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【完結】錬金術師と幼な妻~俺に嫁が出来ました~  作者: 瞳夢
第二部 見習い魔法薬師の躍進
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番外編ex「ゲリラSSまとめ+新規書き下ろし小話」

番外編ex「ゲリラSSまとめ+新規書き下ろし小話」


「あなた あなた」


 俺が作業に一区切りつけて、一息つこうと作業部屋に設けた休憩スペースとなっているソファーに腰を下ろして、ルナが淹れてくれたお茶に口を付けたときに、目の前に座っていたルナが目を輝かせて俺のことを呼んできたのだ。


「どうした? ルナ」


 そんなルナの姿もかわいいと思いながら、俺はルナにそう聞き返した。


「あなた、『まと』って十回言ってくれませんか?」


「『まと』を十回? いきなりどうして?」


「ダメですか?」


 ぐっ……そんなことを言われたら、俺はルナのお願い事を聞くしかないな。なので、俺はルナに言われた通りに、同じ言葉を十回繰り返す。


「まとまとまとまとまとまとまとまとまとまと。これで良いのか?」


「はい! それじゃあ、あなた赤い果物は何ですか?」


「えっ? それってトマトじゃ……」


 俺はそこまで言って言葉が詰まってしまう。目の前ではルナがしてやったりとした顔で笑っている。そんな顔もかわいいと思ってしまうんだから、俺は重傷だと思ってしまう。

「あなた、正解はリンゴですよ」


 やられた……。俺は素直にそう思ってしまう。


「でも、いきなりどうしたんだ?」


「依頼人の人が教えてくれたんです。同じ言葉を繰り返し言ってもらって、間違った答えを誘って答えてもらうって遊びなんです」


「へぇ~、そんな遊びがあるのか。知らなかったな」


「それじゃあ、次の問題をやっても良いですか?」


 ルナの輝く笑顔を見ていたら嫌なんて言葉を答えるなんてあり得なかった。


 俺の答えを聞くと、ルナは嬉々としながら次の問題を出題してくる。


「それじゃあ、次はかわいいって十回言ってくれませんか?」


 はいはい、かわいいねって……はっ⁉ ルナを目の前にして十回もかわいいと言えと! そんなこと出来るかッ!


 しかし、ルナの姿を見てそんなこと言ってはいられなかった。なので、俺は羞恥心はあれど、何とか言葉にする。


「かわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいいかわいい」


 なっ何とか言い切った。俺は何処か謎の達成感に満たされていた。目の前のルナの姿を見ると、頬を真っ赤に染め、その両頬を両手で抑えて「えへへ」と笑っている。


 何だこのかわいい生きものは()


 ルナはしばらくの間、「えへへ」と呟いていた。


「あなた、次で最後の問題です」


 しばらく待っていると、ルナは回復してそう言葉を続けた。ちなみに、待っている間ずっと照れているルナの姿はとても眼福だった。


「おっおう」


 もうさっきみたいな問題は勘弁してほしいな。いや、さっきのは問題でもなかったか。

 そう願うものの、俺の願いは届くことはなかった。むしろ、さっきの問題よりもさらに上に行くものが、ルナの口から投下されたのだった。


「大好きって十回言ってくれませんか?」


 なっ! 今日のルナどうしたんだ⁉ 本当にどうしたんだ⁉ それに言った本人は恥ずかしそうにもじもじとしているし! 俺を悶え殺す気か!


 俺はどうせ最終的には折れるのだろうと思い、大好きと言葉を繰り返す。


「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き」


 俺の言葉に、ルナは花が綻びるように笑うのだった。


 ああ、今日も俺の嫁はかわいいです!


                  小話タイトル「十回ゲーム」


***********************

 

 それは俺がいつもの様に錬金術で使う素材を仕入れに行った時の話だった。俺はいつもの様に町のお店で何か使えないかと物色していて、結局はいつも行きつけになっているハーブ屋に顔を出した時のことだった。


「ヤールさん、いつものちょうだい」


 俺がそうオーダーを出すと、ヤールさんは「あいよ」と声を返して、いつも買っているハーブを袋に詰めてくれる。


「お待たせ、リアム。それとお前さん結婚したんだって?」


「ヤールさん⁉ どうしてそれを知ってるんですか!」


「知ってるも何も、この辺りじゃその話で持ち切りだな。リアムの隣にかわいらしい少女がいるってな。それでリアムが結婚したんじゃないかって話になったんだ。それで、実際のところどうなのよ?」


「まあ、結婚してます」


 俺が正直にヤールさんの話に頷くと、ヤールさんは一瞬驚いた表情になったが、その表情をすぐさま真剣な表情に改めると、思いがけない一言を口にした。


「お前さん、まさかとは思うんだが、幼い少女しか愛せない特殊性癖の持ち主じゃないよな?」


「ちっ違いますよ! 俺はルナだから好きになったんであって、決して幼い少女が好きとか愛してるとか絶対にないですから!」


 とんでもない勘違いをされていた。確か前にルルネにも同じことを言われた気がするが、はたから見たら俺ってそういうふうに見られてるのか……だけど、本当にルナだから好きになっただけなんだけどな…………


 俺がそう考えていると、目の前に立っているヤールさんは納得してくれたのかふんふんと頷いている。


「そうか。なら安心だ。くれぐれも嫁さんを大事にしてやるんだぞ」


「はい! アドバイスありがとうございます」


***********************


「つっ疲れた……」


 結局、あれから色々な人に捕まり、ルナとの関係性を聞かれ、挙句の果てには特殊性癖の持ち主ではないかと疑いをかけられた。何とか誤解は解けたためにそこら辺の勘違いはなくなったと思われるが……


「お疲れ様です、あなた。コーヒーを淹れましたけどお飲みになりますか?」


「ありがとう、ルナ。いただくよ」


 俺はルナにお礼を言いながら、コーヒーの入ったマグカップを受け取ると、乾いた喉にそれを流し込んだ。ほどよい甘みとコーヒーのもともとの苦さが口の中で広がり、とても美味しいと思った。


 不思議な感覚だった。自分でコーヒーを淹れた時は、ただ胃の中に流し込むだけだったのに、ルナが淹れてくれたコーヒーならいつまでも味わっていたいと思ってしまう。


「美味しいよ、ルナ」


 お盆を持ったまま佇んでいたルナに、そう微笑みかけた。すると、ルナも嬉しそうに笑ってくれる。そんなルナの笑顔を見て、俺の心は癒されていくのを感じた。


 ああ、この笑顔の前なら特殊性癖って思われても仕方ないのかもしれない。


 俺の頭はとっても残念な思考を持ち始めていた。しかし、一つだけは言えることがあった。


 俺の嫁は最高にかわいいと!


                  小話タイトル「商店通り集会の懸念」


***********************


「それでリアムのことどう思う?」


 ハーブ屋の店主・ヤールがそう口を開いたことにより、ここに第三回リアムは幼い少女しか愛せない特殊性癖の持ち主なのか? はたまたそうではないのか会議が開催された。


 リアム本人がこの会議のことを知れば、とても不本意だと抗議しかねない(いや、実際するであろう)会議ではあるが、ここに集まった者たちは皆一様に真剣なのだ。


「俺は完全に黒だと思うな。だって、あんな可愛い子だったら、そうなっても仕方のないことだと俺は思うし。つまり、リアムに罪はない! 可愛いは正義!」


 そう声高らかに発言したのは、この商店通りでパン屋を営んでいるヴァンだった。まあ、すぐにその隣に座る自身の妻であるアリヤからの折檻を受けていたが。


「バカな夫の言うことはこの際無視してもらって、ヤールは何かリアムから話が聞けたんじゃないのかい?」


 鉄拳制裁を受けたヴァンは床で伸びているのだが、そんなことはお構いなしに会議は進んでいく。


「ああ、そう言えば今日はリアムが材料を買いに来てたからな。少しリアムとは話したんだよ」


「それでリアムは何と言ってたんだ?」


 そうヤールに尋ねたのは、野菜を売る屋台を営んでいるラクスだった。


「リアムの言い分では、ルナちゃんだから好きになったと言うわけで、他の子であれば好きにならなかった。とそう言うことらしい」


「なるほどな。見事な切り返しだな。そう言えば多少のことなら、言い逃れが出来るわい」


「やはり、ラクスもそう思うか。会長はどう思われますか?」


会長と呼ばれた男・薬屋【ヒール】を営む店主・マルクス・ニーチェは渋い顔でふむと唸っている。


「やはり、リアムは黒だろうな」


「会長もそう思われますか?」


「ああ、だって我が愛しの愛娘を見ても靡かないんだもの。特殊性癖を持っていなくてどんな説明が出来るのかね」


「ルルネちゃんですね。確かに可愛いですけど、もし仮にリアムがルルネちゃんと結婚していたらどうしたんですか?」


「娘は絶対に嫁になどやらん!」


 でっですよね~。


 その場にいた者は全員同じような感想を抱いてしまう。


 この会長を務めているマルクスが、自分の娘を溺愛していることは周知の事実だった。そして、リアム・ラザールが彼にとっての商売敵であることも周りには知れ渡っていた。


 なのでこうしてリアムの弱点を探しているのだろう。


「それで結局、リアムは特殊性癖なのかい?」


 アリヤの言葉に他の三人はう~んと唸ってしまう。なお、残りの一名は、未だに床に伸びたまま気を失っている。


「よく分からないな。何とも言えない平行線だな。でも、ルナちゃんがとっても良い子なのはみんなも知ってるもんな」


 ラクスの言葉に皆は頷いた。


 ルナは商店通りによく買い物に行くので、商店通りの中でルナは一種のアイドル的存在になり始めていた。そして、商店通りの人々も毎日ルナが来るのを待っているのだ。


 そのぐらいにルナの存在は、商店通りでも大切なものとなっていた。


「まあ、あの笑顔を見たらそうなるのも仕方ないのかもしれないのかな」


 何せ、ここにいる者全員、ルナの笑顔にはメロメロなのだから。


***********************


「うう、何だか悪寒が……」


 俺は背中に悪寒が走った気がして、思わず自身の体を両腕で抱いてしまう。


「あなた大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫だよ。ありがとうルナ」


「いえいえです。わたしはあなたの奥さんですから、心配するのは当然ですよ」


「ありがとう。ルナ」


「あなた、少しお茶にしましょ」


 そう言ってルナは微笑むのだった。


「ああ、お茶にしよう」


 今日も今日とてアトリエ【クレアスィオン】は平和です。


                  小話タイトル「商店通り集会の懸念2」


 

面白いと思って頂けましたら、ブックマークや評価のほどをよろしくお願いいたします。

そして、第三部開始は10月7日日曜日15時を予定しておりますので、もうしばらくお待ちくださいませ。

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2021年8月11日より新連載始めました。よろしくお願いいたします。 リンクスとステラの喫茶店~ステラと魔法の料理~
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