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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第二章 技能複写編
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帰還と新たな戦い


 俺はまた…気を失ったのか…。

 本当、俺は何度死にかければいいんだろうな。


 そう言えば、この世界に来る前も何度か死にかけた事があったな。


『お前が勝手をした所為でアイツは!』


 やめろ…!


『ホント、カッコつけて何したかったのか…』


 やめろよ…!


『死ぬのがアイツじゃなくて、お前なら良かったのによ!』


 やめてくれ…!


『返してよ、あの子を!アンタなんて生きていても意味がないでしょ!』


 やめろォォォォォォォォッ‼︎


 何度も繰り返される俺への罵倒の声…。それは止む事はなく、俺は必死に叫んだ。


 この罵倒の声から逃れる為に…。

 そこで俺の意識が完全に戻り、勢い良く起き上がった。


「こ、ここはッ…?」


 荒ぶる息を整えながら、今まで起きた事を蘇らせる。


 そうだ…俺は《ラファエル》を倒して…宝箱を開けた後に気を失ってしまったんだ…。


「アルトさん! 大丈夫ですか⁉︎」


 メリル…。

 小粒の涙を流しながら、メリルは俺の顔を覗き込んだ。


「メリル…ここはワープエリアか?」


 ワープエリア…ダンジョン内に唯一、モンスターの現れない冒険者の休憩場所の様な場所だ。


「はい。宝箱を開けた後、気を失ってしまったアルトさんを連れ、ここまで運んだんです」


 そうか…。

 またコイツには迷惑をかけちまったな…。


 …さて、あの時は気を失って、見られなかったがあの宝箱の中身を確認するか。


 無限鞄(インフィニティバッグ)を開き、中から気を失う前に入手したアイテムを確認する。


 入手した物は三つ…。



・《血影(けつえい)のコート》


・《片手剣:エンゼッター》


・《幸上の首飾り》



 これがあの宝箱に入っていたってワケか…。

 すぐさま俺は《血影のコート》と《片手剣:エンゼッター》を装備する。


 それにより、俺のステータスも上昇した。

 俺の身体に赤黒いコートが被せられ、手にはプラチナ色の片手剣が装備される。


 うん、コートの着心地も良いし、この剣も振りやすい!

 メタルソードはあの時壊れちまったからなぁ…。


 後は幸上の首飾りか…。


「メリル、後ろ向いてみろ」


「へ? どうしてですか?」


 突然の後ろを向けという言葉に首を傾げるメリルだが、俺はいいから、と彼女を後ろに向かせた。


 そして、後ろからメリルの首元に幸上の首飾りを付けた。


「ア、アルトさん…これは…?」


 頬を赤く染めながら、上目遣いで俺を見るメリル。少し可愛いと思ってしまった自分がいるのは内緒だ。


「戦利品だ。俺ばかり貰うのも悪いと思ってな。それで勘弁してくれ」


 本当なら、もっと良い装備を上げてやりたいが…?しかし、メリルは首を横に振った。


「いいえ。大切にします! ありがとうございます」


 ニコリ、と迷いのない笑顔で感謝の言葉を述べるメリルの顔を見て、俺も笑った。


 その後、俺達はダンジョンの入り口までワープする。


 一週間ぶりの外の空気…太陽の日差し…!


「「出て来れたー!」」


 両腕を上に上げ、俺達は漸くダンジョンをクリアしたと再度実感する。


「あ…そう言えば俺達、トリケラタックルの討伐クエストの途中だったな」


「では、イズルリの街へ戻って、報告に行きましょう!」


 そうだな、と頷き、俺達はイズルリの街まで足まで進める。しかし、ふとメリルが足を止める。


「ん? どうした?」


「いや…その…」


 もうイズルリの街は目の前だと言うのに突然、メリルは顔を赤らめてモジモジする。


「わ、私達って…一週間あのダンジョンに篭りきりだったじゃないですか…。だから、その…に、臭いが…」


臭い…? あぁ!


「確かに、一週間も風呂に入ってないと臭いと思われるな」


 だったら…あの技能(スキル)が役に立つな。俺はある技能(スキル)を発動する。


「…今、何かしましたか?」


技能(スキル)《スメル消去》だ。これで暫くは臭いを心配する必要はないぜ」


 それを聞いて、安心したのかメリルは息を吐く。そして、俺達はイズルリの街に入る。


 …何か人が少ない様な気がするが…。


 その様な疑問を持ちながらも俺達は冒険者支援施設に入ると…受付口にルルさんがいた。


「あ、こんにち…」


 ルルさんが俺たちに気づいたのか、言いかけた言葉を止め…目元に涙を浮かべた。


「アルトさん…? メリルさん…?」


 ゆっくりと俺達の元へと歩み寄り、勢い良く俺の肩を掴んだ。


「よ、よぉ、ルルさん! …一週間ぶりだな、久しぶり!」


「何が久しぶりですか! 一週間も連絡なしで何していたんですか!」


 涙をポロポロ、と流すルルさんは俺の肩を何度も揺する。


「わ、悪かったよ! 俺達、トリケラタックルを討伐した後に見た事もないダンジョンを見つけたんだ!」


「そこの攻略に一週間もかかってしまったんですよ!」


 俺達はルルさんを落ち着かせる為に一週間の間に起こった事を説明した。


「それにそこは通信が届かないから、連絡出来なかったんだよ! だから、落ち着いてくれよ!」


 説明をしっかりと聞いたルルさんは俺の肩から手を離し、嗚咽混じりに息を吐く。


「良かった…良かったです。連絡がつかなくて、ガルナさんに聞いてもわからなくて…騎士団の方々も捜索すると言いつつも見つかりませんでしたし…」


 …騎士団って、物凄い大事になってやがる…。


「本当にすまなかった。その…この通り、無事だ?だから…泣き止んでくれ」


 彼女を泣き止ます為に頭を優しく撫でた。

 暫くして、ルルさんが泣き止んだ事を確認した後、ある疑問をルルさんにぶつける。


「ルルさん…街中もそうだが、ここの冒険者の数も少なくないか?みんな、クエスト中なのか?」


「…そうですね。一週間もダンジョンに籠もっていたのなら、知りませんよね。実は、昨日、隣町のシーリンの町にモンスターの軍勢が攻め込んでいる途中との情報が騎士団の方々から提供されたんです」


モンスターの軍勢が隣町に…⁉︎


「他の騎士隊の方々は別の任務で出動出来ず、騎士団はヴェイグさん達の第三騎士隊と騎士大隊長のルーク・ヴォルンド様と冒険者の方々がモンスターの軍勢討伐に動き出しました。…ガルナさんも参加しています」


「ガルナさんも…⁉︎」


 アイツ…情報屋の癖に無茶しやがって…!


「モンスターの数は多くて五百ちょっと…返ってこちらは数十人しか戦力がありません」


 …戦力差は絶望的だな…。だったら…やる事は一つだ!


「…メリル、風呂は後でもいいか?」


「勿論です!」


 俺達はシーリンの町に向かう為、施設から出ようとするが、ルルさんに呼び止められる。


「アルトさん、メリルさん…。絶対に帰ってきてください。もう、あんな思いはしたくありません」


 悲しみを堪えるルルさんの言葉を聞き、俺は勢い良く、振り返りニカッ、と笑った。


「じゃあ、行ってくる! みんなを連れて帰ってくるから…ルルさん。温かいご飯と温かい風呂、それから温かい布団の準備よろしくな!」


「アルトさん…」


「戦力差の不可能…そんなもの打開して、可能に変えてやるからよ!」


そう言い残し、俺達は施設を出た。


「…それで、町には歩いて行きますか?」


「半日はかかるだろ、それ。…ここは…」


「ひゃっ⁉︎」


 俺はメリルをお姫様抱っこで抱えると、《ウイング》を発動し、それを飛ぶ。


「ア、アルトさん! 急に抱き抱えないでください! …は、恥ずかしいですぅ…」


「いや、抱き抱えている俺が一番恥ずいっての! …兎に角、飛ばすから舌噛むなよ!」


 翼に力を込めると速度が増す。


「そう言えば、《フォトン・ウイング》は使わないのですか? アレを発動した方が早く行けるのでは?」


「アレ使うとエネルギーがだいぶ持ってかれるんだよ。…モンスターの数がどれ程減っているか分からないからな。出来れば温存しておきたい」


 そんな話をしていると、シーリンの町が見えてきた。町からは煙や爆発が起きている。


 町の上空を飛び、現状を確認する。人やモンスターの死体が多数見られる…。


 だが、モンスターの数に圧倒されている…。

 このままじゃ、全滅だ…!

 暫く、飛んでいると町中でモンスターと戦うガルナとヴェイグの姿を見つける。


 ガルナはダメージを受けているのか、膝をついて肩で息をしている。そんな彼女を守る様にヴェイグが戦っているが、流石に多勢に無勢か…!


「アルトさん!」


「ああ、行くぞ!」


 俺達は急降下して、モンスター達とヴェイグ達の中心に落下した…。


 まあ、着地はしているがな。

 突然の出来事にヴェイグとガルナやモンスター達は敵襲かと、警戒する。


 立ち込める土煙の中、俺はメリルを下ろし、エンゼッターを構えると、土煙は晴れた。


 俺とメリルの姿を見たヴェイグとガルナは驚き、モンスター達からは殺気を向けられる。


「待たせたな! …此処からは俺達も手を貸すぜ!」


 ヴェイグ達を背にエンゼッターをモンスター達に向けて、俺は戦闘態勢を取った…。


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