技能複写《スキルコピー》
最後のポーションも飲み干した為、もうこれで俺の回復手段はない。
殺すか、殺されるか…。単純なやりとりだ…。
だから、こそ…!
「負けられねえ!」
メタルソードを握り締めて、俺は勢い良く、駆け出す。
完全に立ち上がった《サイクロプス》は振り下ろし攻撃で俺を叩き潰そうとしたが、俺はそれを横に避け、《サイクロプス》の目の前まで跳躍する。
すると、《サイクロプス》は再び、咆哮の準備に入るのが見えたので、リボルバーガンを二発発砲する。
右腕を動かす事で咆哮が中断され、銃弾は防がれるが、銃弾を防いだ右腕を土台にしてさらに跳躍する。
そのまま《サイクロプス》の頭の上に飛び乗った俺はメタルソードで何度か突き刺す。軽いダメージを受けたのか、雄叫びを上げた《サイクロプス》は俺を振り落とそうと暴れ始める。
踏ん張る事が出来ず、俺は振り落とされ、《サイクロプス》の右ストレートを受けてしまう。
壁に激突するが、もう休んでる暇はなく、俺は次の戦闘態勢に入る。
銃弾も残り、一発…。さて、どうする…?
ちまちま攻撃を当てていても消耗するのはこちらの方だ…。
ー何をしているんだ?早く技能複写を使うんだ。
突然、俺の頭にあの時の声が聞こえた。
そう言えば…俺に力を与えるって…。
技能複写…って、どうやって使うんだよ…⁉︎
戸惑う俺の頭にある映像が流れた。
「これは…技能複写の使用方法…?」
そして、俺の視線は大きな毒の沼に移る。
そうだ…技能をコピーできるなら…!
俺は毒の沼に右手を翳して…技能複写を発動した。暫く手を翳していると毒の沼から複数の光が出現し、俺の中へと吸収されていく。
次に俺の頭の中に複数の文字が刻まれた。
〈特殊技能《毒化》 《毒無効化》を獲得〉
〈技能 《毒突き》 《ポイズンスラッシュ》 《ポイズンブラスト》を獲得〉
これらの文字が刻まれ、俺の身体に妙な力を感じた。
「特殊技能と技能を入手した…って事か?」
実感がわかない俺に向けて、《サイクロプス》は拳を振り下ろしてきた。
物は試しだ…毒化!
特殊技能の《毒化》を発動すると、俺の身体は毒の液状と化し、《サイクロプス》の攻撃を避け、奴の肩まで移動する。
そして、肩に乗ると、人間の姿に戻った。
「これが《毒化》…。兎に角…!」
本当に毒の攻撃を…。そのまま俺は《スピンキック》で《サイクロプス》の右頬を蹴る。
蹴りを受け、《サイクロプス》のその巨体は音を立てて、地面に倒れ伏した。
地面に着地した俺は両手を確認して、新たな力を手に入れた事に実感を得る。
だが、これでも決定打に欠ける…。アイツを完全に倒すには…。
俺の視線は一点を見つめていた。…そう、大きな毒の沼だ。
「もう、この方法しかねえ!」
《スピンキック》による攻撃で怒りを露わにした《サイクロプス》は立ち上がり、雄叫びを上げる。
ドシンドシン、と駆け出し、俺に向けて次々と拳を振り下ろす。その攻撃を《毒化》を発動し、回避していき、《サイクロプス》の足下に移動すると、メタルソードで奴の足に斬り傷を与えていく。
勿論、一度では大したダメージを与える事は出来ないので、何度も何度も…。
しかし、《サイクロプス》も反撃と足で俺を踏み潰そうとするが、それを《毒化》で回避し、尚も攻撃を加える。
「これでぇぇぇっ!」
《パワースラッシュ》でダメージを与え、ついに《サイクロプス》のその巨体は毒沼に向けて、傾き出した。
だが、もう片方の足で《サイクロプス》は踏ん張ろうとしているのを見て、俺は奴の巨大な一つ眼の前まで跳躍し、右腕を引いた。
「大人しく、巨大風呂にでも沈め!」
技能《毒突き》を発動し、《サイクロプス》の一つ眼に右腕を勢い良く、突き刺した。
弱点に攻撃を受け、悲鳴を上げながら、《サイクロプス》の巨体は巨大な毒沼へと倒れ込んだ。底無し沼だったのか、徐々に沈んでいく《サイクロプス》…。
だが、弱点を突かれても尚、《サイクロプス》は毒沼から脱出しようと顔を出した。
…既に俺が目の前まで跳躍している事にも気づかずに…。
「これで…終わりだ!」
空中で回転を加え、毒沼から出した顔目掛け、《ポイズンスラッシュ》を発動し、《毒突き》を受け、真っ赤になっていた一つ眼を斬り裂いた…。
弱点をさらに斬り裂かれた《サイクロプス》は踏ん張る力を失い、ブクブク、と毒沼に沈んでいった…。
その後、俺も毒沼に落下してまうが…数分後、何事もなかった様に這い上がる。
特殊技能《毒無効化》を取得したおかげでこの毒沼も俺にしたら、ただの沼だ。
俺は《サイクロプス》が沈んだ毒沼を暫く眺めていると…経験値が入った事を確認する。
レベルは16から一気に25にまで上昇した。この事を確認し、俺は勝利を実感…大の字でその場に倒れ込んだ…。
「よっしゃあ…勝ったぞぉぉぉぉっ‼︎」
レベル96の敵に勝利した事に嬉しくなり、俺は思わず叫んでしまった…。




