第68話「リアムたちの反撃」
大変お待たせいたしました。
本日からまた各週での投稿を再開していきたいと思っております。
未だにスランプ状態を脱せてはいないのですが、頑張って書いていけたらと思っております。
またよろしくお願いいたします。
第68話「リアムたちの反撃」
「お兄ちゃん! これはどうすればいい?」
「ああ、それはこっちに置いておいてくれ」
「リアム、あと【世界樹の雫】は何個ぐらい必要?」
「そうだな。被害人数は10000人はくだらないとセシルは言っていたからな。まだまだ足らないな。まだ600個は作ってもらうぞ」
「うわぁ、あんたえげつないわね」
俺の言葉にルルネは心底嫌そうな顔をしているが、その手は止まらずに【世界樹の雫】を作り続けている。
「ニア、追加の材料調達を頼んでもいいか?」
「うん! 任せてよお兄ちゃん!」
快く快諾してくれる妹に、俺は感謝しながら足りないものをリストアップした紙をニアに渡した。
「それじゃあよろしくな」
「うん、行ってくるね!」
ニアはそう言うと勢いよく工房を飛び出していった。
さてと、こっちももうちょっと速度を上げないとさすがに終わりそうにないか。
「リアム、ごめん。そろそろ【新・万能霊薬】のストックが切れそうだわ」
「まあ、そうなるよな。ちょっと待ってくれ。これが終わったらすぐに錬金するわ」
やっぱ【賢者の石】を作るうえでこれが一番のネックな部分だよな。
俺は問題点が分かっているのに、何も出来ない現状に思わず歯噛みしてしまう。
今回【賢者の石】を作るうえで問題となっているのは、素材が大量に必要なことだった。錬金や調整が大変な物から、とても珍しい素材など多岐にわたる。それに、一番消費が激しいのは何と言っても【新・万能霊薬】だった。
【賢者の石】を作り出すには、2種類の調合された液体AとBを作らないといけないのだが、そこでも【新・万能霊薬】を使い、さらには【世界樹の雫】を作るためにもこの【新・万能霊薬】は必要となってくるのだ。
圧倒的に【新・万能霊薬】が足りなさすぎる。それに結晶化だってしないといけないのにだ。
この薬を作るには人手が足りなさすぎるのだ。
どうする? とにかく今は【新・万能霊薬】を作るのが先決か。どのみち【世界樹の雫】がなければ、【賢者の石】を作ることは不可能なのだから。
俺はそう判断すると、すぐさま【新・万能霊薬】を作る作業に取り掛かった。
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それから何時間が経っただろうか?
時間の感覚が分からくなるぐらいに、俺とルルネは薬作りに没頭していた。
「何だかこうしているとあの時のことを思い出すわね」
「ああ、確かあの時はルルネと俺が知り合った時だよな。いやぁ~、あの時も焦った、焦った。グレンがえげつない量の依頼を持ってくるから、本当にどうするよって思ったわ。だけどあの時、ルルネがいてくれて本当に良かったわ。あれを一人でやれるかって言われたら、絶対に無理だったしな」
「そうね。あの量はあんた一人じゃ無理でしょうね。とは言っても、今回の量はあの日がとっても可愛く見えてしまう量なんだけどね」
「それは違いないな」
軽口を叩きながら、俺たちは作業を進めていく。
ルルネが言っているのは、数年前にグレンから相談された奇妙な病に侵されてしまった村を助けるために一緒に薬を作ったことがあったのだ。
それが俺とルルネの関係の始まりだった。
最初はルルネにものすごい敵視されてて大変だったんだよな。だけど、今では一番信頼している魔法薬師でもあった。
「ルルネ、頼むぞ」
「ええ、任せなさいよ」
ルルネからの頼もしい言葉に俺も頷くと、さらにスピードを上げるために手元に集中するのだった。
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それからさらに数時間が経過しようとしているが、進行具合を見るとやっと三分の一行ったかと言うところだった。
今はルナが王城に勤めるメイドたちと協力して作ってくれた晩御飯を食べているところだった。
「進行具合はどうですか? あなた」
「う~ん、あんまりよくはない……かな。圧倒的に人手が足りない。やっぱり、今回の薬【賢者の石】を作り出すのはそんな簡単なことじゃないってことだよな。まあ、最初から分かっていたことではあるけどさ。せめて、あと2人。錬金術師と魔法薬師が一人ずつでもいてくれれば話が変わるとは思うんだけどな」
「やっぱり、大変なんですね」
「ああ、でも、最初から分かっていたことだしな。だけど、思いの外消耗が激しいな。色んな意味で。ルルネの方は大丈夫か?」
「ええ、なんとかね。けど、あたしの方も消耗が激しいわ。多分、次に【世界樹の雫】を調整したら失敗する自信があるぐらいには」
「あはは、それは俺も同じだよ。さすがに前にやった薬とは訳が違うな」
「当たり前でしょう。同じだったら困るわよ」
「あはは、違いないな」
俺とルルネは力なく笑い合うと、「はぁ~」とため息一つこぼした。
やらなきゃいけないってことは分かってる。分かってはいるが、二人だとさすがに限界があるか。
さすがにどうするかと俺が思案していると、「まったく、情けない奴じゃ」と声がした。
俺が驚いて声のした方に視線を向けると、そこには予想外の人物が立っていた。
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グレンの売人探しの方も難航していた。
こんなにも大掛かりな捜査網を敷いているのに、どうして見つからない。
グレンの中には確かな焦りが生まれていた。
「グレン隊長。こっちのブロックにもいませんでした」
「こっちのブロックにもですね」
小隊が次から次へと挙がってくる報告の数々に、グレンの焦りはさらに募っていく。
王都は巨大な街だ。確かに探すのは簡単なこととは言えない。それでも僕は諦めるわけにはいかないんだ。
王都はセシルたち王族が暮らす王城を中心に、東西南北のエリアに分れて出来ている街だった。
なので、グレンたちは北をA、東をB、南をC、西をDと言った感じに区画分けして、三人一組と言った感じで、それぞれのブロックを捜索していた。今、捜索していたのは主にAブロックとBブロックだった。しかし、薬の売人は見つかったとしても、グレンが目的とする薬の売人ではなかったのだ。
「何か今回の麻薬の一件で情報を持っている売人はいなかったか?」
すでにその薬の売人を捜索する過程で、何人か薬の売人を捕まえていた。その売人たちがその売人のことを知っているのではないかと、グレンは考えたのだ。
「いえ、それが今回の麻薬に関することは売人たちの間ではかなり話題になっていたみたいなんです。何でも、ものすごく質の高い麻薬がばら撒かれてるって。ただ、その売人は薬を売るとすぐに姿をくらませてしまうそうなんです。それに毎回売っているポイントが違うみたいなんですよ」
「それじゃあ、その売人たちも、その麻薬を売っている売人のことをあまり知らないってことなのかい?」
「ええ、そうみたいです」
部下の返事を聞きながら、グレンはう~んと思案顔を浮かべた。
「こうなったら、直接薬を買っていた人に聞くのが一番かもしれないか」
グレンはそう結論付けると決断を下した。
「そうしたら、僕が麻薬を買っていた人を当たってみる。みんなはこのままブロックでの捜索を続けてくれ」
グレンは部下たちにそう告げると、自身はその買い手達が収容されている場所へと向かうのだった。
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「ああ、そいつはエクリプセの奴だな」
「エクリプセ?」
「ああ、もちろん本名じゃないだろうけどな。それが俺たちにあの麻薬を売った売人の名前さ」
「エクリプセか」
グレンは話を聞きながら、そう呟いてしまう。
「ちなみに、あなたはどこでその売人から薬を買ったんですか?」
「ああ、その話を聞いても無駄だぜ。あいつはいつも売る場所を変えてやがる。それにエクリプセは、俺たちみたいなやつには商売しない。エクリプセは売人から売人に売る専門で、言わば薬の仕入れ屋みたいなやつだからな」
「仕入れ屋か。そいつに会う方法はあるのか?」
「とにかく、仕入れ屋は売人同士の取引だ。闇取引の現場に行けばエクリプセに会えるかもしれないな」
「闇取引か」
「ああ、いるかどうかは分からないからな。噂によると、エクリプセは色々な売人と取引をしていると聞いたことがある。だから、あの麻薬【パナセ】を売買している売人は多いと聞く」
グレンは話を聞いていて、なるほどと思ってしまう。ここでさっきの部下の話に繋がるわけか。
「それで、今回はその麻薬【パナセ】の出回りが早かったわけか」
グレンのその言葉に、元買い手だったザウリは頷いた。
「それで基本的に、その闇取引はどこで行われているんだい?」
「基本的には人気がなければ、どこでだってそれは行われている。紙とペンはあるか?」
ザウリの問いかけに、グレンは頷くと、ザウリに紙とペンを渡した。
「取り合えず、エクリプセの奴がよく取引を行っている場所をいくつかリストアップしておいた。きっといくつか回れば、エクリプセに接触できるだろう」
グレンはザウリから紙を受け取ると、礼を言った。
「協力感謝する。これで捜索は大幅に進展するだろう」
グレンはザウリに礼を告げると立ち上がった。そのエクリプセが現れる可能性がある闇取引が行われる場所へと向かうために。
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グレンの方に進展があった頃、俺たちの方も進展を迎えていた。
「えっ? どっどうして⁉」
俺は困惑するほかなかった。だって、俺たちの前には本当に予想外の人物が立っていたのだから。
「師匠!」
「アーリ!」
俺の師匠であるロゼルダ・メールと、ルルネの友人であるアーリの姿があったからだった。
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