行くなら、俺も連れて行ってくれよ。クエストの達成報告をしないといけないんだ」
いや、騎士の馬車をタクシーの様に使うなよ…。
「構わないよ」
案外、簡単に承諾されてしまった。
ヴェイグ…人が良すぎるぞ。
「いいのか⁉︎」
「君は悪い人じゃないからね」
こうして俺、メリル、グレンはヴェイグの用意した馬車に乗り、帝都ガイールに向けて、動き出した。
…そう言えば、馬車に乗るのは初めてだな…。
「なあ、アルト?」
「ん?何だ、グレン?」
外の風景を眺めていた俺にグレンが話しかけて来たので、顔をグレンの方へ向ける。
「お前等さ、俺のギルドに入らねえか?」
おっと、そういう勧誘で来たか。
ギルドか…響きはいいんだけどなぁ…。
「無駄だよ、グレン。彼は騎士団の勧誘をも断ったぐらいだからね」
「マジかよ⁉︎騎士団の誘いを断るなんてよ!」
信じられない、と言う表情で俺を見るのはやめろ!
「お堅いのは合わないんだよ。…でも、ギルドか…。いいな、それ」
意外の好印象にグレンの表情は明るくなる。
「おっ!ギルドはいいぜ!」
「…何故だ。…アルト、君は私よりもグレンを取るというのか⁉︎」
はい…?
「いや、おい待て…」
「長き時を歩んだ私よりも先程出会ったグレンの元へ行くと言うのか⁉︎」
「誤解を招く事言うんじゃねえよ!それに、お前ともそこまで長い付き合いじゃねえだろ!」
俺の言葉にそ、そんな…!、とショックを受けるヴェイグ。
コイツ、ボケるとめんどくさいな…。
それから、メリル。
何故、お前は顔を赤らめる?
俺にそっちの趣味はねえよ。
そんな話をしていると馬車が急停止する。
何事かと、俺達は御者に問いかける。
「どうした⁉︎」
「ぜ、前方にモンスターの群れがいるのですが…騎士団の馬車が襲われています!」
「何だって⁉︎」
御者の言葉に俺達は馬車を飛び出し、自分達の目で確認する。
確かに、モンスターの群れが馬車を襲っていて、四人ほどの騎士が馬車を守る様にモンスターの群れと戦っていた。
「あの馬車はもしや…」
だが、ヴェイグだけは馬車を眺め、何か考える様な仕草を取る。
「どうした、ヴェイグ?」
「…いや、何でもない。彼等を助けたい。協力してもらえるかい?」
「はい!」
「勿論だぜ!」
頷いた俺達を確認したヴェイグも頷き、俺達は騎士団を助ける為、駆け出した。
騎士の一人がモンスターの攻撃を受けそうになっていたのを見た俺は《バリア》を発動し、騎士の前に光の壁を張り、攻撃を防いだ。
突然の《バリア》に困惑するモンスター達と騎士達だったが、騎士を襲おうとしていたモンスターをヴェイグが剣で斬り裂き、騎士達に声を発した。
「もう大丈夫だ!私達も加勢する!」
「ヴェイグ隊長!」
「これなら、勝てるぞ!」
騎士隊長であるヴェイグの加勢に騎士達の士気も上がる。
傷ついた騎士達をメリルは《ヒール》で治癒する。
「君達はその馬車を守ってくれ。前線の敵は我々で対処する!」
ヴェイグの命令に騎士達は敬礼を取り、馬車を囲む様に守りを固める。
さて、と再びモンスター達に視線を戻すヴェイグだが、既にエンゼッターとリボルバーガンを駆使して戦っていた俺と炎の技能で敵を薙ぎ払うグレンがいた。
「…私の出番を奪わないでくれよ」
今の光景に呆れながらも、襲いかかってくるモンスターを斬り伏せていく。
それから数分後で俺達はモンスターを全滅させた。
「意外とあっけなかったな」
「それにしても…どうしてあの馬車を集中的に狙っていたのでしょうか?」
モンスター達に襲われていた馬車を不思議そうに眺めながら、首を傾げるメリル。
そんな彼女の言葉に、ヴェイグが答えようと口を開いた。
「あぁ、それは…」
ヴェイグが説明をしようとしたその時だった…。
「ッ…⁉︎お前等、後方へ飛べ!」
俺が何かの気配を感じ取り、メリルを抱き抱えて、後方へ飛んだ。
同じく、ヴェイグとグレンも後方へ飛ぶ。
すると、俺達が今先ほどまで話し合っていた場所が凍った。
何事だ、と俺達は上を見上げると、太陽の日差しを塞ぐ巨大な存在が飛んでいた。
その巨大な存在は地面に、ズシン、と音を立てて着地する。
おいおい…!
よりにもよって、《フリーズドラゴン》かよ…!
白銀の肉体を持ち、口から冷気を出す《フリーズドラゴン》の登場に俺達は警戒を強める。
「どうして、氷の山にしかいないはずの《フリーズドラゴン》がこんな所に…⁉︎」
《フリーズドラゴン》は氷の山の守護者として、有名だ。
それが、人里へと降りてくるとは…。
《フリーズドラゴン》は雄叫びを上げると、空気を凍らせて、氷柱を形成し、俺達に向けて放った。
「《ストーンドーム》!」
俺はいち早く動き、岩のドームを形成し、俺達や馬車、騎士達を包み込み、氷柱を防ぐ。
「ドームの解除と同時に攻める…行くぞ!」
俺の合図と共に岩のドームが解除され、俺とヴェイグとグレンは一斉に駆け出す。
背後ではメリルが《ファイアボール》を放つ。
しかし、《フリーズドラゴン》の放つ冷気に火の玉は凍り、そのまま地面に落下した。
「《火柱》!」
グレンが発動した《火柱》に向けて、《フリーズドラゴン》は冷凍光線を放ち、掻き消す。
驚く、グレンの背後からヴェイグが飛び出し、抜刀術の様に構え…《フリーズドラゴン》の足下で勢いよく剣を抜き取り、動きに入った。
「《俊足剣》!」
八撃程の斬撃が《フリーズドラゴン》の足を襲うが、何事も無いようにヴェイグを蹴り飛ばす。
次に《ウイング》を発動し、上空から攻めようと接近した俺はリボルバーガンから《ファイアブラスト》を発動した弾丸を連射する。
しかし、それも奴の硬い肉体と冷気に防がれる。
「だったら…!」
身体に炎を纏わせ、俺は《フリーズドラゴン》に突進する。
「《ファイアタックル》!」
火の鳥をイメージさせる技で《フリーズドラゴン》に激突し、爆発を起こした後、奴のその巨大は音を立てて、倒れた。
「やったか⁉︎」
おい、それやめろ!
フラグを立てたグレンの所為で《フリーズドラゴン》はフラつきながらも立ち上がる。
そして、巨大な翼を羽ばたかせ、急上昇し…口に最大の冷気を込め、俺達に向けて冷凍光線を放った。
俺とヴェイグはみんなを守るために前に立ち、《バリア》と《光陽壁》の光の壁で冷凍光線を防ごうとする。
しかし、あまりの威力に俺達は押され始める。
これが破壊されれば、後ろの奴らは終わりだ…!
この状況をどうするか…それを考えていた時だった。
「《トルネード》!」
俺達の背後から放たれた竜巻が空を飛ぶ《フリーズドラゴン》を襲い、それを受けた奴は冷凍光線を止め、落下していく。
俺達は後ろを振り返ると、馬車からドレスを着た俺達と同い年ぐらいの少女が立っていた。
「今です!」
少女の言葉に頷いた俺達…。
俺とグレンは駆け出し、ヴェイグは《斬撃》を二発放ち、落下している《フリーズドラゴン》の翼を斬り落とす。
「遅れるなよ、グレン!」
「当たり前だ!」
走りながら、声を掛け合った俺とグレンはそれぞれ、剣身に炎を纏わせる。
そして、落下してくる《フリーズドラゴン》に向けて、俺達は同時に跳躍し、エンゼッターと剣を振りかぶった。
「《ファイアスラッシュ》!」
「《灼熱斬》!」
エンゼッターと剣を振るい、《フリーズドラゴン》の肉体をクロス状に斬り裂き、地面に着地する。
経験値が入った事を確認した俺は《フリーズドラゴン》に向けて、技能複写を発動し、新たな技能を得る。
〈特殊技能《氷化》 《凍結無効》を獲得〉
〈技能《アイスパンチ》 《アイススラッシュ》 《アイスブラスト》《アイススティック》《冷凍光線》《冷気》を獲得〉
新たな力を獲得し、俺は仲間達の元へ集まる。
「それが技能複写か。モンスターの技能を自分の物にするなんて、とんでもないチート能力だな」
「もう慣れたよ」
「それがアルトさんですから」
「お前等、俺を何だと思ってんだよ⁉︎」
グレン、ヴェイグ、メリルが俺をとんでもない人間扱いしてくるので、俺はツッコミを入れると、先ほど、俺達を助けてくれた少女が歩み寄って来た。
「皆さん。先程は助けていただきありがとうございます」
少女の姿を見たヴェイグは敬礼し、グレンは驚きの表情を見せる。
「いや、俺達も助けられたんだ。ありがとう」
気楽に話しかける俺にグレンが肩を叩いてきた。
「馬鹿かお前は⁉︎」
「痛っ⁉︎なんだよ⁉︎」
叩いたグレンに文句を言う俺だが、次にヴェイグが呆れたようにため息を吐きながら、口を開く。
「…アルト、君はこの方がどなたなのか、知らないのか?」
「え…。いや、すまない」
正直言って、本当にわからない…。
すると、少女が前に出て、スカートの裾を持ち上げ、頭を下げ、名乗り出した。
「初めまして。私はリフィル・ガイール…。帝都ガイールの第一王女です」
…リフィル・ガイール…。
ガイールの第一王女ね…。
………え?
「「第一王女様⁉︎」」
彼女の正体に俺とメリルは声を揃えて驚いた…。




