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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
最速太刀使いの技能拝借
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信頼


 アジト内を進む私達…。

 そろそろ何か大きな部屋が見えてきてもおかしくないはずだけど…。


「…それにしても何か妙ではありませんか?」


「…妙?」


 不審そうに周囲を見回すノエルに私は首を傾げると変わりにスノウさんが答えてくれた。


「静か過ぎる…。今まで通ってきた道に人や罠の気配を一切感じなかった。…君達の事は知れ渡っているはずだけど…」


 言われてみれば仕掛けてくる様子もないし、罠を配置しているワケでもないわね。


「此処は彼等の所謂穴蔵の様なモノだ。気をつけて行こう…!」


 スノウさんの言葉に私とノエルは頷き、再び、進み始めた…。






 スズカ達が基地内を進む中、その光景をムルナウ達が映像で見ていた。


「《インビジブル》で見張りを撒いたようだが、まだまだ甘い。…それにしてもソロ冒険者のスノウ・クローゼルまで一緒にいるとは…好都合だが、状況によっては面倒な事になるな…。お前達…そろそろ奴等を出迎えてやれ」


 映像を見た後、ムルナウは数十人いる手下達へ命令し、手下達はおぉー!、と声を上げるのであった…。


「我々、《ブラック・アウト》に歯向かった事を後悔させてやる…」


 ククク、と笑みを浮かべたムルナウは再度、基地内を進むスズカ達の映像を見るのであった…。







 基地内を進む私達…。

 そして、遂に私達は大きな広間の様な部屋に辿り着いた。


「此処は…」


「随分と大きな部屋だね…。作戦ルーム…と言った所かな」


 と言う事は…この先に彼等が…。


「此処からが本腰だ。気を引き締めて行こう!」


「気を引き締める必要はない」


 突然声が聞こえたと同時に、私達に向けて、無数のライトが照らされると同時にノエルの《インビジブル》の効果が消されてしまった。

 突然のライトに私達は目を覆う。


 ライトが消え、前を見ると数十を超える覆面を付けた男達が立っていた。

 そして、その上に私達を見下している男がいた。


「今此処でお前達は死ぬのだからな」


 あの男が…彼等のリーダー…!


「君が…このギルド、《ブラック・アウト》を束ねるリーダー…ムルナウ・イザベラだな?」


「如何にも…。ソロ冒険者のスノウ・クローゼル…会えて光栄だ。そして、名もなき者達よ」


「嫌、名前ぐらいあるわよ!」


 そう言う時は名もなき者達じゃなくて、名も知らない者達よ、でしょ⁉︎

 って、此処で愚痴っても仕方ないわね。


「私はスズカ・シャーネル! そして、こっちがノエルよ!」


「そうか。覚えておこう。…さて、我々の基地に何か用かな?」


「しらばっくれても無駄よ! 捕らえている女の子達を解放しなさい!」


 ビシッと、太刀の剣先をムルナウに向けて、言い放つと彼は息を吐いた。


「断る。彼女達は謂わば被検体…。ある目的のためのな」


 ある目的…?


「その目的とはなんだい?」


「お前達が知る必要はない。…お前達、奴等を血祭りに上げろ!」


 その命令を言い残した後、ムルナウは奥の部屋にへと消えて行った…。


「待ちなさい!」


 私達が後を追おうとしたけど、ムルナウの手下達が私達の道を阻み、攻撃を仕掛けてきた。


「くっ…!」


 何とか相手の攻撃を防いだ私達は戦闘に入った。

 殺さない様に出来るだけ手加減はしているけど…このままでは戦力の違いでこちらが押されてしまうわ…!


「キリがないわ…!」


「…スズカさん。この場を僕に任せて、君はムルナウを追ってくれ!」


 相手の攻撃を受け流しながら、スノウさんが叫んできた。


「な、何を言っているんですか、スノウさん⁉︎ 幾らあなたでもこの数はでは…!」


 幾らスノウさんが強いと言っても戦力の差が…!

 スノウさんの提案に動揺した私は手を緩めてしまい、手下の二人が剣で斬りかかってきたけど、ノエルが《バリア》を張り、防いでくれた。


「私も残ります! ですから、スズカ様は行ってください!」


「で、でも…!」


「君が迷ってどうする⁉︎ 捕われている彼女達を助けるんじゃなかったのか⁉︎」


 スノウさん…!


「このまま時間をかけてしまえば、ムルナウに逃げられる可能性もある! それは別の場所で捕われている彼女達の様な被害者を作るだけだ! 君はそれでもいいのか⁉︎」


 そう…そうよね…!

 迷ってる暇なんてないのよね…!


「…わかりました! 必ず…ムルナウを止めてみせます!」


「頼んだよ…!」


 私はムルナウが消えた部屋へ向かおうとしその時…。


「行かせるか!」


 だけど、複数の手下がそれを阻もうとした。


「こちらの台詞だ!」


 私の道を阻もうとしていた手下達をスノウさんがレイピアで吹き飛ばしてくれた。

 そんな彼に感謝し、私はムルナウが消えた部屋へ入った…。






 それを見届けたノエルとスノウは背中合わせとなり、二人を覆い囲む手下達を見回す。


「…会って間もない状態ですのに随分とスズカ様を信じているのですね」


「理由はわからないが、彼女には大きな信頼を持てる。…何故かはわからないけどね」


「そうですか…。話は終わりの様です。行きましょう、スノウ様!」


「ああ…!」


 頷き合ったノエルとスノウは手下達へ向かって行った…。






 少し走った後、私は遂に基地内の最深部へ到達した。

 そして、目の前にはムルナウの姿が…。


「ほう、奴等を見殺しにしてまで、俺を止めるつもりか」


「ノエル達は絶対に死なないわ…。私はノエル達を信じているモノ!」


「信頼、か…。下らん。そんなモノで私に勝てると思うな!」


「絶対に止める…! 後押しをしてくれたノエル達の分まで!」


 太刀を強く握り締めた私は地面を大きく蹴り、ムルナウに挑んだ…。


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