番外編をお読みになる前に
番外編は本編のネタバレの宝庫となっております。
先に本編をお読みになった方が、ミステリを楽しむ上では無難かと思いますが、そんなの面倒だ! と思われる方のために本編の概要と、登場人物を紹介致します。
本編『余罪のタイムライン PM2:22の事件簿』は、こちらのURLで
https://ncode.syosetu.com/n1593fn/
【登場人物紹介】
*注:『余罪のタイムライン PM2:22の事件簿』当時のプロフィールです
● 闇雲つばさ(13歳)
T大芸術学部 音楽学科研究生
IQ160の天才児
人を食ったような性格、姉のくるみのことが大好き
● 闇雲くるみ(14歳)
T大付属中学 2年生。
つばさの姉 義兄の迅に憧れている
● 桐沢迅(21歳)
T大医学部の2回生 精神科医を志している。つばさとくるみの義兄
大学にはめったに行かず、エベレスト最難関、冬季南西壁登頂をめざしている
つばさが付けたあだ名は、スナフキン。優秀だが世間になじめず、暗い影を持つ。
● 坂下由貴(20歳)
T大 薬学部 3回生 迅の知人
万引依存症に苦しんでいる。もともとは清楚で真面目。
迅に好意を持っている。
● 山根昭(22歳)
T大芸術学部 音楽学科4回生 迅の高校時代の同級生
つばさと並んでのバイオリン学科のホープ つばさの技量に惚れこみながらも、
彼に嫉妬してしまう自分を責めている。
● 藤野香織(22歳)
T大芸術学部 音楽学科4回生
昭とつばさに次ぐ、バイオリン学科の優等生。昭に好意を抱いている
● 岬良介(21歳)
T大近くの回転寿司屋の寿司職人 迅と昭の高校時代の同級生
T大に進学を希望していたが、家業の都合で進学を断念し、寿司職人になった。
迅と昭に嫉妬心を持っている。
【あらすじ(ネタバレあり)】
精神科医を志望し、T大医学部に在籍していた桐沢 迅は、ひょんな事から”万引依存症”に苦しんでいた薬学部の坂下 由貴に関わることになる。それと並行して、芸術学部 バイオリン学科の ― 山根 昭 ― が、大学近くの回転寿司屋で食べた寿司に毒物のアジ化ナトリウムを混入される事件が起こる。
親友の昭を傷つけた犯人を、際立った推理力で突き止めようとする迅だったが、それとは別に、昭が、別の事件 ― 誰かが義弟のつばさを大学の研究室の窓から下へ突き落した ― の加害者なのではないかという疑惑が、脳裏に浮かび上がる。
義妹弟と友人たち、そのすべてが事件の容疑者だった。
だが、迅の義弟で13歳で、バイオリニストとしての腕を見込まれ、超とび級で大学生になった天才児― つばさ ― は、義兄にも秘密があることを知る。
毒物混入事件の犯人を自首に追いやった義兄の冷淡な手法に、つばさは腹を立てる。
”今度は僕が暴いてやる。迅兄さんが僕らに隠している秘密の全てを!”
そして、つばさの推理によって詳らかにされる迅の経歴。
迅は小学生の時に自衛隊機にスクランブル攻撃の偽指令を発動させるなどの、補導歴を持ち、特別な児童支援施設に5年間も拘束されていたハッカー少年だったのだ。
ただ、時折、義兄が見せる暗い影。それに囚われ続ける姿に我慢ならなくなり、つばさの追求は、より深刻な迅の心の問題にまで切り込んでゆく。
「確かに僕のやったことは、余計なことだったかもしれないけれど、それは、世間に背を向けてエベレスト登頂に逃げようとしている迅兄さんには、必要なことだったんだ」
つばさの行動に迅は憤ってその場を去るが、彼の後を追ってきた、くるみからの言葉に後味の悪さを覚えるのだった。




