未知のダンジョン
俺…麻生 アルトがラインバルクに転移してから一週間が経った…。
冒険者になってから、レベル上げやクエストなどを行っている。
あの後、俺自体は新たな技能を覚えてはいないが、メリルは《ウインドカッター》と《スプラッシュ》を覚えた。後、俺もメリルもレベルは16にまで上がった。
後、あの時セイラ・グルント達を倒したが、経験値は入らなかった。どうやら、討伐対象だとしても人間相手では経験値は得られない様だ。
そして、今も討伐クエスト途中でフィーリン森林とは違う、カインの森でトリケラトプスのモンスター…《トリケラタックル》と戦っている。
身体を覆う皮が硬く、攻撃が通りにくいが、突進しか攻撃方法がない為、攻撃するタイミングは幾らでもある。
「《ウインドカッター》!」
メリルの発動した風の刃が《トリケラタックル》を襲うが、分厚い皮に阻まれ、全くダメージを与えられずにいた。
「《ウインドカッター》じゃ、無理だ! メリル、《スプラッシュ》や《ファイアボール》で足止めを頼む!」
「わかりました!」
この世界で魔法技能の使う時の演唱はいらない。
俺の指示にメリルは頷き、《ファイアボール》や《スプラッシュ》で《トリケラタックル》を攻撃していく。
だが、一向にダメージが与えられる様子はない。このままじゃ、いつまで経っても倒せない…。
《トリケラタックル》の武器はその突進力とあの三本の角…。
角…? そうか!
敵の盾は…敵の矛で貫く!
「メリル、三本のどれでもいい! トリケラタックルの角を狙ってくれ!」
俺の言葉に頷いたメリルは《ウインドカッター》で《トリケラタックル》の角にダメージを与えていく。
俺も《トリケラタックル》の攻撃を避け、メタルソードで角に攻撃を与えていく。
「これで…!」
メリルは《ファイアボール》で角にダメージを与えると、角にヒビが入った。
「アルトさん!」
「この機会…逃しはしない!」
《トリケラタックル》の攻撃を避けた俺はヒビの入った角目掛けて、《パワーキック》を浴びせた。
角は真っ二つに折れ、その折れた角の先端を掴み、《トリケラタックル》の頭を土台にして大きく跳躍し、奴の背中に向けて急降下する。
「自分自身の角の威力…味わいやがれ!」
勢いよく、角の先端を《トリケラタックル》の背中に突き刺した。奴は悲鳴を上げ、地に伏せる。
「やりました!」
いや、それ言うなって…!
メリルの言葉がフラグになったのか、《トリケラタックル》はゆっくりと立ち上がろうとする。
「ったく…! 大人しく沈んどけっての!」
勢いに合わせた俺は《トリケラタックル》に突き刺さっている角にパワーパンチを浴びせた。
その衝撃に角はさらに《トリケラタックル》の身体の中まで突き刺さり、今度こそ《トリケラタックル》は絶命して、地面に倒れた。
それからして《トリケラタックル》は消滅する。
経験値を貰った俺達はレベルは上がらなかったが、クエストをクリアした。
「討伐、完了!」
小さくガッツポーズをした俺の下にメリルが駆け寄ってくる。
「お疲れ様でした、アルトさん!」
「おう! 援護ありがとな、メリル!」
ハイタッチをした後、俺達はイズルリの街へ戻る事にした。
だが、茂みに何かあると思い、覗き込むと目の前にはダンジョンの入口の様なモノが見える。
「ダンジョンの…入口のようですね」
「ここからイズルリの街はそこまで離れていないはずだ。だが、マップにはこんなダンジョン載っていないぞ」
マップを取り出して、広げて、目の前のダンジョンの入口を確認するが、目の前のダンジョンの入口は記載されていなかった。
「と言う事は私達は第一発見者という事ですよね! まだ見ぬ、宝箱とかあるかも知れません! 入りましょう!」
この世界に来てから一つ分かった事がある。
…メリルが意外と宝石などに目がない事だ。
「今、何か失礼な事を口走ったりしませんでしたか?」
「…そんな事はない」
誤魔化す様に顔をフイ、と背ける。
「まあ、危険と分かったら戻ればいいだけの話だしな。入ってみるか」
俺の言葉にメリルは笑顔で頷き、俺達はダンジョンの中へと入った…。
このダンジョンで俺の運命が大きく変わる事も知らずに…。




