魔女に会おう
魔女氏!
魔女子でも魔女っ子さんでもなく、魔女氏と呼ばれる不老不死の能力を保持している年齢不詳の女がボック村の近くにいるのだ。
魔女氏は不老不死であるが故に物知りだと有名だが、あまり人前に姿を見せない事から村人は当の本人から『魔女』と呼ぶように言われたのだが『魔女』だけでは何だか呼びづらいので『魔女氏』と呼ぶようになったのだ。
「はあ~、魔女氏と会話した事なんてないんだが背に腹は変えられんか……」
シルバーデビル少年は魔女氏の噂を聞いた事があるだけで、今まで一度足りともお目にかかった事はないし、ゆえに当然ではあるが話した事など一度もなかった為、尻込みしていたのだ。
今まで見向きもせずに関わった事など一度もなかった人に、困った時だけ頼るという虫のいい話しなどが、シルバーデビル少年自身嫌いだった事もそれを助長していた。
だがそうも言っていられないのが『今』なのだ。
平時に何をほざいていようが、緊急時に対応出来なければ何も意味はないし、緊急時に対応出来ないのであれば、平時に偉そうに詭弁を垂れる事など言語道断である。と、魔女氏の家を前にしたシルバーデビル少年は身にしみて感じていたのだった。
コンコンコン
「魔女氏魔女氏。お忙しい所申し訳ありません。自分はボック村のシルバーデビルと言います。実は相談したい事があるのですが……」
ガチャ
「ああ、また君か……上がりなさい」
「??? また? とは一体……」
「とにかく上がりなさい。自分の身に何が起こっているのか知りたいのだろう?」
「!!! 分かりました。お邪魔します」
こうしてシルバーデビル少年は、魔女氏の邸宅にお邪魔する事と相成ったのである。