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Color  作者: 月光花
2/5

『脱臼肩』

母が恐る恐る

「後天性色覚障害、ってなんですか...?」

と聞く。私も初めて聞く名前で不安になる。

「過度なストレスを受けて、色の識別がつかなくなる障害ですね。様々な検査をしたと思いますが、外傷からの障害ではないようで、恐らく交通事故からくるストレスだと思われます。」

母が緊張した面持ちで質問する。

「それは...治るんですか。」

医者はしばらくの沈黙の後、優しい表情で

「治りますよ、お母さん」

と声をかけた。その言葉に母は大きな安堵のため息をついた。私自身も良かったと胸を撫で下ろす。医者はそんな私達を見て微笑んだ後、真剣な顔をして言った。

「ですが、どういう条件で治るかわかりません。」

「というと?」

「自然に治るかもしれませんし、事故の時の様に何か強い刺激を受けて治るかもしれません。1番可能性があるのは強い刺激を受ける事ですが、事故並みの刺激なんて早々あるものじゃないですし今はまだ遥香さんも歩けませんので、治るとしたら少なくとも1、2ヶ月先でしょう。」

まずは歩けるようになることから、と医者に言われ、私は母と同時に頷いた。


歩けるようなる、というこの1、2ヵ月は思ったより長く、思ったより辛かった。トラックに跳ねられ、体を全体的に打撲し筋肉を痛めており、右から跳ねられた後の衝撃で左肩を脱臼、左足の脛の骨にヒビが入ってるのだとレントゲンを見ながら説明された。これなら左肩をハメれば歩けるようになるのでは、と思ったがそうは上手くいかないらしい。1度脱臼すると外れやすくなり、

ーガコッ

「あいた!」

左側にあるペットボトルを取ろうと伸ばした左肩が外れ、その度にナースを呼び激痛に耐えながら慎重に嵌める。最初の2週間ほどはこれを繰り返し、その度に激痛に唸り声をあげた。母は

「学習能力が無いわね。」

と笑ったが私からしたら日常的に使えてた体が使えなくなった事と笑われた事で不機嫌になり、その度に母はまた笑いながらごめんねと私の好物のプリンを買ってくる。そして買ってきたプリンを食べて機嫌を治しお互い笑い合う、というのがいつもの流れだった。

1ヶ月も経つと、肩は段々と馴染んでいき今は思いっきり肩を回しても外れなくなった。安静にしていたからか予定よりも早く左足に入っていたヒビもほぼくっつき、激しい運動さえしなければ院内を自由に歩き回っていいと医者から許可も得た。けど、約1ヶ月半動かないとと筋肉がほぼ無くなるようでまともに立つことが出来なかった。

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