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【完結】錬金術師と幼な妻~俺に嫁が出来ました~  作者: 瞳夢
最終部 スーザックの錬金術師
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第69話「師弟コンビと親友コンビ」

       第69話「師弟コンビと親友コンビ」


「しっ師匠⁉」


「アーリ⁉」


 突然の二人の登場に俺とルルネの二人は大いに驚いてしまう。


 だって、本当に目の前に立っているにはまさかの人物であったからだ。


 俺とルルネが困惑で固まっていると、師匠が状況を説明してくれる。


「王女様からの直々の呼び出しじゃよ。バカ弟子が何かどでかいことをしようとしているから、手伝ってほしいとな。ほらぼけっとしている暇はないぞ。不肖の弟子よ。時間はない、ささっと作業に取り掛かるぞ。ワシがどんどん錬金を進める。その間にお前はどんどん【新・万能霊薬(エリクサー)】の錬金を進めていくのじゃ」


 師匠はそれだけ言うと奥の作業場に向かってしまうので、俺は慌てて師匠の背中を追いかけていた。


「アーリ。まさか、あなたが来てくれるなんて思わなかったわ」


「親友が困っているんだもの。助けに来るのは当たり前でしょ」


 アーリはそう言って微笑むと、真っすぐにルルネの瞳を見た。


 ルルネとアーリの二人は、『ミアズマ』の一件を超えてから、犬猿の仲だった二人の関係は親友へと変化していた。


「ありがとう、アーリ。だけど、あの時とは今回は訳が違うわよ」


「分かっているわよ、そんなこと。舐めないでくれるかしら。あなたが成長しているように、私だって成長しているわ。あなたが【世界樹の雫(ユグドラシル)】を一人で作れるように、私だって一人で作れるようになったわ。だから、あんまり私を甘く見ないでくれる」


「甘くなんて見てないわ。むしろ、アーリからその言葉を聞けて安心したわ。それじゃあ、一緒に手伝ってくれる?」


「ええ、もちろんよ。そのためにここに来たんだから」


 二人は笑い合うとお互いで握手を交わしたのだった。


****************************


「とは言っても、俺が【新・万能霊薬】の錬金に集中しても、さすがに錬金するのに時間がかかりすぎると思うんですけど」


「そんなことは分かっておる。だからこそ、これを使うんじゃ」


 そう言って師匠が取り出したのは、師匠が専用で使っている錬金釜だった。


「それは師匠が使っている錬金釜! どうしてここに?」


 俺が驚いているのには理由があった。


 俺の師匠が使っている錬金釜は特殊で、この世界で一つしかないと言われていた。


 その理由が、この師匠が使っている錬金釜は師匠自身が考案して、師匠自らで作り出したものであった。それはつまり、この錬金釜は師匠にしか作り出せないことを意味していた。それに師匠が新たにその釜を作り出したという話は聞いたことがなかった。


 しかし、俺は次の師匠の言葉でさらに驚くこととなった。


「これはワシの錬金釜ではない。お前の錬金釜だ」


「えっ⁉ 俺の?」


 師匠のその言葉に、俺はさらに驚いてしまう。


「そうじゃ。今のお前ならこれを渡しても問題ないだろ」


 師匠が作り出した錬金釜は世間では、超高速錬金釜と呼ばれていた。


 この超高速錬金釜を使えば、かなりの時間を短縮することが出来る。なので、錬金術師にとっては夢のような道具だった。


 確か、この師匠が作り出した錬金釜って、特許を取っていて、結構頻繁にたくさんの錬金術師から、その錬金釜を作って欲しいという依頼が来ていたのだが、師匠はそのすべてを断っていると俺は聞いていた。なので、目の前にその釜があるという事実に、俺はものすごく驚いていたのだ。


「ほれ、バカ弟子。驚いて固まっている暇はないぞ。お前が【新・万能霊薬】を作り出さなければ、他の作業は滞る」


「それは分かってます」


 何と言っても【賢者の石】を作り出すためには、この【新・万能霊薬】が要となるのだ。なので、この【新・万能霊薬】が切れてしまえば、薬を作る作業は一切出来なくなってしまう。一秒も無駄に出来ないこの状況なので、俺が止まるわけにはいかなかった。


「取り合えず、薬を作り終えるぞ」


「はい!」


 やっぱり、この人は偉大な錬金術師なんだと、俺は改めて実感させられてしまう。普段は女好きで遊んでばかりの師匠ではあるが、ここぞという時には、俺なんかには到底及ばないようなすごいことをしてしまうのだ。


 俺は深呼吸を一つすると、薬作りを再開するのだった。


****************************


「とにかく、今はひたすら【世界樹の雫】を作り続けないといけないの。残り550個は作らないといけないのよ」


「相変わらず、えげつない量を作ろうとしているのね」


「今回はかなり被害者が出ちゃってるからね。麻薬の厄介な所よね。一度出回ってしまえば、その麻薬はものすごい勢いで広まってしまう。だからこそ、被害者も多くなってしまうのだけど」


「でも、そういう人たちを救うために、私たちがいることも事実でしょ」


 アーリのその言葉に、ルルネは「そうね」と頷くと、二人して【世界樹の雫】を作るために、次から次へと材料を調整(アジャスト)していく。


「まずいわね。このままだと【新・万能霊薬】が切れそうね」


 先ほどリアムには、【新・万能霊薬】がなくなりそうだと言うことは伝えておいたが、それから新たに補充はされていないため、このペースで行くと、あと30分もしないうちに、作業の手が止まってしまうだろう。


 ルルネが焦りを感じていると、ニアが部屋に駆け込んできた。


「ルルネさん、お兄ちゃんから預かってきましたよ!」


 ニアが持ってきてくれたのは大量の【新・万能霊薬】だった。


「えっ? これ全部【新・万能霊薬】なの?」


「はい、そうだと思いますよ。お兄ちゃんがそう言ってましたから」


「そうなの⁉」


 リアム、あいつは何をやったの⁉


 ルルネが驚いているのには理由があった。


 今、ニアが持ってきてくれた【新・万能霊薬】の量は、この短時間で作れないほどの量があったからだ。


「あ~、ルルネさんは知らないですよね。お兄ちゃんの師匠の事」


「えっと、ロゼルダさんだっけ?」


「はい。その人、錬金術師の間では有名で、その人が作り出した錬金釜を使うと、通常の何十倍の速度で錬成が終わるんです」


「へぇ~、そんなにすごい人だったんだ。化け物の師匠はやっぱり化け物ってことなのかしらね」


 ルルネは二人の化け物さ加減に頬を思わず引き攣らせてしまう。


「ええ、お兄ちゃんの師匠は普段はだらしないらしいんですけど、錬金術師としての顔を出すと、かなりすごいらしいんです。しかもお兄ちゃんを超えるぐらいに」


 ニアの説明にルルネもアーリも驚いてしまう。


 リアムは間違いなく、この国一の錬金術師となりつつあるだろう。それなのに、そのリアムよりも腕が立つとは、本当にロゼルダは大物であるのだ。


「まあ、何はともあれ、これで私たちも作業を続けられるわね。とにかく、急いで【世界樹の雫】を作らないとね」


「材料が足りなくなったら言ってください。ニアが持ってくるので」


「ええ、お願いねニアちゃん!」


 ルルネはニアに笑いかけると、自身も次から次へと【世界樹の雫】を調整していく。


「ニアちゃん、これをリアムに届けてくれる」


 ルルネがニアに出来上がった【世界樹の雫】が入ったフラスコを渡した。


「これだけあれば、しばらくは大丈夫だと思うわ」


「はい! わかりました。持ってきますね!」


 ニアは笑顔で答えると、受け取ったフラスコをかごに入れると、ルルネたちがいる部屋から飛び出していった。


 ルルネとアーリはそんなニアを見送りながら、調整を進めていく。


 途中、途中に休憩を挟みながら、調整を進めていく。


「アーリ、このペースで作り切るわよ!」


「ええ、任せなさい!」


****************************


「これで取り合えずは、足りる分ぐらいには薬は完成できたかな」


 室内には大量の【賢者の石】が出来上がっていた。


「トータルで20000個。これだけあれば、今麻薬を飲んでしまった人は救えるわね」


「ああ、後は加速的に麻薬を使った人間が増えなければいいんだけどな」


「みなさん、薬作り本当にお疲れ様です。ハーブティーを淹れたので飲んでください」


 俺はルナからハーブティーを受け取ると、それを飲んでやっと一息ついているところだった。


「リアム、ルルネ。そして、ロゼルダさん、アーリさん。本当に薬作りお疲れ様でした。ここからは私の仕事ですね」


「ああ、後はセシル頼むよ。俺たちはもうくたくただ」


「ええ、後はゆっくりと休んでください。本当にありがとうございます」


 セシルは侍女を呼ぶと次々に【賢者の石】を運ばせていく。ここからは出来上がった【賢者の石】を配り回らないといけない。


 だが、【賢者の石】が完成したことによりこの騒動は終息の一途をたどるだろう。


「何はともあれこれで一件落着か」


「いやいや、お兄ちゃん。まだ、お兄ちゃんが【麻薬】を作ったっていう疑いは晴れてないからね」


「あっ」


 完全に忘れてたな、そのこと。


 ニアのその言葉に、俺は苦笑を浮かべるのだった。

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2021年8月11日より新連載始めました。よろしくお願いいたします。 リンクスとステラの喫茶店~ステラと魔法の料理~
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