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ジョブ無し転移者の技能複写  作者: カイト・レイン
第七章 コルドブーム編
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作戦開始


「国王に…オルレスト・ブーム様に会う…。俺がワザと騎士達に捕らえられてな」


 その提案にメリル達やアルシエルさんは驚愕し、反対の声が上がった。


「だ、ダメですよ。アルトさん!」


「捕らえられてって…何言ってんだよ、お前は⁉︎」


「そうです! 今捕まっては何をされるか、わからないんですよ!」


「きっと無事では済まない」


「アルト様の身にもしもの事があれば私は…!」


「嬢ちゃん達の言う通りだぜ、坊主。そりゃもう最終手段の方法だ」


 メリル、マギウス、ルル、アイム、エルスカーネ、アルシェルさんの順でその作戦に反対し、俺を説得し始めるが、俺は聞き入れるつもりはなく、首を横に振った。


「危険なのは重々承知の上だ。…だが、こちらからも危険な橋を渡らねえと結局は信頼を勝ち取る事なんて、出来ない。…今の俺達の立場は最悪だからな…」


「それはそうですけど…」


 未だ納得がいかない顔をするメリル達…。すると、エルスカーネがある事を思いついた様に口を開く。


「では、私のアルト様の二人が拘束されると言うのはどうでしょうか?」


 …気持ちは嬉しいがそれは却下だな。


「それは却下だ。エルスカーネ」


「ど、どうして⁉︎」


 反対され、どうしてなのかと尋ねるエルスカーネだが、俺の反対の言葉にメリル達も便乗してきた。


「俺もそれはダメだと思うぞ」


「…今回の事件の原因はエルスカーネになってる。貴女が捕まったら、すぐにでも殺されるかも知れない」


「立場上、お前さんが一番危ういんだからな」


 全員から反対され、エルスカーネはしょんぼり、とする。

 だが、ここままではいつまで経ってもラチが開かないと俺は息を吐く。


「それで…俺はもう作戦に移りたいんだが…」


「だ、だから、ダメですよ!」


「もう少し別の方法を考えましょう!」


「きっと何か突破口が…!」


 メリル、ルル、エルスカーネは未だ反対の意志を示して来るが、突然マギウスとアイムは黙り込んでしまう。


「じゃあ、その突破口ってのは何なんだよ?」


「そ、それは…」


 逆に尋ねられ、言葉を詰まらせてしまうメリル達三人…。そして、マギウスとアイムが口を開いた。


「…仕方ねえ…。それしかないな」


「マギウスさん⁉︎」


「もう、突破口が見つからない…」


「アイム様⁉︎」


 二人は渋々、俺の作戦に了承してきた。勿論、納得がいかない顔を少ししているが…。


「このままじゃあ、捕まるのも時間の問題だしな…。だが、アルト。無茶だけはすんじゃねえぞ?」


「…わかってる」


 マギウスと拳をぶつけ合った俺を見て、反対していたメリル達三人も納得せざるを得なかった。

 その光景を見ていたアルシエルさんも息を吐きながら、ガシガシと頭を掻く。


「全く…えらい事を考えるな、坊主は…。何か必要なモノはあるか?」


 作戦に必要なモノか…。それなら遠慮なく、頂こう。


「じゃあ…」


 俺はアルシエルさんから煙幕、スタングレネード、麻酔弾、閃光弾を複数貰った。

 ちなみにブレッターに違う弾丸を入れるとそのデータが更新され、その弾も無数に射てる様になり、弾丸を切り替える事が出来る様になる様だ。


「そんだけの準備…捕まったら没収されちまうんじゃねえか?」


 まあ、実際はそうなんだが…。


「ただ捕まるのではなく、少し抵抗はさせてもらいますよ。…わざと捕まろうとしているのをバレない様に」


「そうか…。頑張れよ、坊主」


 応援の言葉をかけてくれたアルシエルさんに俺は笑顔で頷いた。すると、メリルが心配そうな表情で俺を見上げてきた。


「アルトさん…」


「心配するな、メリル。必ず生きて帰って来るからよ」


「はい…」


 彼女の頭を撫でると彼女は少しだけ安心した表情を浮かべた。


「信じています。私はアルトさんのパートナーですから」


 信じていると笑みを浮かべる彼女に俺も笑いかける。


「お前等、イチャイチャするなら、外でやってくれ」


 ゲンナリ、した様に息を吐くアルシエルさん。


 彼の言葉にメリルは顔を真っ赤にして、違います!、と叫んだ…。







 その後、俺は装備屋を後にして、草原へ出た…。

 既に草原には複数の騎士達の姿があった。


「…さて、始めますか!」


 俺達の捜索を続けていた騎士達の前に俺は姿を現すと、彼等は釘付くように俺を見や否、剣を抜刀する。


「犯罪者のリーダーを見つけたぞ!」


「捕えろ!」


 案の定、一斉に襲いかかって来た…だが、それこそ好都合!


 ブレッターの銃弾を麻酔弾に変え、襲いかかって来る騎士達に向かって、発砲していく。

 弾は彼等に直撃していき、彼等は麻酔が効き、眠り始めた。


「お、おのれ!」


「まだまだ、ほらよ!」


 今度はスタングレネードのピンを抜き、一か所に固まっていた騎士達に向けて、投げた。スタングレネードは起爆し、それを受けた騎士達は麻痺状態になった。


 たった一人に複数の騎士達は敵わず、彼等に焦りが見えて来た。


「な、何なんだアイツは⁉︎」


「怯むな! 必ず勝機は…」


 必ず勝機はある…と叫ぼうとしていた騎士隊長の懐に潜り込み、俺は銃弾を発砲した…。

 麻酔弾を受けた騎士隊長も眠りに着いてしまった…。


「さて、そろそろ…!」


 もう少し時間を稼ごうと俺は煙幕を取り出し、その場に投げつけた。

 立ち込める煙の所為で騎士達の視界は奪われる。


 この隙に遠くへ…!


「読みが甘いな、犯罪者!」


「ッ…⁉︎」


 この場から離れようとした俺の背後に人の気配を感じ、エンゼッターを抜き、相手の攻撃を防いだ。

 煙が晴れるとそこには鎌…サイズを構えた騎士の男がいた。


「悪いが、お前を逃すワケにはいかない」


 ピンクの髪に黄色の瞳が俺を睨みつけ、男はサイズを握り締める。


「…お前は?」


「自分はオルコット・ブルース…。コルドブームの騎士大隊長の一人だ」


 見た目は二十歳程度なのにその歳で騎士大隊長かよ…。


「麻生 アルト…お前を拘束する」


「簡単に捕まってやるほど、俺は優しくねえぞ?」


「ならば、その余裕を駆逐する!」


 こうして、俺とブルースの戦いが始まった。


 大振りで避けやすい筈のサイズを難なく振るうブルース…。

 俺もエンゼッターで攻撃を防ぎ、カウンターによる一撃を与えようとするが、防がれてしまう。


「…そう、簡単には破れないか…」


「…答えろ。何故、化け猫を操り、多くの人を殺した?」


 確かに今の状況では俺がエルスカーネを操って多くの生命を奪った大量殺人者なのだろう…。


「悪いが、その質問には答える事は出来ない。目の前に起こっている事だけが真実じゃないからな」


「何…?」


 正義を貫こうとしている彼ならば、この事件の思惑に気づく事が出来るかも知れないと俺はその言葉を残すと、彼は眉を動かす。


「どう言う事だ…?」


「ブルース…この一件に真犯人がいたとすれば、どうする?」


「…」


 ブルースは黙り込み、考え始めた。…だが、すぐに口を開く。


「真犯人がいたとしてもお前が我々の同行を拒否し、手を挙げているのは事実だ」


「…まあ、そうだな」


「…だから、自分はお前を拘束する。…お前のその真の犯人がいるのかどうかを確認するために」


 …へえ…。やっぱり、彼なら信頼出来る。


「力尽くで来るなら、俺だって抵抗するしかない…来い、ブルース!」


 俺達は再び、駆け出し武器をぶつけ合った。彼に麻酔弾なんて意味はない…。


 頼りになるのは自分の腕だけだ!


「遅い!」


 何度も武器をぶつけ合っていた俺達だが、彼の力に押し負け、エンゼッターを弾かれ、地面に落とされてしまった。


「ッ…!」


 更にサイズの先端を首下に突きつけられる。


「…勝負は着いた。大人しく投降しろ」


 流石に、此処まで…か。

 俺は両手を上に上げ…投降の意志を示そうとしたが…。


「…まだ切り札はあるぜ?」


「何っ⁉︎」


 閃光弾を取り出し、その場に投げつけると閃光弾から凄まじい光が放たれ、ブルースと騎士達の視界を奪った…。


 よし、この隙に…!


「逃さないと言ったはずだ!」


 何だと…⁉︎


 視界が奪われたと思っていたブルースのサイズが俺に向かって跳んできた。


「ウオアッ⁉︎」


 サイズによる一撃を受けた俺は吹き飛び、その場に倒れてしまった…。

 すぐに立ち上がろうとしたが、複数の騎士達に取り押さえられてしまう。


「ぐっ…⁉︎」


 苦痛の声を上げる俺の下へブルースが歩み寄って来た。


「…麻生 アルト…お前は一体…?」


 彼のその質問に俺は答える前に意識を手放してしまった…。

 此処までは計画通り、だな…。

 

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