馬がデビューしてからの流れ/競馬の流れ
競馬は一年中やってるんだけど、区切りの季節はそれぞれある。
一例としては、3~6月の春開催、9~12月の秋開催みたいなのだ。
競馬は毎年新しい世代が誕生して、続々と参戦してくるよ。
だから競馬を見るときは『世代ごと』に区切ってみていくと凄く楽しめる。
世代ごとに区切ると言ったのは、競馬には年齢限定戦、つまり世代戦のレースがあるからだよ。
2歳の時には2歳限定、年が明けて3歳になったら3歳限定戦で同い年同士の馬が戦うよ。
後の勢力を占う『二歳戦』、大本番たる『クラシック戦』という奴で、競馬ファンは毎年訪れるこれらのシーズンを楽しみにしているよ。
今2歳戦線が佳境に入りつつあるところで、2歳の本番は12月にあるから見始めるにはいいタイミングだよ。
デビューした馬が物凄く上手くいった場合のスケジュール
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2歳
①6月頃、新馬戦でデビュー。見事勝利!
②8~10月ごろ、二歳オープン戦を勝つ。
③12月、二歳世代戦のGⅠを勝ち、世代の暫定王者になる。
3歳
4月中旬にあるクラシックタイトル第一戦を目指して動く。
④明け1月~2月 おやすみ
⑤3月、年明け初戦のトライアルレースに出てレース勘を取り戻す。(負けてもいい)
⑥4月、クラシック第一戦。牡馬なら皐月賞、牝馬なら桜花賞に出走し、勝つ!
⑦5月。前走から約1ヶ月、大本番たるクラシック第二戦、ダービーorオークスに出走見事勝利し世代の頂点に立つ!
⑧6月~8月、故郷の牧場でおやすみ
⑨9月、クラシック第三戦のトライアルレースで勘を取り戻す(負けてもいい)
⑩10月、クラシック第三戦、菊花賞or秋華賞に出走、見事勝利! 三冠馬になる!
これにて世代戦は終わり、以降は年齢制限なしの無差別級に飛び込んでいく。
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①
二歳(人間と同じで数え年、誕生日ではなく1月を区切りに増える)になった馬はデビューをめざして西か東のトレーングセンター略称トレセンにはいる。
そして新馬戦(まだレースに出たことがない馬だけのレース)をめざして訓練を積む。
新馬戦の始まりはだいたい6月から
ここでの戦績でその後の競争生活がある程度決まるよ
勝った場合は次はステップアップしたレースに、負けた場合は未勝利戦で勝ちあがる事を目標に予定を組んでいくよ。
後の名馬と呼ばれる馬であっても新馬戦は負けていたりするから、この時期の勝ち負けは後の評価と一致しない事が多い。理由はいろいろあるんだけど今は省略。
②
JRAのレースプログラムだとこの辺りから2歳オープン戦が増えてくる。
デビュー戦をこなした馬が出揃ってくるだろうという時期っていう判断なんだろうね。
ここまでの時期は1回勝てばオープンクラスなんだけど、
決まった時期からオープンで勝っていない馬は1勝クラスに降格される。
ここらのオープン戦で勝てなかった馬は来春に向けて自己条件で戦っていく事になる。
逆にここで勝った場合は2歳王者決定戦へ駒を進められると考えて良い。
③
ここで一つの山場を迎える。
勝ち抜けた馬同士がGⅠで激突するよ。
牡馬の場合は朝日杯フューチュリティステークス
牝馬の場合は阪神ジュベナイルフィリーズ
近年始まった二歳GⅠにホープフルステークスというのがあるけれど、
これは上二つより距離の長いレースになっている。
翌年以降のクラシックタイトルをより強く意識したレースという思惑で創立された名前が変わったのも割と最近なレースなんだけど、何故か勝ち馬が上手く行かない事が多いからホープレスとかいじられることもある。
去年の勝ち馬は相変わらず活躍しているのでホープフル☆
④
世代戦GⅠを戦った組みはこの時期休養に入るよ。
馬は草食動物なので、人間以上に疲労回復させるのが大変といわれている。
だから一度リフレッシュさせるんだね。
逆に2歳世代戦に参加せず、初めから3歳クラシック戦線を目標にしていた馬達はここらへんから始動するよ。
かの有名な三冠馬、ディープインパクトもデビューは12月とかなり遅めだった。
反対に一番最近出た三冠馬、オルフェーヴルはこの時期なんとか勝ちあがろうとレースに出走を続けてもがいていた。
クラシック前哨戦の時期で、クラシック好きの競馬ファンは毎週あの馬が今年はクラシックにかつ、いやこの馬が勝つ、だのなんだのと喧嘩するよ!
⑤
いよいよ直接的にクラシック競走への切符が手に入るトライアル競走の時期。
トライアルレースっていうのは、上位入賞すれば本番のレースへの出場資格が手に入るレースのこと。
クラシック本番はこの優先出走権がない場合、獲得賞金順に出走枠が割りふられるため、条件戦を勝ち上がっただけの馬は本番で出走除外(要するに本番のレースに出られない)となる可能性が高い。
出走を確実なものとするにはこのトライアルレースを使うのが一番というわけだ。
レースへの挑み方も先に述べた獲得賞金が微妙な条件戦上がりの馬が確実にするものだったり、実力に自信のある馬が勝つことを前提とした最短ルートとして出走する場合もある。
ディープインパクトは後者、オルフェーヴルは前者だった。
特にオルフェーヴルはかなりギリギリまで粘って本番へのチケットを手に入れた。
つまりそういう馬だからといって負け組って訳じゃないということだ!
⑥
4月中旬。
クラシック第一戦が開幕する。
それぞれ開催順に、
牡馬の三冠タイトルは皐月賞、ダービー、菊花賞
牝馬は桜花賞、オークス、秋華賞だ。
これらのレースを指してクラシック戦と呼んで、勝った数の○冠馬なんて呼ばれる事が多い。
出走資格は3歳だから一生に一度しか出れない。ここが古馬GⅠ(後述)との大きな違いだね。
他のスポーツで例えると最終学年で出る高校選手権大会か箱根駅伝だよ。
だから関係者の気合の入り方が違うってわけよ! ガチ中のガチ。
そういう色んな情念渦巻く中、2分とちょっとで済んじゃう決着に競馬ファンは魅せられてるのだ!
最も権威があるのはダービー。賞金も高い。(1着賞金2億円)
馬産関係者は皆このダービーを目指して日々努力しているよ。
その最大の前哨戦となるのが第一戦目の皐月賞であり、牝馬の場合桜花賞だよ。
ほんとどうでもいい余談だけど俺は皐月賞を勝った馬をその後の競走生活中ずっと贔屓すると決めているよ!
⑦
5月の下旬。
大大大大大本番。
競馬関係者の一年はダービーで終わるなんて言うくらいなんだってさ。
競馬ファン的にもここで一息つく。
ダービーが終わるか終わらないかくらいの時期から2歳の新馬戦が始まっているので、
気の早い人はもう来年のダービー馬候補を探し始めている。
ダービーの一着は強いといわれていた馬が勝つ事が多くて余り荒れないんだけど、今年はまさかの結末だった。
⑧
大本番ダービーも終わり、クラシックを戦ってきた馬達は秋へ向けて休養の季節。
馬は暑いの苦手なので、夏本番が近づくと首都圏にある競馬場はお休みになる。
変わりに比較的涼しい北のほう、新潟、福島、函館、札幌の開催が始まる。
各々の事情でダービーに出走が適わなかった馬たちは、この夏の開催を使って秋競馬を目指していくことも多い。
夏の間に勝ち上がってきた馬の事を「あがり馬」なんて呼んだりするよ。
⑨
9月中旬。
夏が終わり段々涼しくなっていく季節に三冠レース最後の一冠、菊花賞もしくは秋華賞のトライアルレースがはじまるよ。
休んでいた馬は出生資格が十分な場合でも調整のためにレースを一戦走る事が多い。
⑩
10月中旬
最後の戦いが始まる!
牡馬の菊花賞は3000m(ダービーは2400m)と長距離で、長い距離を苦手とする馬は短距離路線へ向かうことも多いよ。
この辺の判断はダービーまででだいたい済まされる。
逆に苦手なのは分かっているんだけど、それでも三冠レースは出すって調教師もいる。すき。
牝馬の秋華賞の場合は2000mで、オークスの2400mより短くなっているよ。
だから体調以外の理由で回避する理由がないので、例年オークスに出走した馬はそのまま出走しにくるよ。そういう理由で牡馬よりメンバーが変わらないから牝馬三冠の方が好きって人もいるにはいる。
前二冠を制した馬がいる場合、三冠がかかってるから競馬場が凄い雰囲気になるよ。
去年はアーモンドアイっていう馬が牝馬三冠を達成して、その上古馬混合GⅠ(要するに無差別級)も勝って男女合わせて世代最強馬と呼ばれるようになったよ。
これ以降世代戦はなくなり、上の世代との混合競走に戦いの場所を移す事になる。
一般的に『古馬』という単語は4歳以上の馬のことを指すけど、年齢制限が取り払われた
時期の馬って意味ではこの頃から古馬と呼べなくも無い。
上の世代も勿論同じように世代戦を戦ってきた訳で、当然その中に王者がいるわけですよ。
その馬と下の世代の王者の戦いとか、見たくなりませんか!?
そりゃもう激熱なわけですよ。
前年度覇者と今年度覇者、どっちが強いのか。分かりやすく順位に出てくれるんですね。
新馬からここまでずっと見守っていた馬ってのは最早我が子も同然に思えてくるわけでして。
そういうのを見て喜んでいる大人達が競馬ファンという人たちです。
競馬場でワーワー喚いているのはお金がかかっているからってだけじゃあないんです。
そんな人たちの気持ち、少しはお伝えできたでしょうか!
あなたも我が子の成長を見守るように
お馬さんに纏わる筋書きの無いドラマを見守ってみませんか!
次回は近代競馬に繋がる、覚えておくと競馬がもっと楽しくなるお馬さんたちの紹介。
一瞬こういうののせてていいのかなと思いかけたけど、設定資料とかで立ち上げてる奴とかあるしにたようなもんでしょ(適当)