第1話
初めまして、ましゅまろほいっぷと申します。小説を書くのは本作品が初めてとなっておりますので至らないところが多いかもしれませんが読んでいただけると嬉しいです。更新は不定期になると思いますが最低2日に1話は更新するつもりです。
6時間目の終了を告げるチャイムが鳴り、教室の空気が緩くなった瞬間に席を立ち真っ先に帰路に着く。大薙優河にとってそれは入学2週間足らずで習慣となった行動である。普通なら誰か1人でも声をかけるのだろうがそのようなものは誰もいない。そのことからも彼のクラスでの印象が窺える。
大薙優河は県立雲ヶ丘高校に通う高校1年生である。雲ヶ丘高校は田園地帯が広がる田舎に位置する高校で、最寄り駅からの徒歩15分程度の道にはコンビニが1軒のみしかない。ちなみに彼は自転車通学である。
「あぁ今日もダルかったな」自転車に乗って開口一番に言うことではないなと自分でも思いながら自転車を漕ぎ始める。自転車を漕ぐ間に喋る相手のひとりでも欲しくなってくるのも毎日の事。
「自分で選んだことでもしんどいよな」と思いながら自転車を漕ぐこと30分。ここに俺が誰にも話してない秘密がある。高校生活を根暗で陰気なキャラで通している理由でもあるな。
「あっ!おかえり、優河兄ちゃん!」
「ただいま。拓斗」
「おう帰ったか優河」
「ただいま小柳せんせー」
「優河ァァァツ!今日こそサッカー勝たせろ!」
「帰って早々うるせぇな蒼太は。後で相手してやるから待ってろ」
そう、俺は養護施設で暮らしているのだ。
中学3年生の3月。肉親とのトラブルで俺はこの桜川学園に入所した。入所した時は当時の友達との別れや環境の変化で戸惑っていたが持ち前のコミュ力のおかげで1週間程度でここの奴らとは大体打ち解けた。通っていた中学は一応卒業した後だったので特にその点でのトラブルは無かった。
決まっていた進路は急遽変更となって今の雲ヶ丘高校になったのだが地元と離れているため幸か不幸か知り合いなどは一人もいない。桜川学園は高校のある地域のさらに奥に進んだ所にある。近くにあるものと言えば地方のスーパーとコンビニが1軒だけだ。ショッピング等をしようと思ったら自転車で40分程度の駅から3駅のところまで行かなければいけない。この周辺の第一印象は「近年稀に見る過疎地域じゃねえか」だったからな。
俺が元々住んでいたところは結構な都会であったせいかとんでもなく不便に感じる。そこは我慢するしかないのだけどな。
最初に喋りかけてきたのは花田拓斗。今は小学3年生だ。可愛い弟みたいな奴だな。
次の人は小柳風太先生。学園の職員で今年で勤務2年目になる。割と歳が近いせいもあってフレンドリーに接してくれる。
最後の奴は鵜飼蒼太。今年で中学2年生のヤンチャな奴だな。ことある事に絡んでくる。一緒にいると退屈しないな
他にもまだいるのだが会ってからでいいだろう。
これは少年と養護施設の仲間が送る日常の物語。