ジョブ無しの無双
俺の姿を確認したモンスター達は唸り声を上げ、俺を睨んでいる。
「ア、アルト君…⁉︎ メリルちゃんまで!」
「どうして君達が此処に…⁉︎ それよりも、今まで何をしていたんだ⁉︎」
「話は後だ。…メリル、《ヒール》で他の奴等を治癒してくれ」
「わかりました!」
ヴェイグの問いに俺は答えず、メリルに指示を送る。そして、戦闘態勢を取った。
ざっと見た所、モンスターの数は三百ちょっとか…。
一体一体倒してもいいが、面倒だなとすぐさま、モンスター達の上空に雷雲を形成する。
しかし、形成完了の前にモンスター達が一斉に襲いかかって来た。
…遅い!
「《フォトンビーム》!」
エネルギーを蓄積させ、モンスター達の攻撃が俺に直撃させる寸前で、光線を放ち、光に包まれたモンスター達は消滅する。
さらに雷雲が形成されたのを確認して、腕を振り下ろし、《サンダーボルト》を発動、落雷が地面のモンスター達を襲った。
上空から襲いかかってきたモンスターには《ディメンションバレット》や《ウインドカッター》で倒す。
「な…⁉︎ 何なんだ、あの技能…⁉︎」
「ってか、アルト君って、無職じゃなかったの⁉︎」
無職では発動出来ないはずの技能を連発する俺に驚きを隠せないヴェイグとガルナ。
そんな二人に傷つく者に《ヒール》をかけながら、メリルは説明する。
「あるダンジョンでアルトさんが手に入れた技能の力です!」
一瞬、メリルに視線を向けたが、すぐに二人は俺にへと視線を戻す。騎士大隊長のルーク・ヴォルンドさんは驚きを通り越して、呆れていたが…。
そして、俺は《ストロングコング》と対峙していた。
コイツの豪腕は強力だが…それを利用させてもらうとするか!
「《ブレイジャック》!」
《ブレイジャック》で《ストロングコング》を洗脳する。
洗脳された《ストロングコング》は敵のモンスター達を薙ぎ払っていく。数が減った所で《毒突き》を発動し、操っていた《ストロングコング》を倒した。
辺りを見渡すと、モンスターの姿は見えなくなった。…あれ?もう全部倒したのか?
ヴェイグ達の方へ視線を向けると、この状況を飲み込めていないのか、口をポカン、と開けたままだった。
説明が必要か…。
そう思った刹那…俺に向けて、火球が放たれた。
それを《バリア》で防いだ俺は火球が放たれた方向に視線を向けた。甲高い鳴き声を上げならが、降下してきたのは巨大な赤い鷲だった。
今の火球はアイツが放ったのか。
「《フレイムファルコン》がどうして…⁉︎」
《フレイムファルコン》の登場に疑問を持つガルナに俺は考えを話す。
「恐らく、アイツがモンスターの軍勢の親玉なんだろうな」
つまり、アイツでラストってワケだ。
「アルトさん!」
「心配するな。あんな鳥…《ラファエル》に比べれば雛同然だ!」
メリルが俺の名を叫ぶが、心配はない、と《ウイング》を発動して、《フレイムファルコン》に立ち向かった。
俺に狙いを定めた《フレイムファルコン》は火球を放ってくるが、それを《リフレクト》で反射しつつ、《光波》と《ウイングスラッシャー》を放つ。
反射された火球と《コウハ》、《ウイングスラッシャー》は《フレイムファルコン》に直撃し、ダメージを受けた。
しかし、今度は火炎放射を放ってくる。
避ける必要もないと《粒子化》で回避し、《スプラッシュ》でダメージを与えた。
何度も攻撃を受けた事に怒り、《フレイムファルコン》は急上昇し、身体に炎を纏わせ…そのまま急降下タックルを仕掛けてきた。
差し詰め、《ファイアタックル》と言ったところか。
「へえ…強力そうな技能だな。…だからこそ、欲しくなるってモンだ!」
《緊急回避》で炎の突進を避け、上空を取り、《突風》で《フレイムファルコン》が纏っている炎もろとも吹き飛ばした。
《突風》の勢いで落下していく《フレイムファルコン》に向かって、《閃光》で接近する。
「《サンダースラッシュ》! ウオオオオッ‼︎」
そのままエンゼッターを翳し、剣身に電撃を纏わせ…落下していた《フレイムファルコン》を大きく斬り裂き、電撃が起こった。
《サンダースラッシュ》で斬り裂かれた《フレイムファルコン》は絶命と同時に地上に音を立て、落下した…。
それを確認した俺は地面に着地し、《ウイング》を解除した後、技能複写を発動して、頭の中に文字が刻まれる。
〈特殊技能《炎化》 《炎上無効》を獲得〉
〈技能《ファイアパンチ》 《ファイアスラッシュ》 《ファイアブラスト》《ファイアボール》《火炎放射》《ファイアタックル》を獲得〉
おぉ、炎の技能のオンパレードだな!
手に入れた特殊技能と技能を確認していると、ヴェイグとガルナ、ルーク・ヴォルンドさんとメリルが歩み寄って来た…。
「か、勝ったのか? アルト」
「おう!」
俺の返答を聞いて、他の冒険者と騎士達も喜びの声を上げた。
「まさか…これ程までの力とは…」
俺の力に興味を示すルーク・ヴォルンドさん。
…うーん、面倒にならなければいいが…。
「アルト君!」
「うわあっ⁉︎」
そんな事を考えているとガルナが勢いよく抱きついて来たので、俺は後ろに倒れてしまう。
「良かった…アルト君が生きてる…! 生きてるよぉ!」
嗚咽混じりに何度も俺の生存を確認するガルナ。 ってか、抱きしめすぎだって…!
「ちょ、ガルナ⁉︎ 苦しいって! しかも、その…当たってはいけないモノが当たってるって!」
ガルナの当たってはいけないモノは大きいんだからよ…!
「良かった…心配したんだから!」
あ〜、これは聞いちゃいねえ…。
「ム〜」
しかも凄いジト目でメリルが睨んでくる始末…。
助けを求める様にヴェイグに視線を移すが、何故か、凄い腹の立つ笑顔とサムズアップで返された。
アイツ…! 他人事だと思って…!
この後、ガルナを泣き止ますまでに数十分はかかった…。




