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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第八章 聖ミリアルド女学園編
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転入生と訓練


 学生の休みである土日が終わり、生徒達はまた一週間の勉学を受ける時が来た。

 誰しもが思った事だろう…月曜日は嫌いだと。


 だが、月曜日に何の罪がある? ただ一週間の始まりに勝手に選ばれただけでこの言われよう…。ちなみに学生の中にも土日に通学しているやつもいるのにな。


 …話が逸れたな。言葉通り俺達もまた一週間の学園生活が始まった。朝のショートホームルームだが…クラスメイト達は困惑していた。

 いや、訂正しよう。俺以外の生徒は困惑していた。その理由は転入して来た二人にある。

 その二人とは…。


「それでは転入生に挨拶をしてもらいます。二人共、挨拶をして」


 ヴィーシャ先生の言葉に転入生二人は返事をして、一人ずつ名乗り出した。


「グレン・アビスだ! ギルド、紅蓮烈火のギルドリーダーもしている! アルトとは幼馴染のダチだ! 男だが、よろしくな!」


「私はカイリ・シリングよ。グレンと同じくアルトとは幼馴染だからよろしくね!」


 そう…俺の友人の二人であるグレンとカイリが転入して来たのだ。

 …話は二日前の土曜日に遡る…。






 ダンジョンから抜け出した俺達の下にヴェイグが現れ、彼はグレンとカイリに学園の生徒として通って欲しいと頼み込んで来た。


 当然、グレンとカイリは声を出して驚き、俺とアイムも顔を見合わせた。


「いきなりですまない。だが、君達の力が必要なんだ」


「いきなりにも程があるだろ⁉︎ せめて、色々話をしてから言うだろそれ!」


「一応話はアルトから聞いています。ですが、具体的な話を聞いていないので生徒として通ってくれと言われても…」


 まあ、二人の言い分は最もだ。俺はグレン達に学園に通っている理由を割と簡単に伝えてあったが、まさかグレン達が学生になるとは思ってもいなかった。


「…あー、ヴェイグ…。人手が足らなくて、焦る気持ちはわかるが、説明は必要だろ? 一方的に決定されても二人も納得がいかないだろうからな。…この二人は納得がいかない事には従わない面倒な奴等だし」


「「一言余計((だ/よ))!」」


 おぉ、見事にハモったな。案外この二人は相性がいいのかもな。

 後、アイム…笑いを堪えている様だが、堪えきれていないぞ…。


「…すまない…。では、改めて話を…」


 そこから落ち着いたヴェイグの話が始まった。

 学園で行方不明が起き、俺達が調査に来た事を詳しく話し、調査の人手が足らない事も。


 理由を聞いた二人は顔を見合わせ、同時に頷いた。


「わかった。協力するぜ!」


「これ以上、被害を増やさないためにもお手伝いします!」


「ありがとう。感謝するよ、二人共」


 二人の言葉にヴェイグは嬉しくなり、笑顔で感謝の言葉を述べた…。

 こうしてグレンとカイリの二人も学生として聖ミリアルド女学園に通う事となったのだった…。







 挨拶を終えたグレンとカイリはヴィーシャ先生の案内で空いている席に座った。ちなみに二人の席は俺の後ろと左の後ろだ。

 もう一つ言うとグレンの右隣はマリルで彼女はグレンが編入してきた事を嬉しがり、更に隣に座った事で顔を赤らめていた。

 そう、そしてクラスメイト達のいい的にされた…。


 更に一時限目はヴィーシャ先生の授業なので、そのまま開始された。


「それでは今日の授業は…集団におけるモンスター討伐についてよ」


 言い忘れていたが、ヴィーシャ先生の担当はモンスター討伐についての授業だ。

 やはり、人にとってはモンスターの討伐の仕方というのは変わってくる。


 そのまま力任せに倒す者…。

 頭を使って効率良く倒す者…。

 地形や周りの物を使用して倒す者…。

 倒さずにモンスターを落ち着かせ、住処へ帰す者…。


 どれもコレもが正しい対処の仕方だ。俺はこの四つのやり方それぞれでモンスターを倒して来た事もある。

 …まあ、大抵のモンスターが活発で、四番目のやり方はあまりやって来なかったが…。


 まあ、簡潔に言うと人それぞれって事だ。って、おっと…先生の話が続いているな。


「もし、集団パーティでモンスターに挑む場合は攻撃役、回復薬、遠距離役、タンク役と、多くてもこの四つに分けて行動するといいわ。仲間というのは支え合って形立つ物という事を忘れないで」


 確かに…人にはそれぞれの長所と短所がある。それを仲間同士で支え合って行けば、その絆はより一層深くなり、いいチームとして成り立っていくものだ。


 先生の話を聞いているとチャイムが鳴り響く。


「それじゃあ、今日はここまでね」


 授業が終わったので、後ろに座っているグレンに授業の事をついて聞くために振り向く。


「どうだ、グレン? 授業にはついて行けているか?」


 揶揄い混じりにグレンに問うと彼は頷いた。


「ああ。わかりやすくて、ついて行けているぜ。…でも、アレだな。俺のギルドはどちらかというと役割分担より、全員がアタッカーだから、いい勉強にはなったな」


 そういや、紅蓮烈火の奴等は全員猪突猛進だからな…。仲間同士で支え合う絆はあるが、稀に防御で痛い目を見ている時があるな。


「あ、そういえばアルト」


「何だ?」


「この学園って、訓練場もあるんだよな? そこって、生徒でも使えるのか?」


 訓練場…? 確かにあったが、俺はまだ一度も使っていないな。


「確か使えるはずだぜ。…予定が埋まっていなかったらだけどな」


 訓練場について話すと彼はそうか…、と考え込み、隣に座っていたマリルに声をかけた。


「なあ、マリル? 今日の放課後空いてたら、一緒に訓練しようぜ!」


「ヘェッ⁉︎」


 おぉ、突然の誘いでマリルが変な声を上げた…。つーか、側から見たらデートの誘いにも見えるが…まあ、グレンに限ってそれはないだろう。


「ど、どうして私を誘ってくれるのですか…?」


 頬を赤らめ、アタフタとしながら、マリルは問いかけるとグレンはなんの迷いもなく答える。


「どうしてって…いずれお前は俺達のギルドに入るだろ? だったら、お前の腕を知りたくてな」


 はい、爆弾発言をしましたよコイツ。

 マリルも紅蓮烈火に入る事が決まった事をカナリア達以外には話していない。


「えー⁉︎ マリルちゃん、アビス君のギルドに誘われたの⁉︎」


「卒業したら、花の道かぁ…」


 そして、マリルを襲う揶揄いの嵐…。可哀想に…。

 マリルに対する揶揄いの嵐は次の担当教師が来た事で治まり、グレンとマリル…そして、俺達で訓練をする事になった…。





 そして、放課後…。

 運良く、訓練場が空いていたので、俺達は訓練を始めた。


訓練場に来ているのは俺、アイム、グレン、マリル、カナリア、フェルト、アレイナ、スズカ、シャッティの九人だ。


 その内のアイム、カナリア、フェルト、シャッティの四人は見学で戦いを見ているだけだ。

 そして、先程の約束通り、グレンとマリルは訓練を始めた。訓練内容は軽い組み手で、〈エネルギーコーティング〉を身に纏った状態での勝負だった。


「よっしゃあ、行くぞ、マリル!」


「はい! お願いします!」


 剣身に炎を纏わせながら、グレンはマリルに突っ込む。

 だが、マリルは焦る事なく、弓を引き、グレンへ狙いを定める。力強く引き終えた彼女はそのまま矢を放つ。


 グレンも向かってきた矢を炎を纏った剣で斬り伏せる。しかし、負けじと何度も矢を放つマリル。

 矢の全てがグレンに直撃するコースだったが、グレンは一発も逃さずに矢を斬り伏せていく。


 徐々に縮まっていくグレンとマリルの距離…。そんな状況でもマリルは焦る事なく、矢を放った。


「悪いが、何度やっても通じないぞ!」


 先程と同じ様にグレンは矢を斬り伏せ…た様に見えた。しかし、矢は斬り伏せられる前に複数に分裂し、複数の矢となった。


「何っ…⁉︎」


 咄嗟の矢の分裂にグレンは対応出来ず、複数の矢を全て受け、エネルギーが減った。


「いつも同じ手とは限りませんよ?」


「ヘッ…! 面白くなってきたぜ!」


 一度、マリルと距離を取ったグレンは再び、彼女に向かって突っ込んだ…。


 マリルのやつ…グレン相手に結構戦えてんじゃねえか。


「いつまでよそ見をしているつもり?」


「私達もやるわよ!」


 おっと、そうだそうだ。俺とアレイナ、スズカも訓練をする事になっていたんだった。

 二人は一斉に俺に襲いかかってくるが、エンゼッターでその攻撃を防いだ…。




 訓練を終え、俺達はそれぞれの部屋へ戻る事にした…。


 グレンに対応出来るマリルも驚きだが、アレイナも以前の決闘から腕を上げている様に見える。本当にこの学園から有名な騎士や冒険者が出てもおかしくないな。


 部屋へ戻った俺は同じく、仕事を終えたヴェイグと共にグレン達と合流し、今夜の偵察を始めた…。






 同じく部屋へ戻ったアイムとシャリティアは紅茶を飲みながら、今日行った訓練の事を話し合っていた。


「お兄さんも凄かったけど…アビス先輩に攻撃を当てたマリル先輩も凄かったね!」


「うん。将来も期待できる」


 熱い紅茶を息で冷ましながら、アイムも肯定する。シャリティアも紅茶を啜りながら、ふとある事を思い出したかの様に声を上げた。


「そう言えば!」


「…何?」


「教室に忘れ物してきちゃったの! 明日提出する課題だから、すぐに取りに行かないと!」


 夜に出歩く事が危険だと判断したアイムは明日にした方がいいと、提案したが、どうしても提出したい課題だとシャリティアは耳を貸さなかった。

 仕方なく、着いていく事を約束にアイムとシャッティは夜の校舎に入り、教室に入った。


 今時、教室がロックされていない事が不思議に感じながら、アイムは付近を警戒する。


「あった!」


「早く戻ろ」


 長居はできないと、アイムはシャリティアの手を引き、廊下に出た…瞬間だった。


「ウアッ…⁉︎」


 突然、アイムは殴り飛ばされ、壁に激突した。


「(殺気に気づかなかった…⁉︎)」


「ア、アイムちゃん…!」


「シャッティ…⁉︎」


 攻撃された事に驚いたアイムだったが、シャリティアの声を聞き、我に返るとシャリティアは紫色のスライムに捕われ、その横に《スライムソルジャー》がいた。


「《スライムソルジャー》…!」


 アイムは身構え、《スライムソルジャー》を睨みつけた。


『麻生 アルトの仲間か…。お前達を潰せば、奴を絶望に落とせる事が出来る』


「簡単に負けるつもりはない…!」


『威勢がいいな。…だが、それは後だ。どうやら、招かれざる客が来た様だ』


 呆れた様に言った《スライムソルジャー》は背後に放たれた攻撃を剣で防いだ…。


「えっ…⁉︎」


 奇襲攻撃を仕掛けた者を見たアイムは絶句した…。

 何故なら、その人物とは…。


「漸く手が届く範囲に来てくれたわね…!」


『お前に攻撃される覚えはないのだがな。…スズカ・シャーネル』


 そう…奇襲攻撃を仕掛けたのはスズカだった。


「忘れたとは言わせないわよ…! あなたが拐ったリーナの事を…!」


 キッと、《スライムソルジャー》を睨みつけたスズカは太刀を握り締めたのだった…。


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