危険(ピンチ)
パンチ、ピンチ、プンチ、ペンチ、ポンチ。
「面倒だな。」
理性を失っているのが一番面倒だ。
彼?は私達の事を飢えた獣のような目で見つめる。
・・・・いや、今は獣か。
彼は私と神恵さんを暫く交互に見つめて
・・・・・二ヤリ・・・・だろうか・・・?
口角をあげる。
その姿はとても恐ろしかった。
鋭い牙と真赤な歯茎がみえ、涎がたらりと垂れる。
___喰われる
一瞬で分かった。
私は奴が動くよりも早く神恵さんを押した。
「逃げてっ!!急いで早く!」
「ぇ・・・」
蒼白な顔の神恵さんの手を引き走る。
「グォォオおおオオオぉぉオオオ!!」
後ろから物凄い雄叫びが聞こえる。
「ねぇ・・・・これ・・・何?どういうこと?」
神恵さんは降るえる声で聞く。
それどころじゃないってのに!
「言ったでしょ!特質の暴走!逃げなきゃ喰われる!!」
「喰われる・・・あれは人・・・なの・・・?」
「そうだよ。アレは私らと同じ此処の生徒。」
「・・・・ぅ・・・そ・・・・・」
神恵さんの声は今にも消え入りそうだった。
ダッダッダッダッ
後ろから地面を何かが蹴る音がする。
地面を揺らしながら段々と此方に近づいてくる。
どうする!?
どうする!?
どうする!?
何処に逃げる!?
逃げ場なんてあるのか!?
職員室でも行くか!!?
くっそ!!
此処は体育館倉庫近くなのだ。
授業を受ける生徒くらいしか来ない。
助けを求める人は___居ない。
「・・・・どうしよう。
私達死んじゃうの・・・・・?ねぇ!如月さん!!」
状況を理解したのかそれとも恐怖に支配されたか・・・・。
神恵さんは悲鳴のように叫ぶ。
私は走る事に専念する。
神恵さんが繋がってる腕を行き成りグイっと引いた。
私達の足は止まってしまった。
「ねぇ!!どうなるの!!?」
馬鹿。
走り出そうとした時はもう既に時遅し。
私達の進路を阻むかのように奴が立っていた。
私は咄嗟に神恵さんを背に隠すようにして立つ。
・・・・身長上神恵さんが少しはみ出してはいるが・・・・・
「・・・・ぁ」
神恵さんの口から声が漏れた。
いまだ繋がれたままの手から震えが伝わってくる。
面倒だ。
私はそう思った。
仕方ない。・・・・・か。
「大丈夫。誰かが助けに来る。それまでの辛抱だ。」
私は自分に言い聞かせるように言う。
神恵さんは答えない。
さて。
どうするか・・・・・。
絶対絶命ってか・・・・・
私は小さく言う
「神恵さん・・・ゆっくり・・・・後ろに下がって。」
神恵さんは困惑した顔になった。
「いいから。」
私がそういうと困惑しながらも指示に従った。
その時私は神恵さんを気にしていた。
だから、神恵さんに関わりたくなかったのに・・・・・
奴に私は気づかなかったんだ。
「あ!!」
神恵さんに声で視線を奴に戻す。
その時既に私の目の前には奴が居た。
私は浮遊感を味わった。
耳元で大きな音がする。
腕と背中に激痛が走る。
「きゃぁぁぁああぁぁああああああああ!!」
神恵さんの悲鳴が聞こえた。