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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第三章 帝都ガイール編
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誤解


「おめでとうございます、お二人共!Bランクに昇進です!」


「「は…?」」


ルルさんの突然の一言に俺とメリルは頭の上にハテナマークを浮かべる。


「だから、お二人の冒険者ランクはBに昇進したんですよ!」


…何故そうなる。


「待ってくれよ!俺達はついこの前、冒険者になったばかりなんだぞ?」


「それでも、新たなダンジョンのマッピングにシーリンの町を守った事による評価で、上の人はあなた方をBランクに上げたいと言っていましたよ」


マジかよ…。

ってか、その所為なのか?

周りの視線が無駄に痛いのは…。


とにかく、俺達はランクBとなってしまった。

冒険者支援施設を後にした俺達は平原でレベル上げをしていた。


今の俺のレベルは32でメリルはレベル28だ。


「レベルも着々と上がって来ましたね!」


「そうだな」


シーリンの町での戦い以降、新たな技能(スキル)は手に入れてない。

それでも、俺達自身が強くなるのは悪い事じゃないな。


「さてと、レベル上げはこれぐらいにして、戻るか」


俺の言葉にメリルは頷き、俺達はイズルリの街へ戻ろうとしたが、目の前に複数の男が現れる。


「ちょっと待てよ、無職(ジョブ無し)さんよ」


…誰だ、コイツ等?


「そこに立たれると邪魔なんだが…」


「邪魔してるんだから、当然だろ?」


「…っで?アンタ等何者だよ?」


面倒臭いと息を吐きながらも、男達に質問する。


「俺達はギルド、百鬼夜行(ひゃっきやこう)だ」


百鬼夜行…。

確か、他の冒険者から金やアイテムを巻き上げるギルドがいたとか聞いたな…。


「そうか。それで、その百鬼夜行さん達が俺達に何の用だ?」


引く態度を見せない俺をヘラヘラ、と笑う男達。

リーダーらしき男も笑いながら答える。


「いやよ。お前の噂は耳に入っているぜ。無職(ジョブ無し)のクセに調子に乗っている男がいるってな」


…えー…。

何だよ、その言いがかり…。


「そう言う調子に乗った奴に教えないといけないんだよ。…お前みたいなガキがしゃしゃり出ていい世の中じゃないってな!」


…いや、調子に乗っているのはどっちだよ。


「だが、俺達は優しいギルドなんでな。持っている金とアイテムを全てと…そうだな。そこの金髪ちゃんを俺達に渡すって言うなら、見逃してやってもいいぜ」


ビシッと、メリルに向け、指を刺すリーダーの男。

それにメリルは嫌そうな顔で俺の横顔を見る。


「…成る程な。それは面倒事にならなくて済む」


俺の回答に男達は声を出して、笑い出した。


「そうだろ、そうだろ?いやぁ、聞き分けのいいガキは嫌いじゃないぜ!」


コイツ等に完全に舐められているってのはわかった。


「それは嬉しいな。…だが、俺はお前等の様な凶悪顔は好きじゃないんでな」


「何…?」


「後…お前等にやる物は何もない。…大人しく帰るか、俺にボコボコにされるか、選べ」


今度は俺がニヤリ、と笑みを浮かべ、百鬼夜行の奴等を挑発する。


「テメェ…人が下手に出てれば、調子に乗りやがって…!もういい!コイツを殺して、女も金もアイテムも全部奪っちまえ!」


それに腹を立てたリーダーが声を上げ、手下に命令すると、手下達も声を上げ、俺に襲いかかってきた。


俺はメリルを下がらせると《グラビティ》を発動。

重力に押され、手下達は地面に埋まる。


「一つ言わせてもらうが…。俺の仲間に手を出そうとした時点でお前等を潰すって決めているんだよ」


手下達が一撃で地面に沈む様を見て、リーダーの男は驚愕の表情を浮かべる。

…何故か、俺の背後ではメリルが嬉しそうな表情を浮かべているが…。


「さてと…殺しはしない。だが、リーダーとしてのケジメはつけてもらいたいな」


リボルバーガンを取り出し、銃口を男の方に向ける。


「グッ…!ガキが…舐めんじゃねえ!」


怒りが頂点に達した男が俺に向けて、ナイフを投げてきた。

しかし、ナイフは俺に当たる前に《リフレクト》によって作り出された光の壁に阻まれ、ナイフは跳ね返り、リーダーの男の右足に突き刺さる。


「ア…ギャアァァァァッ!」


あまりの痛みに声を上げ、倒れて、地面をゴロゴロ、と転がる。

そんな男に構わず、尚も銃口を向ける。


それには男は転がるのをやめ、ヒッ⁉︎、と声を上げて、目に涙を浮かべながら、恐怖の表情で俺を見上げる。


まあ、撃つつもりなんて、更々ないけどな。


暫く、沈黙を保っていると俺に向けて、炎の渦が放たれる。

俺はそれを《粒子化》で避け、銃口を炎の渦を放った者の方へ向き変える。


そこには赤髪にオレンジの鉢巻をして、剣身が赤い剣を握りしめている男が立っていた。


「いきなり何のつもりだ?」


「黙れ、悪党!」


…は?

俺の質問に鉢巻の男は声を上げ、話し出す。


「は?悪党?…俺が?」


「そうだろ!何人もの人間を地に埋め、さらにその男の足にナイフを刺して、銃口を向けるなんて…悪党以外の何だと言うんだ!」


…コイツ、ものすごい勘違いをしてやがる。


「ま、待ってください!私達はそこの人達に襲われていたんです!それで、アルトさんは私を守る為に戦ってくれただけですよ!」


誤解を解こうとメリルが必死に訴える。

それを聞いた鉢巻の男を腕を組み、考えだす。


…数秒後、キッ!、と目を開ける。


「いや、怪我人に悪者はいない!」


…いや、ダメだ。

コイツ、相当のバカだ。


「何でそうなるんだよ…。いいから、話を…」


「そ、そうだ!俺は殺されそうなんだよ!助けてくれ!」


先程まで唖然とした表情で見ていた百鬼夜行のリーダーが声を出した。


「あっ!テメェ!」


出まかせ言いやがってと、俺が口にしようとしたが、炎が放たれた事によって、遮られる。


再び、鉢巻の男に視線を戻すと奴の剣の剣身には炎が纏っていた。


紅蓮烈火(ぐれんれっか)の掟、その一つ。困っている人は助ける、だ!」


紅蓮烈火…?

確かそんなギルドの名前、聞いた事がある様な…。


「俺の名はグレン・アビス!紅蓮烈火のリーダーとして…悪党は成敗してやる!」


グレン・アビスと名乗った鉢巻の男は剣で俺に斬りかかってきた。

しかし、エンゼッターでその攻撃を防ぐ。


「ったく…話を聞かない熱い男だな!」


「それが俺の取り柄だ!褒めてくれてありがとな!」


「褒めてねえ、よ!」


俺は力を込め、グレン・アビスを押し飛ばすと、奴も後方へ飛び、着地する。


やるな、と口にした奴は剣の剣先を地面につけ、剣身に再び、炎を纏わせた。


「《火柱》!」


その掛け声と同時に地面からいくつもの火柱が飛び出て、俺にへと向かってくる。


「《スプラッシュ》」


俺は冷静に《スプラッシュ》を放ち、お互いがぶつかり合い、軽い水蒸気が飛び散る。


すると、今度は剣を上に掲げると剣身から先端に炎が移動し、炎の球体を作り出した。


「《火球》!」


俺に向かって、放たれた火球…。

しかし、俺も拳に炎を纏わせた。


「《ファイアパンチ》!」


炎の拳が放たれた火球をかき消した。


「お前…炎の技も出せるのか!」


このバカ…なかなかやるな…。

流石はギルドの頭を張ってるだけの事はあるって事か…!


「お前も口だけじゃないのは確かだな」


「そうだろ?…だが、次で勝負だ!」


「いいぜ…俺も軽く燃えてきた!」


俺達はエンゼッターと剣の剣身に炎を纏わせ…勢い良く、地面を蹴り、走り出す。


「ウオオオオッ!」


「ハアアアアッ!」


武器が直撃すると言う地点にまで、来た俺達は炎を纏ったエンゼッターと剣をそれぞれ、振るい…直撃しそうに見えた時…。


「《スラスト》!」


青色の斬撃を飛んできて、それに気づいた俺達は後方に飛ぶ。

俺達の中心で地面を削った斬撃は消滅する。


ん…?この斬撃、見た事あるぞ?


俺とグレンは斬撃を放った者を見る。


「…こんな平原の真ん中で何をしているんだ?」


…斬撃を放ったのはやはり、ヴェイグだった。


「何モンだ、テメェ!」


「ヴェイグさん⁉︎」


ヴェイグはメリルに笑いかけると、少しずつ、俺達に歩み寄った。


「騒がしいから来てみれば、君がいるとはね、アルト。面倒事は嫌いなんじゃなかったのかい?」


「…どうやら、俺と面倒事は隣り合わせみたいだ」


苦笑する俺を見て、ヴェイグも苦笑する。


「それにしても…君達は何をしているんだ?」


ヴェイグは俺を見た後、グレンに視線を移す。


「あー…それはな」


軽くだが、俺はヴェイグに事の事情を話す。

すると、すぐに納得したのか、首を縦に何回か振った。


「成る程ね。…えっと、グレン君…だったかな?」


「何だよ?」


騎士であるヴェイグに対しても高圧的な態度を取る奴だな…。


「彼の言っている事は本当だよ。君は知らないとは思うけれど、彼はモンスターの軍勢から、シーリンの町を守った男だよ」


「シーリンの町って…はぁっ⁉︎じゃあ、お前が最近名を上げてる、無職《ジョブ無し》冒険者かよ⁉︎」


褒めてるのか、貶してるのかどっちだよ⁉︎


「あぁ、そうだ」


グレンの問いに頷くと、急にグレンは土下座をする。


「お、おい…⁉︎」


これには流石の俺とヴェイグも戸惑う。


「ホント、面目ねえ!グレン・アビス一生の不覚だ!許してくれ、この通りだ!」


いや、一生をここで使うなよ。

…まあ、コイツには悪気が無かったしな…。


「頭、上げろ。誤解を解いてくれたなら、それでいい」


それを聞いたグレンは顔を上げ、ニカッ、と笑い、ありがとよ、と声をあげる。


「それにしても化け物アルトとあそこまで渡り合えるなんて、君もなかなか強いね」


「そうか?騎士にそう言われるとなんか照れるな〜!」


「おい、誰が化け物だよ⁉︎」


あぁ、わかった。

わかったから、君だろ、と言う顔やめろ。


…この時、俺達は忘れていた…。

あの男を…。


「テメェ等!俺を忘れてんじゃねえ!散々コケにしやがって…今度こそ地獄を見せてやる!」


足に刺さっていたナイフを抜き取った百鬼夜行のリーダーは忘れ去られた事に逆上し、ナイフを握り、俺達に向かって走ってきた。


…はあ…。

その姿を見て、呆れた俺達三人はそれぞれの動きを見せる。


俺は《サンダーブラスト》を発動し、リーダーに銃口を向け、ヴェイグは《斬撃》の体制に入り、グレンも《火球》の体制に入った。


「「「いいから…出直して来い‼︎」」」


この後、何もない平原に銃声と衝撃音と炎が燃え盛る音…そして、百鬼夜行リーダーの悲鳴が響き渡った…。


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