強敵との戦い
メリルとマギウス、ルルは城下町の住民達を避難させていた…。
「皆さん、慌てずに逃げてください!」
「オラァよ!」
住民達を襲おうとしていた奴等をマギウスは殴り飛ばした。
「…ふう、馬鹿の一つ覚えに罪の無い奴等を襲うとは…馬鹿もここまで来ると呆れモノだな」
一先ず周りの敵を倒せたマギウスは息を吐く。
「メリル! 避難の方はどうだ?」
「ルルさんが担当している所が最後ですよ」
「そうか。それなら俺はアルト達の下へ…ッ⁉︎」
避難がもう終わると知り、マギウスも城へ向かおうとしたその時、とてつもない雷撃が彼を襲った。
その雷撃の色は赤…。
雷撃を受けたマギウスは大きく吹き飛んでしまった…。
「マギウスさん⁉︎」
吹き飛ばされたマギウスを心配し、彼を追おうとしたメリルにも技能が放たれるが、彼女は《バリア》で防ぐ。
「…どうやら奇襲耐性は付いたみたいね」
《バリア》を解除したメリルは技能を放った者を睨み付けた。
「アナトス…!」
夕暮 キリヤのパートナーであり、同じ女神でもあるアナトスがその場にいた。先程の技能を放ったのは彼女で未だ右手をメリルに向け、睨み付けている。
「何のつもりですか、アナトス⁉︎」
「何のつもりもないわ…。貴女を殺す…私の目的はそれだけよ」
「なっ…⁉︎ 今の状況をわかっているのですか⁉︎ このままではこの国はガランのモノとなってしまうのですよ⁉︎」
「この国がどうなろうと知った事ではないわ」
今のアナトスの発言を聞き、ギリ、とメリルは歯を食いしばった。
「それ…本気で言っているのですか…?」
拳を震えさせ、メリルはアナトスを睨みつける。
「…この国の人達は必死に生きています…。それを蔑ろにし、自らの目的を優先させる貴女を…女神と認めるワケにはいきません!」
「大きな口を叩くのは…私に勝ってからにしなさい!」
メリルとアナトスは互いに《ファイアボール》を放ち、激突する。威力は互角だったのか、メリルとアナトスの間で爆発する。
爆発によって生み出された爆煙が晴れると二人は未だ向かい合っていた。
「メリルさん…頑張って…!」
避難を完了させたルルがメリルを応援する…。
雷撃を受け、吹き飛ばされたマギウスは頭を抑えつつ、立ち上がる。
「い、今のは何だったんだ…?」
彼が立ち上がったと同時に近くで爆発が起こった。
「アレはメリルの《ファイアボール》…⁉︎ 何かあったのか⁉︎」
様子を見に行く為に走り出そうとしたマギウスの前にロープを深々と被った者が現れた。
「仲間の下へ行く前に俺と戦ってもらおうか」
「誰だ⁉︎」
「誰、か…。久々の再会だと言うのに悲しいな、マギウス」
ローブの者の手から赤雷がバチバチ、と溢れ出された。
「赤雷…だと…⁉︎ まさか、そんな事は…⁉︎」
見せる様に溢れ出された赤雷を見て、マギウスは目を見開く。現在に起こっている状況を信じられずにいた。
「まず声で悟れ…。だから、頭の方は悪いんだよ」
呆れた様に溜息を吐きながら、ローブの者はローブを脱ぐと銀髪の長髪にマギウスより少し長い二本のツノが頭についた鬼の男が見えた。
「そんな…そんな事って…アンタは死んだはずだ…。それなのに、どうしてアンタが此処にいるんだよ、アルドシュ師匠⁉︎」
かつて人間に殺されたはずの師匠…アルドシュが目の前にいる…。この事実に彼は大いに驚愕していた。
「俺が死んだと本気で思っているのだったら、お前もまだまだだな」
「答えろよ! どうして生きているんだよ⁉︎」
アルドシュが生きている事に激しく困惑しているマギウス…。そんな彼にアルドシュは答えた。
「確かに俺は人間に殺されかけた…。だが、一命を取り止め、今はある組織に所属しているんだ」
「ある組織…?」
「まあ、今はガランの手伝いをしているとだけ言っておいてやるか」
「何だと…⁉︎ 奴がどう言う奴なのかはアンタもわかってんだろ⁉︎」
まさか、アルドシュがガラン達に手を貸してるとは知らず、マギウスは更に驚いた。
「だからなんだよ? お前に俺の生き方を非難する資格はねえよ。…俺を越える事も出来なかったお前がな」
確かにマギウスはアルドシュに勝てた事など一度もなかった…。だが、それでも…。
「…ふざけるな」
「…?」
「確かに俺はアンタよりも弱い…。今まで勝てた事もねえよ…。だがな…多くの罪の無い奴等が困ってんのにそれを見逃す理由にはなってない」
今までずっと慕っていたアルドシュが外道へ堕ちようとしている…それだけで許せなく、マギウスは怒りを露わにする。
「アンタが…進む道を間違えているなら、俺が元の道へ戻してやる! 資格なんて関係ねえ! アンタの弟子として…アンタを慕う男として…アンタを止めてやるよ!」
迷いなきマギウスの言葉にアルドシュは目を見開き、一瞬クスリ、と笑うが、すぐに息を吐く。
「随分とデカい口を叩ける様になったじゃねえか、マギウス…。その覚悟、崩される覚悟はできてんだろうな?」
「アンタこそ…いつまでも昔の俺だと思うなよ!」
お互いに赤雷を腕に纏わせ拳をぶつけ合った…。
最悪の形で再会したエルスカーネとケイルもそうだが、マギウスとアルドシュも最悪の再会をしてしまった。
師匠と弟子…今も尚その関係は崩れてはいないが、国を守る為、そして師匠を越えるためにマギウスはその拳を振るう事を決めたのだった…。
城の中に入った俺、アイリ、リフィルの三人はガランやオルレスト様がいるであろう王座の間へ向かっていた…。
挑んでくるガランの手下を捻じ伏せる。
「早くしなければお父様が…!」
焦るアイリを落ち着かせ、見えてきた王座の間の扉に急ぐが…。その扉への道を遮る様にキリヤが現れた。
「おっと…通行証無しに此処を通ろうとしているのか?」
二丁銃の一つの銃口を俺達に向けるキリヤ。銃口を向けられ、俺達は足を止めた。
「キリヤ…! お前、ガランの仲間になったのかよ⁉︎」
「勘違いするんじゃねえ、誰があんな野郎の仲間になるかよ。俺はお前を倒すって言っているだろうがよ!」
チッ…こんな時でも目的優先かよ…!
「だが、そこの女共は邪魔だ。この先にガランと国王がいる…行くならとっとと行った方がいいぜ?」
キリヤ、お前…。
「…アイリ、リフィル…。お前達は先に行ってくれ」
「アルト…」
「わかったわ…!」
俺にこの場を託し、アイリとリフィルの二人は王座の間へ急いだ…。
彼女達を見送った俺達は武器を向け合う。
「さあ、早く倒さねえとこの国が滅びちまうぞ?」
「だから…すぐに終わらせてやるよ!」
俺は勢い良く走り出した…。
それぞれの場所で繰り広げられた戦い…どれも因縁のある戦いであり、過去へのけじめ、ケリをつける為の戦いを俺達、可能の星は開始した…。




