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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第七章 コルドブーム編
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諦めない仲間達


 俺が敗北したという《ドラグネス》の言葉を聞き、メリル達はすぐにでも城へ向かおうとした。


「…行くぞ、アルト達を助けに行く!」


「うん。まだリフィルお姉ちゃん達も残ってる」


「ルルさん、此処で待っていてもらえますか?」


 ルルには此処で待っていてほしいとメリルが頼んだが、ルルは首を横に振る。


「…私も行きます」


「で、でもよ…!」


「私も…アルトさんの仲間ですから…!」


 ルルを連れて行くのは危険過ぎると判断したマギウスだったが、彼女の決意を見て、肯定せざるを得なかった。


「わかりました…。ですが、無理はなさらないでください」


「はい!」


 そしてメリル達はケイルと一緒にいたエルスカーネに視線を移す。


「…ケイル君…」


「行って、エルスカーネちゃん。此処は僕に任せて。君は君のやるべき事をやって」


「…ありがとう!」


 ニコリ、とケイルに笑いかけたエルスカーネはメリル達の下へ駆け寄る。


「行きましょう、皆さん!」


 メリルの言葉にアイム達は頷き、彼女達は城へ向かった…。







 俺に勝利した《ドラグネス》は未だ反抗の意志を見せるリフィルとアイリに視線を移す。


『まだやる気なのですか? 言ったはずです。貴方達の希望である麻生 アルトはこの通り敗北しました。これでチェックメイトなのですよ』


「負けてない! アルトも…私達もまだ負けてない!」


「私達が諦めない限り、アルトが必ず貴方を倒してくれる!」


 彼女達の言葉に呆れる様に《ドラグネス》は息を吐いた。


『…諦めが悪い方達ですね』


「さ、流石だな、ガラン!」


 俺を倒した事に喜んだアリシアは《ドラグネス》に近づく。


『…さて、アリシア殿』


「な、何だ? ガァッ…⁉︎」


 何と《ドラグネス》は片手でアリシアの頭を掴み、そのまま持ち上げた。


「な、何の真似だ、ガラン⁉︎」


『此処まで来たら、もう貴方は用済みです。此処で消えてください』


「貴様…私を騙したのか⁉︎」


 何とか《ドラグネス》の手から抜け出そうとするアリシアだが、一向に抜け出せずにいた。


『さようなら、アリシア殿』


「待っ…⁉︎ ギャアアアアッ⁉︎」


 アリシアの全身にエネルギーを流し込み、耐えきれなくなった彼の肉体は消滅した…。


「アリシア…」


「貴方…なんて事を!」


『所詮はそれまでの関係…だという事なのですよ。さて…そろそろ貴女達にもご退場願いましょうか』


 歩み寄って来る《ドラグネス》に対して身構えるリフィルとアイリ…。だがそこへ、王座の間を突き破った者達が現れた。


『…ほう、招かれざるお客様方が来ましたか』


 王座の間へと入って来たのはメリル達だった。


「状況はどうなってんだ⁉︎」


「リフィルさん! アイリさん! ご無事ですか⁉︎」


「メリル! みんな!」


「私達は大丈夫! それよりもアルトが…!」


 アイリの視線の先に気を失っている俺を発見するメリル達は一斉に俺へ駆け寄った。


「マスター!」


「そんな…酷い怪我を…!」


 怪我具合を確認し、眉を動かすメリル達の視線は《ドラグネス》へと向かう。


「ガラン…! 今度は俺達が相手だ!」


 メリルは俺の治癒に回り、ルルもアイリとリフィル、オルレスト様の下へ駆け寄る。


 そして、アイム、マギウス、エルスカーネは戦闘態勢を取った。


『全く…無謀という言葉を知らない様ですね。良いでしょう。まずは貴女達を消し、最後に麻生 アルトの息の根を止めるとしましょう!』


 《ドラグネス》は戦闘態勢を取ったマギウス達に向けて、火炎弾を発射する。だが、マギウスとアイムの前にエルスカーネが立ち、盾で火炎弾を防いだ…かに見えたが…。


「…うあっ⁉︎」


 火炎弾の威力が相当なモノだったのか、彼女は盾ごと弾き飛ばされ、壁に激突した。


「エルスカーネ! このっ…!」


 弾き飛ばされたエルスカーネを心配しつつ、アイムも腕を剣に切り替え、斬りかかるが、見えない障壁に阻まれ、逆に念力で地面に叩きつけられてしまった。


「アイムまで…!」


『次は貴方の番ですよ、鬼さん』


「テメェエエエエッ‼︎」


 地面に叩きつけられたアイムを蹴り飛ばした《ドラグネス》にマギウスは叫び、赤雷を纏った拳で殴りかかった。


 しかし、障壁を使われる事なく、片手で難なく受け止められてしまう。

 《ドラグネス》を睨み付けるマギウスの顔を見て、奴は何かを思い出したかの様に笑みを浮かべる。


『そう言えば貴方は…アルドシュさんのお弟子さんでしたね。…いやはや、アルドシュさんもかわいそうなお方だ。…この様なダメ弟子を持ってしまって』


「…⁉︎」


 ダメ弟子…今のマギウスの心にダメージを与えるに十分な言葉だ。慕っていた師匠であるアルドシュが悪党に加担している…。


自分が信じたアルドシュへの信頼などが大きく崩れたからだ。


「俺は…ダメ弟子なんかじゃ…!」


『いいえ。貴方はどうしようもないダメ弟子…。貴方が彼を越える事など一生不可能なのですよ!』


 マギウスの拳を勢い良く離した《ドラグネス》は彼を回し蹴りで蹴り飛ばし、吹き飛んだ彼を爆破させた。


 爆音と彼の悲鳴が響き、メリルやルルも心配の声を上げる。


『そう…超える事など不可能。それ故に貴方にはその赤雷も相応しくないのです。…宝の持ち腐れ、というやつです』


「黙れ…」


 未だ止まらいマギウスへの罵倒に彼は拳と身体をワナワナ、と震わせる。


『これ赤雷使いと守っていた村の住人達から慕われていた様ですが、所詮はその程度なのですよ』


「黙れぇぇぇぇっ‼︎」


 悔しさと苦しみ、怒りが同時にこみ上げマギウスは叫びと共に再び《ドラグネス》へ殴りかかった…が。


『学習しない人は嫌いなのですよ』


 そんなマギウスに動じず《ドラグネス》は火炎弾を彼に放った…。火炎弾はマギウスへ直撃する…かに思えたが、彼と火炎弾の間にエルスカーネが飛び込んだ。


「《シールドパリィ》!」


 盾で火炎弾を受け、吹き飛ばされそうになるのを堪え、何とか火炎弾を上空へ弾き、弾かれた火炎弾は天井を突き破り空高く上がった。


「ハァッ…ハァッ…!」


「エルスカーネ…!」


 息を切らすエルスカーネに目を見開くマギウス。だが、《ドラグネス》は興味深そうにエルスカーネを眺める。


『ほう…? よく私の攻撃を弾きましたね』


「これ以上…マギウス様への罵倒は許しません!」


『では…貴方も彼と共に消えなさい』


 エルスカーネとマギウスに向けて、火炎弾を何度も放つ。背後にマギウスがいる為、避ける事が出来ず、エルスカーネは何度も盾で火炎弾を防ぎ続ける。


 だが、先ほど吹き飛ばされたダメージが残っていたのか、彼女は片膝をついてしまう。

 それでも彼女は防ぐ事をやめなかった。


「もういい、やめろ!」


「やめません…! 私は皆さんの盾になると決めたんです! これしきの事で…!」


『…ですが、それも無意味だ!』


 《ドラグネス》の言葉通り、最後に奴が放った火炎弾でついにエルスカーネとマギウスは吹き飛ばされた。


「マギウスお兄ちゃん! エルスカーネ!」


 吹き飛ばされた二人の変わりにアイムがレールガンで攻撃するが、全て反射され、彼女も吹き飛ばされた。


 地面に倒れたアイム、マギウス、エルスカーネを見下ろし、《ドラグネス》は手に火炎弾を発生させる。


『これで終わっ…』


 これで終わりだという奴の言葉は放たれた風の刃によって遮られる。その風の刃を拳で打ち消した《ドラグネス》は放った者を見る。


「今度は…私が相手です!」


『麻生 アルトさんの相棒さんですか…。これはこれで楽しめそうですね』


「私は楽しむつもりはありません! 《ファイアボール》!」


 風の刃を放った者…メリルは《ファイアボール》を《ドラグネス》に向けて放つ。同じく奴も火炎弾を放ち、激突した。


 吹き出る爆煙…だが、その中から火炎弾がメリルに向けて飛び出て、彼女はそれを受けてしまう。


「ウグッ…⁉︎」


 火炎弾をモロに受けてしまったメリルは地面に倒れるが、すぐに立ち上がり、今後は《スプラッシュ》を放つが、それをかき消されてしまった。


『…やはり、貴女でも此処まででしたか…。では、ご機嫌よう』


 凄まじい大きさの火球を形成し、メリルに向かって投げつける《ドラグネス》。メリルは《ビッグバリア》で火球を防ごうとする。

 しかし、威力も相当なモノで徐々にメリルが押され始めた。


「クッ…ウゥッ…!」


『しぶといとはこの事ですね…。いい加減諦めた方が身の為ですよ』


 何とか火球を防ぎ切ろうと歯を食いしばるメリルに諦めろと《ドラグネス》は口にする。


「…アルトさんならば…この様な状況でも絶対に諦めません! だから、私達も簡単に諦めるという事はやめたんです!」


「その意気だよ、メリルお姉ちゃん…!」


 アイムの声が聞こえたと同時にメリルの両肩に手が置かれる。彼女が背後を振り返るとそこにはアイム、マギウス、エルスカーネが肩を貸し、共に火球を防ごうとしていた。


「アイムさん…マギウスさん…エルスカーネさん…!」


「諦めないのは私達も同じですよ、メリル様…!」


「此処で諦めちまったら、 アルトに笑われるからな…!」


 アイム達の覚悟を受け取ったメリルは力強く頷き、手に力を込めた。

 だがそれで簡単に防ぐ事が出来る程甘くはなかった…。


『無駄です』


「…⁉︎」


 突如、火球が威力を増し、《ビッグバリアン》がその威力に耐えきれなくなり、音を立てて崩壊した…。

 そして、火球はメリル達を飲み込み、彼女達は悲鳴と共に地面に倒れた…。


「皆さん!」


 ルルの声が王座の間中に響き渡る中、《ドラグネス》はゆっくりと地面に倒れているメリル達へ歩み寄る。

 その手に黒い球体を纏わせ、トドメを刺そうとばかりに球体をメリル達に見せびらかす。


 メリル達も何とか立ち上がろうとしたが、相当なダメージだったのか、立ち上がれずにいた。


『これでジ・エンドです』


 《ドラグネス》が黒い球体をメリル達に投げつけようとしたその時だった…。


 倒れるメリル達の背後からドゴォン!、という音と辺りを揺らす程のエネルギーが溢れ出た。


 その場にいる者全員が音の方へ視線を寄せると驚きの表情を浮かべた…。何故なら…。


「アルト…さん…⁉︎」


 《ドラグネス》の前に敗北し、気を失っていた俺…麻生 アルトが立っていたからだ…。


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