表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第七章 コルドブーム編
112/174

亜人の反撃


 獣人形態となってしまったケイルと戦闘を続けているエルスカーネ。


 攻撃力の低い彼女では決定打となる一撃を与えられずにいた。


『グルアアアアアッ!』


「くっ…!」


 ケイルの一撃にエルスカーネは盾ごと吹き飛ばされる。


「ケイル君の身体能力も強化されてる…! これが調整の力…!」


 どれ程の調整をされれば此処まで強化されるのか…あまりの想像にエルスカーネは顔を顰める。


「そうだな…何せソイツの調整に一週間はかかったからな。最初は抵抗していたが、三日目には心を壊した所為か、抵抗すら見せなかったぜ」


「貴方という人は…!」


 奴隷の館の店主に怒りを露わにする。

 同時にケイルがどれだけ辛い目にあってきたのか、痛い程わかってしまった…。


「ケイル君…私が助けてあげるからね…!」


 エルスカーネの言葉に一瞬、ケイルはピクリ、と反応するが、すぐに雄叫びを上げ、再び彼女に爪で斬りかかってきた。


 それを盾で防ぎ、《シールドアタック》で弾き飛ばす。

 だが、それでもあまり効いておらず、すぐに攻撃へ移ってきた。


 迫り来る攻撃を盾で防いでいき、次の手を考えるエルスカーネ…。

 攻撃を防げるほどの防御力を持っていたとしても倒せなければ意味がない…。つまり、長期戦となれば確実に彼女の方が不利なのは明白だ。


 だからこそ攻めなければならない…。


「《シールドブーメラン》!」


 《シールドブーメラン》を放つが、簡単に盾を弾かれる。だが、エルスカーネは弾かれた盾を掴み、盾に炎を纏わせる。


「《シールドバーニング》!」


 炎を纏わせた盾でケイルを殴り飛ばした。

 殴り飛ばされたケイルはすぐに受け身を取り、勢い良くエルスカーネに接近する。


「次に…《シールドショック》!」


 盾から衝撃波を放ち、接近してきたケイルを吹き飛ばした…。


「へっ、攻撃力が低いクセによく頑張るじゃねえか」


「攻撃力とか防御力とか関係ない」


「何…?」


 エルスカーネを嘲笑う様に奴隷の館の店主にアイムが指摘し、奴の視線がアイムに向かう。


「これは勝つか負けるかの勝負じゃなく、助けられるか助けられないかの勝負…それにステータスは関係ない」


「ハッ! 何を言うかと思えば…助けるにしてもステータスが低ければ意味がないだろうが!」


「ステータスよりも強いモノがある」


「何だそれは⁉︎」


 全て言葉を返され、イラついた店主が声を荒げながら、尋ねる。


「想いの力…」


「想いの力、だと…⁉︎」


 まさか、そんな非科学的な力がステータスよりも強い力だと言われ、店主は驚く。


「想いの力はどんな強いステータスの力よりも上回る」


「そんな非科学的なモンで勝てる程甘くねえんだよ! ケイル! そのクソ猫を殺してしまえ!」


 店主の命令にケイルは雄叫びを上げ、攻撃の威勢が増した。


「ッ…! こうなったら…!」


 それでも攻撃を全て防ぎ切っていく。

 そして、全ての攻撃を防ぎ切った彼女はケイルの身体に盾を押し付けた。


「《シールドバースト》‼︎」


 カウンター技能(スキル)である《シールドバースト》をケイルにぶつけた…。

 ケイルの身体は大きく吹き飛び、地面に叩きつけられた…。


「こ、これなら…どう…⁉︎」


 ケイルの猛攻も相当なモノだったのか、エルスカーネ自身も息を切らしていた。

 倒したかと思ったが、ケイルはゆっくりと立ち上がった…。


「そ、そんな…⁉︎」


 相当な威力の攻撃を返したはずだったのだが、倒せていない事に彼女は軽く戸惑う。


「いい攻撃だったが、それではケイルを倒す事が出来ねえぞ! 次はこっちの番だ!」


 ゆらりと再び動き出したケイルは一瞬でエルスカーネの懐にまで接近し、盾を通り越し、攻撃を浴びせた。


「カハッ…⁉︎」


 ケイルの攻撃は確実にエルスカーネの肉体を捉え、大きく吹き飛び、地面に転がった。


「エルスカーネ!」


 アイムの心配の声が漏れる。今の攻撃は相当なダメージだったのか、エルスカーネは地面に這いつくばり、立てないでいた。

 そんな彼女におかいまいなく、ケイルは彼女に歩み寄る。


 何とか手を伸ばし、盾を拾おうとしたが、ケイルに盾を蹴り飛ばされてしまった。


「もう限界…!」


 このままではマズイとアイムが動き出そうとしたが…。


「まだです! アイム様、私はまだやれます!」


「でも…!」


「お願いです…私を信じてください!」


「エルスカーネ…。うん、わかった…!」


 何とか立ち上がろうとエルスカーネは手に力を込める。

 そんな彼女にケイルは爪をギラつかせ、手を振り上げた。


「ケイル君…ごめんね…!」


 その一言…たった一言の後にケイルの動きが止まった…。


「辛かったよね? 苦しかったよね? …ごめんね、一緒いてられなくて…。手を握って上げられなくて…! こんな彼女で…ケイル君はガッカリしているよね? でも、待ってて…絶対に、私が助けるから…! 《シールドバック》」


 遠くに蹴り飛ばされた盾を戻し、その盾を使い、エルスカーネは何とか立ち上がった。

 だが、一向にケイルから攻撃が来ず、彼女は首を傾げた。


「ケイル君…?」


『ア…アァウ…! ウガアアアアッ⁉︎』


 頭を抱きながら、苦しみ始めたケイル。その様子にエルスカーネや店主まで困惑する。

 数分間苦しんだ後、ケイルはゆっくりと両手を下げる。そして、歩き出してエルスカーネをゆっくりと抱きしめた…。


『ありがとう、エルスカーネちゃん。それから僕はガッカリなんてしてないよ?だって…僕の大事な人が僕の為に必死になってくれたんだから』


「ケイル君…!」


 理性が戻ったと感じたエルスカーネはケイルを抱き返した。


「助けるのが遅れてごめんね…!」


「ううん…僕の方こそ、傷つけてごめんね」


 目に涙を溜めながら、二人は抱きしめ合う。

 その光景に困惑しつつもアイムは微笑んだ。


「な、何が…何が起こったんだ⁉︎ 洗脳を乗り切るなど…⁉︎ ッ…⁉︎」


 困惑していた店主の手に持っていたネックレスが音を立てて、壊れた…。しかし、ケイルは生命を落とさず、逆に亜人形態へ戻ってしまう。


「何故だ…⁉︎ 何故、死なない⁉︎ ケイルとネックレスは生命が繋がっているはず…⁉︎」


「奇跡が起きた。…これが想いの力」


「何が想いだ…! ケイル! 早くその女を殺せ!」


 エルスカーネを殺せとケイルに命じるが、彼は断るとだけ答えた。何故なら、もう彼を縛るモノは何もないからだ。


「僕はもう大切なモノを傷つけはしない!」


「グッ…! この亜人風情が…! 調子に乗ってんじゃねえ!」


 怒りが頂点に達した店主はそこら辺に転がっていた剣を手に持ち、ケイルとエルスカーネに斬りかかった。


 …しかし、その進行を阻む者がいた。


「二人の邪魔はさせない」


 店主とケイル達の間に飛び込んできたアイムは店主の首元を叩き、気絶させた…。


「…時期に騎士が来る。貴方はもう終わり」


 地面に倒れた店主を拘束し、アイムは再びエルスカーネ達を見る。


「頑張ったね、エルスカーネ」


「アイム様…! はい!」


「アイムさん…本当にありがとうございました!」


「私は何もしていない。凄いのはエルスカーネ」


 抱き合い、見つめ合うエルスカーネとケイル…。

 それを横目で見るアイムは同時に恋というモノを自分もしてみたいと思ったのだった…。


 そして、数十分後に兵士達が駆けつけ、店主は連行されたのを確認し、アイムとエルスカーネ達はメリル達と合流する事となった…。



 


 一方、店主が不在となった奴隷の館にアルネが訪れていた。


「此処が亜人を捕らえている場所か…」


 檻の中に囚われている亜人達を見渡し、目の前に囚われている狼の亜人に話しかけた。


「大丈夫かい?」


「…俺の事はどうでもいい。…エルスカーネはどうしてる?」


 エルスカーネの事を心配しているのか、狼の亜人が尋ねた。


「彼女なら無事だよ。信頼出来る人達に出会えたんだ」


「そうか…それなら良かった。…俺達も…みんなの為の力になりたい」


「勿論…君達を解放しよう!」


 全ての檻を破壊し、中から亜人達が出て来た。自由になった亜人達は頷き合い、奴隷の館を後にした…。


 恐らく、この国を守る為、彼等も動き出したのだろう…。


「さて…後は任せたよ。アルト…」


 奴隷の館のを見上げながら、アルネも部屋を後にした…。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ