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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第二章 技能複写編
20/174

パーティー


シーリンの町の住人が戻って来たのを確認し、俺達は軽い復旧を二日かけて手伝った。


この戦いでの死者は0だった様だ。



その後、イズルリの街へ戻り、現在…。

俺は露天風呂に浸かっていた。


「ハァ〜!生き返る〜!」


疲れを飛ばす様に屈伸するが、そんな俺を見て、ヴェイグとルークさんは苦笑する。


「君は年寄りか」


「仕方ねえだろ?一週間近く風呂に入って、なかったんだからよ」


溜息を吐きながら、身体の至る所を解すように揉む。


「麻生 アルト君。君がマッピングしてくれたダンジョンのデータも新たにマップに表示したよ。感謝する」


ルークさんが頭を下げてくる。

…風呂ではやめて頂きたい。


「や、やめてください!頭を下げられる様な事はしていませんよ!」


それを聞くとルークさんは頭を上げた。


「ヴェイグから話は聞いていたが、器の広い男なのだな!」


ヴェイグ…。

何か余計な事言ってねえだろうな…!


「アルト君。本当に騎士団に入る気はないか?」


また勧誘か…。


「失礼ですが、答えは変わりません。それに、冒険者の方が俺には合っていると思いますので」


「ふむ、そうか…」


残念だという表情で俯くルークさんにヴェイグは笑いかける。


「ね?難しい男でしょう?」


「おい、ヴェイグ。お前、ルークさんに変な事教えてないだろうな?」


ヴェイグ「生命知らずとは教えたよ」


いや、否定はできないけどよ…。

すると突然、ルークさんの表情が真剣なモノに変わり、俺とヴェイグも表情を変える。


「それにしても…君は…その、失礼だが、無職(ジョブ無し)なんだろう?そんな君が何故、あれ程の強力な技能(スキル)を発動できるんだ?」


「俺があのダンジョンで手に入れた技能(スキル)技能複写(スキルコピー)の力です」


技能複写(スキルコピー)?」


その様な名前の技能(スキル)は聞いた事がないと、ヴェイグとルークさんは考える。


此処で俺はダンジョンで起きた事を全て話した。


サイクロプスとの戦闘…。

戦闘の最中、謎の声からこの技能複写(スキルコピー)の力を与えられた事…。


…そう言えば、あの声…。

一体誰だったんだ…?


「…倒したモンスターの技能(スキル)複写コピー出来るとは…」


「その謎の声…君にも見当はつかないのか?」


「残念ながら…」


アレ程強力な技能(スキル)を与える存在…。

まさか、神様…?

いや、それはないか…。


「それよりもアルト君。これはから気をつけてくれ…もしかすれば、軍が君の力を狙って来るかも知れない」


魔虎牙(まこうが)軍…。

確かにアイツ等なら、俺のこの力に目をつけてくるのは確実だろうな…。


「わかりました」


今その事を考えても仕方ない…。

軍が俺の敵になるのなら、容赦はしないだけだ。


風呂から上がった俺達を待っていたのは沢山の食事だった。


パーティーか…。

なんか久しぶりだな。


「にしても、一週間ぶりのまともなメシだな」


ダンジョンの時は非常食しか食べれてなかったからな。


「もう、恥ずかしいからガッつかないでくださいよ、アルトさん」


ケーキが乗った皿を両手にメリルが俺に注意をしたが…。

コイツな…。


「さっきからケーキをバカみたいに食ってるお前にだけは言われたくねえよ」


「こ、これは…!デ、デザートは別腹なのですよ!」


「…お前、ケーキしか食ってねえだわ」


「うっ…」


逃げる様に視線を背けやがった…。

そこへ、ガルナとルークさん、ヴェイグが歩み寄って来た。


「二人共、楽しんでる?」


「少なくとも、メリルは楽しんでいるな」


「ちょっ!アルトさん⁉︎」


私は別に…、と尚も顔を背ける。


「それにしても、アルト君。…君は、お酒はいける口かい?」


…っと、ルークさんがワインボトルを見せてきた。

いやいや、飲んだ事ないよ。


「いやいや、俺未成年ですよ!」


「…?アルト、君は何歳だ?」


「17だ」


俺が17歳と聞いたヴェイグ達は何を言っているんだ、という顔で俺を見る。


「アルト君、何を言っているの?」


「え?」


「ラインバルクでは酒と煙草は15歳からだろう?」


…マジで?

俺はメリルに視線を送るが、メリルも知らないと首を横に振った。


「そ、そうだったな!…いや、飲んだ事はありません」


「二人共、飲める歳ならば、飲んでみないかい?」


グラスを渡されたので、俺達はワインを飲んだ。

そして、数分後…。


「あはははははっ!ははっ!ふにゃ〜、アルトさ〜ん!」


…メリルの奴、一杯で酔いやがった…。


「お、おい。メリル!しっかりしろよ!」


「しっかりしてますよ〜?アルトさんこそ、どうして分身してるんですか〜?」


ダメだこりゃ…。


「あらあら、メリルちゃん。お酒は弱いのね」


「アルト、君は相当強そうだね」


「飲むのは初めてだけどな」


そう言い、俺はもう一杯ワインを飲み切る。


「私もまだまだ飲みますよ〜!」


「お前はやめとけ!」


「あ〜ん!アルトさんのケチ〜!」


「おわっ⁉︎」


これ以上は飲ませられないとメリルからグラスを取り返したが、相当酔っているのか、グラスを取り返そうと俺は彼女に押し倒された。


「ふふ〜。もっと飲みます〜!」


頬を真っ赤にし、俺を押し倒してまでグラスを奪おうとする。


ヴェイグとルークさん、ガルナはニヤニヤ顔でこっちを見るだけで、助けようともしないし…。


仕方ねえ…。


「…いい加減シラフに戻りやがれー!」


「ふにゃ〜⁉︎」


アイアンクローをメリルに浴びせ、彼女からは悲鳴が出る。

…だが、表情が痛そうに見えないんだが…。


…まあ、こんなパーティーもいいかもな。


この技能複写(スキルコピー)の力…この力で俺は今度こそ守ってみせる…!


大切なモノを…!


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