避けられないのであればコントロールすればいいじゃない
「まあ、つまりは『能力』の拡散と集束は止めようがないんだからだったら、その期間を……丁度いいから【拡散期】と【集束期】と定義付けしようか。その【拡散期】と【集束期】をコントロール下に置いちまおうぜ! って事だな」
「何で一々そんな遠回りで面倒な真似を…………」
「まあ、それは後で話すとして、理解はしてくれたよね?」
「……まあ一応は」
「うんうん。まあ今はそれでいいよ。でだ、第一段階で現時点というか、準備完了時点で最強にならなければならない理由も分かったよね?」
「世界中をコントロール下に置くからですね」
「そうそう! で、ようやく賢人会の消滅に繋がる訳なんだが分かるよね?」
「賢人会メンバーを次から次へと殺して不老不死能力を高める為ですね? ……成る程そういう理由だったのか、やっとこさ納得しましたよ」
「いや最初に殺すのは賢人会メンバーではないのだけれど」
「は?」
「最初は同程度、つまり最低クラスの不老不死能力者でないと、シルバーデビル君の不老不死能力は高まらない」
「はい?」
「実は『能力』を高めるのは結構難しいんだよ」
「というと?」
「テキトーにやってもある程度までは強くなれるんだけど、頭打ちが早いんだよね。テキトーでは決して最強にはなれない」
「というかさっきから気になっていたんですが、何でそんないろんな事知ってるんですか?」
「そりゃあ実験したからだよ」
「実験?」
「ハオがテキトーに強くなった実験例で、その反省を踏まえて適切に強くなった私が現時点で最強となった実験例だ」
「………成る程」
「当然だが、他にも人体実験は数え切れない程にやったから知っているという訳だな! まあ気にするな」
「………まあそりゃそうですね」
人体実験と聞いて、ふと自身の生業を思い出したシルバーデビル少年であったが、まあもう人体実験の被害者であるだろう知りもしない他人に構っている場合ではないので、速やかに気にするのを止めたのだった。




