第26話「お泊り会」
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第26話「お泊り会」
「あっ! そうだルナちゃん。今日はここに泊まっていきたいんだけど大丈夫?」
ルルネの突然の言葉に、ルナは特に驚いた様子もなく笑顔で答えた。
「はい! 大丈夫ですよ。わたしがリアムさんから頂いたお部屋が空いていますので、そこで良ければ泊まってもらっても問題ありませんよ」
「分かったわ。ありがとう、ルナちゃん」
ルルネはルナにお礼を告げると、自身の勉強に戻って行く。試験の日は刻一刻と迫っていた。
出来るだけのことはやっておきたいと、ルルネは考えていた。
ルナもそんなルルネの姿を見ながら、ルナも錬金術の勉強を再開していく。ルナは今でこそサポートに回れるほど知識は付けたが、それでもまだまだ知識が足りないと自己分析をしていた。そのため、こうして時間を見つけては勉強をして知識を蓄えていた。
それから無我夢中で勉強をしていると、いつの間にか外は茜色に染まっていた。ルナは一度大きく背伸びをして、凝り固まった筋肉を伸ばすと席から立ち上がった。
「ルルネさん、夕飯の買い出しに行くためにわたしは少し出てきますので、ルルネさんはそのまま試験勉強していてくださいね」
ルナのその言葉に、ノートに視線を落としていたルルネは、慌てて立ち上がった。
「ううん、そんなの悪いよ。あたしも一緒に買い出しに行くわ」
「気を使わなくても大丈夫ですよ。すぐ近くの所まで行くだけですから」
「別に気を使ってるわけじゃないって。あたしが行きたいだけだし。それに息抜きだって必要でしょ」
ルルネはそう言って片目を閉じてウィンクをして見せた。そんなルルネの姿を見たルナは、思わず吹き出して笑ってしまう。
「ちょっと! どうしてあたしは笑われてるの?」
「ご……ごめんなさい。まさか、ルルネさんの口から、リアムさんと同じような言葉が出るなんて思いもしなかったので、つい……」
ルナはくすくすと笑い、眦にたまった涙を指で掬っていた。そして、そう指摘されたルルネは顔を真っ赤に染めて、ルナの言葉を否定する。
「あいつと同じとかマジで超あり得ないから! ほらルナちゃん、さっさと買い出しに行きましょうよ!」
ルルネはスタスタと先に歩いてアトリエの出入り口へと向かってしまう。
「あっ! 待ってくださいよ~。ルルネさ~ん!」
そんなルルネをルナは慌てて追いかけるのだった。
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商店通りへとやって来た二人は、今日は何しましょうかと話しながら、それぞれの店舗を物色してめぼしい物を見つけていく。その姿はさながら、仲の良い姉妹のようだった。
「ルルネさん、今日は何が食べたいとかありますか?」
野菜の品定めをしながら、ルナがルルネにそう問いかけた。
「う~ん、ルナちゃんの料理なら何でも美味しいからな。何か食べたいと聞かれても困ってしまうのが事実だったりする」
「ふふ、そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、いざ作るとなると困ってしまいますよ」
「だよね~。ごめんねこんな答えしか返せなくて」
「いえいえ、ルルネさんの素直な気持ちが聞けて嬉しいですから」
ルナがそう微笑みかけると、持っていた鞄が震えていることに気が付いた。ルナは慌てて鞄に手を突っ込むと中から小さな水晶体を取り出した。
それは小型の通信をするための物だった。
ルナが手をかざすと通信がオンになり、そこからルナの大好きな声が流れてくる。
『ルナ聞こえるか? リアムだけど』
その声に安心を覚えると同時に、自身の頬が緩んでしまうのを抑えられない。
「はい、しっかりと聞こえていますよ。あなた。それでいきなり連絡してくるってどうかしたのですか?」
『ああ、実はそうなんだ。予定では今日中に帰れる予定だったんだけど、それが帰れるのが明日になりそうなんだ。ごめんな』
「いえいえ、謝らないでください。あなたはお仕事で家を空けているんですから。それに夫の留守の間、家を守るのも妻の役目ですし、夫の帰りを待つのも妻の役目ですよ。だから、気にせずにお仕事に励んでくださいね」
ルナはリアムに気を使わせないように、慎重に言葉を選んで話していく。
『ごめんなルナ。気を使ってもらって。なるべく早く帰れるようにするから。本当にごめんな』
「だから、謝らないでください。それがあなたの仕事だって分かってますから」
ルナはそう言って微笑んだ。通信相手のリアムには顔は見えないが、きっと伝わっていると思いルナは水晶体に微笑みかけたのだ。
『ありがとう、ルナ。愛してるよ』
「わたしも。わたしもあなたを愛しています」
そこで通信は切れた。
「ルナちゃん、あいつから?」
「はい。リアムさんは今日帰って来ないそうです」
「ああ、そうなんだ。ルナちゃん、大丈夫?」
「はい。少し寂しいですけどルルネさんがいてくれますから」
ルナのその答えに、ルルネはまったくこの子はと思ってしまう。だから、ルルネはルナのことを抱きしめた。
「ルナちゃん、寂しい時は寂しいってはっきり言った方が良いよ」
そう言いながら、ルルネはルナの綺麗な金髪を優しく撫でている。
「はい」
ルナはその言葉に素直に頷くと、自身の顔をルルネの胸に埋めていた。
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それから元気を取り戻したルナと共に、ルルネは買い物を続けていく。
「それでルナちゃん。今日のご飯は何作るか決まった? 料理次第ならあたしも手伝えることがあると思うんだけど」
「う~ん、リアムさんが帰って来ないってことは、今日の夕ご飯はわたしとルルネさんだけってことになりますよね。だから、一品一品は少な目で色々な種類の物を作ろうって考えているんですけど、それで大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫だよ。むしろ、そっちの方が嬉しい!」
「じゃあ、早く買い出しを済ませてアトリエに帰りましょう」
ルナはそう言うと、次から次へと食材を購入していく。
「ああ、ルナちゃん。あたしも荷物持つの手伝うよ」
商店通りで買い物を終えた二人は、アトリエに戻るとそのままキッチンに向かっていた。
ルナはエプロンを身に着けると、手を洗い買って来た食材を吟味していく。
「ルナちゃん、あたしは何か手伝うことある?」
「大丈夫ですよ。なので、ルルネさんは座っていてもらっても大丈夫ですよ。ルルネさんだって試験勉強で忙しいわけですし」
ルナはルルネが座ってても大丈夫だと証明するように、テキパキと動いていく。その姿を見て、ああ本当に手を出す隙がないわとルルネは思ってしまう。
ルナは無駄のない動きで次々と料理を作っていく。
「本当にルナちゃんって、家事とか色々と手慣れてるよわよね。どこかで習ってたりしたの?」
ルルネはルナの動きを見て、ものすごく今更ながらの疑問を抱いてしまう。
ルナの動きは明らかに、十四歳にしては出来過ぎている。それはもう何年も主婦をやっている感じがしてしまう。
「母の元で二年間、花嫁修業をしていました。ここに来てすぐにでもリアムさんの役に立ちたいと思っていましたので。なので、料理や洗濯、掃除など。家事に関することは全て習いました。元々、家のことはやってたんですけど徹底的に叩き込んでもらいました。後は読み書きとかもお義父さんに習いましたよ。読み書きが出来なきゃ、アトリエのお手伝いも出来ないと思ってましたから。だから、必要だと思えることは両親から一通り習ってからここに来ました」
そのことを聞いて、ルルネは素直に年下のこの少女に感心してしまう。普通、これぐらいの年齢の少女が、恋をしてそこまで考えてから行動できるものだろうか?
少なくとも自分には無理だ。だって、恋に対してこんなにも奥手になってしまう。
その事実を知って、ルルネはルナに対して軽くノスタルジックを覚えてしまう。
恋を自覚して、相手のためにそうやって動けるルナの姿は素直に尊敬出来る人だとルルネは思った。
そう感じて、言葉に詰まってしまいルルネはルナの顔が見れず顔を上げられないでいた。
そんなルルネの姿を見て、ルナは「ですが」と言葉を続けた。
「あくまでも、今は話したのはわたしが出来ることを最大限に生かしてやっていることに過ぎませんから。それにルルネさんは可愛いですし、何より才能があります。だから、グレンさんだってきっと、ルルネさんの良さに気が付いてくれますよ」
そう言って笑うルナの姿を見て、ルルネは何だか居た堪れない気分になってしまう。
「ありがとう、ルナちゃん。それとこんな情けないお姉ちゃんでごめんね」
「いえ、ルルネさんはわたしにとって最高のお姉ちゃんです!」
自嘲気味に放った言葉は、ルナの笑顔に効力で一瞬で消し飛びました。
「ルナちゃん、本当に良い子!」
ルルネはそんなルナのことをぎゅっと抱きしめていた。
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それから二人はご飯を食べると、一緒にお風呂に入って今は一緒の布団の中にいた。
「ああ、そう言えばルルネさんに聞きたいことがあったんですけど良いですか?」
「ん? 聞きたいこと? あたしで答えられることなら何でも聞いてもらっても大丈夫だよ」
ルルネがそう答えると、ルナは花が綻んだ笑顔を顔に咲かせている。
「ありがとうございます! ルルネさん! 実は前から気になっていたことがあるんです」
「気になってたこと? 何? あいつの弱点とか?」
「違いますよ。それにリアムさんの弱点ならもう把握していますので大丈夫です」
笑顔でさらっとすごいことを言ってないかしら?
ルルネはそう感じながらも、ルナに続きを促した。
「それで何が聞きたいの?」
「はい! 実はリアムさんとルルネさんってどういう風に知り合ったのかが気になっていたんです。何だかリアムさんとルルネさんではあんまり接点がないようにも思えますし、リアムさんがどうしてこんなに可愛い人と知り合ったのかも気になります」
さらっとひどいことを言ってないかしら?
ルルネはそう思いながらも、「そうね」と呟き語り出す。
「あいつとの最初の出会いって、そこまで良かった思い出がないんだけどね」
そう、それは今から一年以上前まで遡ることになる。
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