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 百年だって!!?






 魔女氏の邸宅に上がり込んだシルバーデビル少年は、椅子に座り魔女氏と対面する。




「あの」

「ああ、少し黙っていてくれないか? 私が知っている事は全部説明するからさ」

「はあ」

「まずは結論から言おう。君は《祝福の儀》から百年もの間殺され続けているんだよ」

「え」

「君の能力は不老不死なんだが、位階が最低の不老不死でね。致死ダメージを受けても、記憶を保持したまま再生する最高位階の不老不死とは違って、致死ダメージを受けたら記憶を失って再生するタイプの不老不死なんだよ」

「はあ?」

「つまり、君は致死ダメージを受けたら、《祝福の儀》にて不老不死の能力を授かった時からの記憶が吹き飛ぶタイプの不老不死という訳だ」

「ちょっと待って下さい! 僕が最下位階の不老不死能力を授かった事は理解出来ましたが、僕が兵隊に殺されそうとした事実は理解が」

「それは君の仕事だ」

「は?」

「君の能力を生かした仕事だ。ちなみに、記憶を吹き飛ばす以前の君に進めたのは私だがね」

「一体何を」

「ゴルゴル王国専属の殺され係。それが君の仕事だ」

「え……はあ!?」

「兵隊の殺傷訓練に君は志願したんだよ。記憶が吹き飛ぶから怨恨の心配はいらないし、君は公務人なんだからしっかり給金も出ているぞ? 君は毎回記憶が吹き飛ぶから知らないかもしれないが、家も建てているぞ」

「ちょっと待って下さい。理解が」

「待たない。面倒くさいから後は、君が君自身に宛てた手紙でも読むんだな」

「手紙?」

「私も毎回訪ねてくる君に説明するのは面倒くさいからね。説明とか君に降りかかっている事情を君自身に伝えさせればいいと考えた訳さ。あっちの部屋に手紙、というか君が君自身に宛てた日誌みたいなものがあるからそれでも読む事だね」

「……分かりました」

「何か言いたそうな顔してるけど、君に今の仕事を薦めたのは私だけどね、何にしても金は稼がなければ餓死ダメージで記憶が吹き飛んじまうんだ。それならばいっそ開き直って、才能を生かした仕事として殺傷訓練の係になればいいんじゃないかな? と善意で薦めたんだ。逆恨みはよしてくれよ」

「……はい」




 何か納得いかないシルバーデビル少年だったが、魔女氏の言い分が理解出来てしまっていたために、大人しく日誌のある部屋へと向かったのである。






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