二周年記念SS「新年も来年もその先もずっと一緒に」
新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
さて、今日で『錬金術師と幼な妻~こんな俺に嫁が出来ました~』が二周年を迎えました!
まさかの二周年っ! こんなにも長く一つの作品を書いたことが初めてだったので、自分でも驚きでいっぱいです。ですが、ここまで書いてこられたのは読者様がいたからです。本当にありがとうございます!
また、『錬金術師と幼な妻~こんな俺に嫁が出来ました~』本編は最終部に入っておりますので、今年こそ完結できるようにしていきたいです。
※と話したところなのですが、ここで一つ謝罪させてください。
仕事やプライベートの都合で原作のストックがなくなってしまったため、本編の再開は二月頃が三月頃になってしまいそうです。本当に申し訳ありません。少しでも早く再開できるように努めたいと思いますので、これからも『錬金術師と幼な妻~こんな俺に嫁が出来ました~』をよろしくお願いいたします。
二周年記念SS「新年も来年もその先もずっと一緒に」
「ハツモウデ?」
俺はルルネの言葉に素っ頓狂な声を上げてしまう。
ハツモウデってなんだ?
俺の頭にはその疑問が当然のように浮かんでしまう。
それほどルルネが言った『ハツモウデ』と言う単語に聞き覚えがなかったのだ。隣では俺と同じようにルルネの話を聞いていたルナも、不思議そうに首を傾げている。
「あれ? 二人とも知らなかった?」
そのルルネの言葉に俺とルナは首を縦に振った。知らないも何も初耳なのだ。
「まあ、無理もないわよね。東方の方での風習らしいから、この地域で根付いていないのも仕方がないわよね」
ルルネはそう呟くと、二人に『ハツモウデ』が何なのかを説明していく。
「そもそも『ハツモウデ』とは、年が明けてから初めて神社とか寺院とかに参拝することを言うみたいなの」
「おっおう。ルルネの説明は分かったけど、この街に神社とか寺院とかがあったか? 俺はそんな建物見たことがないんだが」
俺のその言葉にルルネは待ってましたと言った表情を浮かべている。
「もちろん。そこは大丈夫よ。何でも東方の文化が好きなお金持ちの人がいて、神社を一つ丸まる建てちゃった人がいるみたいだから。そこに行けば何も問題ないでしょ」
「まっマジか……そんな人がいるのか」
「うん、いるみたいね。それにこの時期はその人、その場所を開放しているみたいだから、自由に出入り出来るみたいだから、『ハツモウデ』が出来るんだよ」
「へぇ~、そうなのか。しかし、そんな場所があったなんて知らなかったな」
「あんたはアトリエに籠りすぎなのよ。あんたはもっと外に出なさいよ」
ルルネは呆れたように言葉をこぼすと、ルナの方に視線を向けた。
「ルナちゃんはどうかしら? 『ハツモウデ』行きたい?」
ルルネのその問いかけに、ルナは笑顔で頷いた。
「はい! 『ハツモウデ』行ってみたいです!」
「オッケー、なら決まりね。それじゃあ、今日の夜に行くから、あんたはちゃんと仕事を終わらせておくのよ」
「なんだよ、今から行くんじゃないのか?」
俺のその言葉にルルネは深い、それはとても深いため息を吐いたのだった。
「あのね、女の子には色々と準備があるのよ。あんたは少し考えなさい」
「すっすいません」
結構なガチな感じで怒られてしまい、俺はただ謝ることしか出来なかった。
「というわけで、ルナちゃん借りてくわよ」
「ふぇ?」
そのルルネの発言にルナは、首を傾げることしか出来なかった。
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そして、迎えた夜。
俺はグレンと共にルルネに指定されていた、南区画【スーザック】の西ブロックに来ていた。
ここは比較的にお金が裕福な人たちが暮らしているため、俺とは縁遠い場所でもあった。
ちなみに俺のアトリエは南ブロックのはずれにあるので、本当に縁遠い場所なのだ。この西ブロックは。
「リアム、きょろきょろしてると怪しい人だと思われるよ」
「いや~、なんかさ落ち付かなくてな」
「その気持ちは僕にも分かるけどさ」
グレンとの談笑で気を紛らわせていると、ゆっくりと特徴的な足音でこちらに近づいてくる二人の姿があった。
俺とグレンが振り返ってそちらに視線を向けると、そこには見慣れない服に身を包んだルナとルルネの姿があった。
「っ!」
俺はそんなルナの姿を見て小さく息を呑んでしまう。どうやら、隣にいたグレンもルルネの姿を見て、俺と同じ状況になっているようだった。
俺たちが固まっていると、いつの間にか二人は俺たちの目の前まで来ていた。
ルナは俺の姿を見ると、にっこりと笑いかけてくる。
「あなた、どうですか? 『キモノ』というお洋服みたいなんですけど似合っていますか?」
いつもは明るい色を好んで着るルナではあるのだが、今日は落ち着いた色合いのものを着ていて、普段とのギャップも相まって、俺はルナから目が離せないでいた。端的に言うとものすごく似合っていた。
「ああ、とっても似合ってるよ、ルナ」
「本当ですか! えへへ、頑張って着てみたかいがありました!」
ルナはそう言うと、本当に嬉しそうに笑っている。そんな姿に溜まらず、俺はルナの頭を優しく撫でた。
髪型もその『キモノ』に合わせて結ってあるようなので、崩れないように優しく撫でていく。
「言った意味が分かったでしょ?」
俺がルナの可愛さにやられていると、ルルネがイタズラが成功したかのように笑っている。
「ああ、よく分かったよ」
今回は完全にルルネに一本取られた形だった。
「それじゃあ行きましょう」
ルルネの言葉と共に、俺たちは神社に向かって歩き出したのだった。
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神社の境内に入ると、そこは人でごった返していた。
「思った以上に人がいるのな。ルナ、はぐれるとまずいから」
俺が手を差し出すと、ルナは嬉しそうに手を重ねてくれる。俺はその手を優しく握ると、ルルネの方に視線を向けた。
「それで参拝ってどうやるんだ?」
「あんたバカなの?」
どうして俺はいきなりバカ呼ばわりされてるんだ?
俺はそう思わずにはいられないが、取り合えずルルネの言葉を待つことにする。
「参拝は鳥居を潜る時から始まってるのよ」
「えっ? そうなのか?」
「ええ、そうよ。鳥居の先はもう神様がいる空間って言われていて、とても神聖な場所とされているの。だから、もう参拝は始まってるのよ。取り合えず、参道は中央を避けて、ゆっくりと歩いて、まずは手水舎に向かうの。参道の真ん中は、神様が通る道と言われているから、それを避けるために真ん中は歩かないようにするのよ」
ルルネの説明を聞きながら、手水舎に向かって歩いて行く。
手水舎にも行列が出来ていて、俺たちは並んで順番が来るのを待っていた。
順番が来ると、再びルルネが説明をしてくれる。
「この手水舎は、参拝者の身を清める場所なのよ。あそこに書かれている洗心って意味は、両手と口を洗い清めることによって心ーー魂も清めるという意味を指してるのよ。だから、本殿を参拝する前には、ここで清めていくのが恒例なのよ」
「へぇ~、そうなのか」
「そうよ。それじゃあ、やり方を説明するわよ」
「お願いします」
「まずは右手で柄杓を持って、左手にかける」
そう言って、ルルネは実際にやって見せている。
「そして、今度は左手に柄杓を持ち替えて、右手にかける。それが出来たら再び右手に柄杓を持ち替えて、今度は左手の掌に水を受けて口をすすぐの。この時、絶対に柄杓に直接口を付けじゃ駄目よ。それが出来たら、再度、左手に水をかけて最後に両手で柄杓を立てて柄杓の柄に水をかけて、柄杓置き場に柄杓を戻して終わりよ」
一連の動作を見せてくれたルルネを見様見真似で、俺たちは真似して心を魂を清めていく。
「よし、これで後は拝殿でお参りするだけね」
手水舎で、心を清め終わった俺たちは拝殿に向かって歩いて行く。
「ここもすごい混雑だね。部下を配置させておいて正解だったかな」
グレンの話す通り、拝殿は手水舎の比じゃないぐらいの混雑っぷりだった。そして、この時期、グレンたちの近衛団は当番制で、この一帯を見回っているのだ。
「ほんとすごい人だな。ルナは大丈夫か?」
「はい! あなたが手を繋いでいてくれているので、何とか大丈夫です!」
「そっか、なら良かったよ」
「えへへ」
ルナの笑顔を見て、なんだかこっちまで嬉しくなってくるな。
「ルルネ、僕たちも手を繋いでおこうか。この人の多さだと流されないとも限らないし」
「はっはい。そうですね」
グレンと手を繋いだルルネの顔は、ほんのりと赤く染まっていた。
そんなルルネの反応を見て、俺とルナは顔を見合わせて微笑むのだった。
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拝殿の行列に並び始めて、三十分が経つ頃、やっと俺たちの番が回って来た。
「ここでは二拝二拍手一拝という作法があるの」
再びルルネが作法を説明してくれる。
「まずは賽銭箱にお賽銭を入れて、目の前にある鈴を鳴らすの。そして、ここで二拝するの」
ルルネは説明しながら、その一連の動作を進めていく。
「そして、胸の高さで掌を合わせて、この時に右手を少し下にずらして二拍手。その後に今度は完全に掌を合わせて、祈りごとをするの。それが終わったら、手を下ろして最後に一拝してお参りは終了よ」
「なるほどな。それじゃあ、俺たちもやってみるか」
俺とルナ、グレンの三人はルルネの説明を受けたように、お参りをしていく。
祈りごとか。俺はこれからもこの生活が続くように祈っておこう。
ちらりと隣を見ると、ルナが目をつぶり真剣に祈っている横顔が見えて、俺は不覚にもそんなルナの姿にどきりとしてしまったのだった。
『ハツモウデ』を終えた俺たちは、南ブロックへと帰っているところだった。
少し目の前を歩くグレンとルルネの姿を見ながら、俺たちも帰り道を歩いて行く。
俺はちょうどいいと思い、先ほど思った疑問をルナに聞いてみることにした。
「そう言えば、さっき思ったんだけど、ルナは祈りごとって何をお願いしたんだ? ずいぶんと真剣そうに祈ってたからさ」
「ええ⁉ あなた見てたんですか!」
「うん、まあ、見てたな」
そんな俺の疑問にルナは恥ずかしそうに頬を染めながらも笑顔で答えたのだった。
「それはもちろん、あなたと新年も来年もその先もずっと一緒にいられますようにってお願いしましたよ」
その答えを聞いて、俺は一生ルナには敵わないと改めて思うのだった。
fin.
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