アジトを目指して
私とノエルは発信機を頼りに森を突き進んでいた。
「ヤアァッ!」
森の中ではモンスターも複数襲い掛かって来ていたので、私達はそれの相手もしていた。
私の動きに合わせて、ノエルが動いてくれる…。完璧ではないけれどいいコンビネーションだとは思うわ。
周りにいるモンスターを全て倒し終えた私達は戦闘態勢を解除する。
「フゥ…。森の奥だから仕方ないけど、流石にモンスターが多いわね」
うんざりする様に私が呟いているけど、ノエルが何処か難しい顔をしていた。
「ノエル…? どうしたの?」
「…妙ではありませんか?」
「えっ…?」
妙…?
「あまりにもモンスターが活発過ぎます。…まるで誰かに強制的に活発化されている様な…」
じゃあ、モンスターを活発化させている犯人がいるって事…?
「犯人がいるって事?」
「まだ確証はありませんが…お気をつけた方がよろしいかと」
「わかったわ」
ノエルの忠告を受けつつも私達は森を更に進み始めた…。
一方、男達のアジトでは…。
スズカに負け逃げ帰って来た男達三人がリーダーらしき男の元へ駆け込んだ。
「ムルナウリーダー!」
「帰って来たと思えば、騒がしいな…。何があった?」
男達三人は村で起こった事をリーダーらしき男…ムルナウ・イザベラに話した。
「…なるほど、つまりお前達はその女如きに敗れたという事なのか?」
事の事情を聞いたムルナウは男達三人を睨むと男達三人はヒイッ…⁉︎、と恐怖の声を上げる。
「…俺のギルド…《ブラック・アウト》の顔に泥を塗るとはな」
「も、申し訳ありません、ムルナウ様!」
「…まあいい。どちらにしろ…その女がこの場所を突き止めたとしても、此処には辿り着けない」
不気味な笑みを覗かせたムルナウは窓の外を見た。
「俺達のペットが…立ち塞がるのだからな」
ムルナウの笑い声がアジト内に響き渡った…。
未だ森を進む私とノエル…。
結構奥まで来たと思うけれど…。
「結構奥まで来たけど…まだあの人達のアジト…見えてこないわね」
「そろそろだと思いますが…」
辺りを見渡すも、まだ施設の様なモノは見えて来なかった。
「もう少し奥なのかしら…?」
そう呟き、足を進めようとしたその時だった。
「スズカ様!」
ノエルの叫び声と共にツタが飛んできて、私はそのツタに捕まってしまった。
「くっ…⁉︎」
ツタに捕まりながらも私は前を見ると頭の上に巨大な花をつけたモンスターがいた。
このモンスターは…⁉︎
「《デビルフラワー》…⁉︎ 他のモンスターを操っていたのこのモンスターだった様です!」
確かに悪魔の様な顔をしているわね…!
私は何とかツタから逃れようとしているけど、逃げられないでいた。
締め付けの力が強すぎる…!
「スズカ様、今助けます!」
ノエルが私を捕らえているツタに向かって、《ウインドカッター》を放ち、ツタを切った。
それにより私も解放される。
「ありがとう、ノエル!」
地面に着地した私はすぐさま太刀を構えるが、《デビルフラワー》が放出する花粉の影響で活発化したモンスターが複数現れる。
「私は他のモンスターの相手をします! スズカ様は《デビルフラワー》を!」
「了解!」
周りの他のモンスターをノエルに任せ、私は単身、《デビルフラワー》に突っ込んでいった。
《デビルフラワー》は複数のツタで私を攻撃しようとするが、それを回避していきつつ、ツタを斬っていく。
そして、接近した私は何度も《デビルフラワー》を斬り刻む。
悲鳴を上げながら、緑色の血を吹き出す《デビルフラワー》は痛みのあまり、見境なくツタで辺りを叩きつけ始める。
隙を見せた今なら…!
勢い良く駆け出した私は太刀を構え、《デビルフラワー》に最後の一撃を与えようとした。
しかし、その攻撃は決まらなかった…。何故なら…。
「ッ…⁉︎」
突然、私の足元の地面から木の根の様なモノが生え、私の足に絡み付いた。
「う、動けない…!」
何とか木の根から足を引っこ抜こうとするが、抜けず、私は動きを止めてしまった。
そんな私に向けて、《デビルフラワー》は黄色い花粉を浴びせてきた。
黄色い花粉を吸ってしまった私の身体は突然、痺れ始めた。
「痺れ粉…⁉︎」
痺れ粉を吸ってしまった私をツタが捕らえ、足元に絡み付いていた根は解除されてそのまま持ち上げられた。
更に…。
「ウッ…⁉︎ アァッ…⁉︎」
突然、私から青い何かがツタを伝って、流れ始めた。
コレ…エネルギーを吸い取っているの…⁉︎
マズイ…!
私は何とかツタを振り解こうと力を込めるけど、もがけばもがくほど、ツタの締め付ける力が強くなっていく。
「クッ…! コノォ…!」
「スズカ様! グッ…⁉︎」
ノエルも捕らえられた私に気付き、助けようとするけど、周りのモンスターがその邪魔をする。
「カ…ァァッ…!」
意識が朦朧としてきた…このまま私、死んじゃうの…?
まだ、この世界に来て、何もしてないのに…麻生君に会ってないのに…!
こんな結末…絶対に嫌だ…!
意識が薄れていく中、私は最後の力を振り絞り、何とかツタを振り解こうとする。
「私は…諦め…たくない…!」
もうツタを振り解く力が残っていないとしても私は諦める事ができず、抵抗を続ける。
すると…。
スパァン!、という音と共に私を捕らえていたツタが真っ二つに斬り裂かれた…。
ツタが斬り裂かれた事により、私は動ける様になるが、上空に投げ出される。
そんな私を助ける為にお姫様抱っこで背負う人が現れた。
「え…⁉︎」
私を助けた水髪の男の人は地面に着地すると、私を降ろした。
「怪我はないかい?」
「う、うん…ありがとう。…あなたは?」
水髪の男の人は浄化ポーションを私に手渡し、私はそれを飲み干して、麻痺を治しながら、彼に問いかけた。
「僕かい? 僕はスノウ・クローゼル。ソロの冒険者さ」
名前を名乗ったスノウという人は私に微笑みかけた…。
「わ、私はスズカ・シャーネルです」
「無事なら良かったよ。…さて、本来ならば、ここは僕に任せて、逃げてくれと言いたい所だけど…相手が相手だ。手伝ってくれないかな?」
レイピアを構えたスノウさんは私に問いかける。
「勿論です!」
頷いた私とスノウさんは太刀とレイピアを構え、《デビルフラワー》に向かって、走り出した。
《デビルフラワー》も私達に向けて、ツタを放ってくるが、それを太刀とレイピアで斬り裂いていく。
しかし、先程、私を捕らえた様に足元に木の根を張ろうとしてくるが、同じ攻撃は二度も効くはずもなく、私とスノウさんは跳躍した。
そのまま《デビルフラワー》を何度も斬り裂いていく。
だが、負けじと《デビルフラワー》は痺れ粉を放ってくる。
「《スライサーシールド》!」
太刀を回転させ、私達に向かってきた痺れ粉を吹き飛ばした。
それに続いたスノウさんがレイピアにエネルギーを蓄積させる。
「《シューティングストライク》!」
エネルギーによる鋭い突きを何度も繰り出し、《デビルフラワー》にダメージを与えていく。
スノウさんの《シューティングストライク》を受け、弱りだした《デビルフラワー》を見て、スノウさんが叫んだ。
「スズカさん、トドメは任せるよ!」
「はい…!」
スノウさんからのバトンタッチを受けた私は太刀を構えながら、《デビルフラワー》に接近する。
「コレでトドメよ…!」
太刀の剣身にエネルギーを蓄積させた私は叫んだ。
「《アトミックスラッシュ》!」
私の技能、《アトミックスラッシュ》を受けた《デビルフラワー》は悲鳴を上げながら、消滅した…。
「ハァ…ハァ…!」
息を切らして、膝をついた私にスノウさんは手を差し伸べ、私はその手を掴んだ…。




