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ネトゲの中の君
言葉の選び方が上手い人だ。
僕が君に抱いた印象は、初めはこんなものだった。
いつでも君は、他人の一番敏感な所を触るともなくなぞるような、そんな話し方をしていた。
その感触が気持ちよくて、免疫の無い僕なんかはいつも翻弄されていたっけ。
大人の、素敵な女性なんだろうな。僕はそう思った。
いつからだろうか、こんなふうに、君が来るのを待つようになったのは。
気づいたときにはもう、僕は君を見ていた。
君が元気に走り回る姿を、僕は後ろから見ていた。
その後ろ姿が、とても愛おしくて。
君の姿から、目が離せなかった。
毎日同じ時間に、同じことをして、君を支配しているような気持ちになった。
僕はそのことに恍惚すら覚えていた。
こんなことを言うと、他人に笑われるかもしれない。
だけど、僕は大真面目だった。
僕は、ゲームの中の君に、本気で、恋していたんだ。