ノア
レクリエーションは一言でいえば暇だった。
神恵さんへの質問の会みたいな?
神恵さんへのアピールタイムみたいな?
残念ながら神恵さんに興味のない私は暇だった。
一時間ボ~っと見てた。
私は神恵さんを見ていて・・・・ふと思った。
・・・・・・おかしい。
普通、男共が全員神恵さんにだらしなく鼻の下伸ばすのなら分かるが・・・・
分かりたくないなぁ・・・・
いや、そうじゃなくて。
女の子たちが嫉妬の目で神恵さんを見るわけでなく、
逆に女の子たちも鼻の下を伸ばしているのだ・・・・・・でろんでろんに。
・・・・・だらしないぞぉ~。気づけ~。神恵さん引いてるぞ~。
普通はあり得ない事だ。
女の子にも男の子にも好かれる体質でも全員はおかしい。
そこで私はある一つの答えにたどりついた。
あぁ、そうか。
神恵さんは『特質』なんだ。
私は納得した。きっと『魅了の特質』だ。と
特質とは『特別能力体質』の略であり、私はその人たちの事をノアと呼ぶ。
普通の人は持っていない特別な能力を持っていることから『神童』だ。
となり、ノアと呼ばれるようになったらしい。
ここの、特別科は特質が通う学科だ。
特質には大人になっても残るタイプと大人になると消えるタイプがある。
消えるタイプの特質は成長するにつれ弱まっていくらしいので、
高校でも発揮するのは大人になっても残るタイプらしい。
だから、特質の正しい使い方について学ぶんだって。
どうでもいい。
でも、この例は珍しく少人数しか通ってないらしい。
生徒会は中でも特質が特に強いものばかりで構成されているらしい。
先生たちの監視下のもと生徒を監視し秩序を守る。とかんとか。
自分たちも監視されてんのにね。
まぁ、とりあえずお近づきにはなりたくない。
神恵さんも同じく。
彼女は気づいていないだけで特質なのだろう。
それならば納得がいく。色々と。
だれか気づけよ。
おーい。桜庭先生。貴方生徒会顧問でしょう。
つまり、特質でしょう?気づけ。特質混じってんぞ。
なーんて、思ってたら授業の終わりを知らせる音が耳に入ってきた。
本日はこれにて終了ってね。
さぁ、帰ろー。笑顔で帰ろー。
★ ★ ★ ★ ★
「さっくらばせんせぇー!!」
そう言いながら手をブンブン大きく振り走ってくる男子生徒。
「お前か。どうした?」
その生徒はピョンピョコ跳ねる様に言う。
「結局どうだったのかなぁ?って、マー君がね。聞いて来いって!!」
「あぁ、神恵 舞鈴のことか。」
「そうそう!」
「俺が見る限りはその線で間違いないと伝えてくれ。」
「は~い!」
そう元気よく返事をして、そのまま走り出そうとするのを俺は留める。
「待て。頼みがあるんだ。」
「なぁに?大事な事??」
「あぁ、少し気になる事があってな・・・・・調べてほしんだ。」
俺が用件を伝えるとその生徒は一瞬驚いた顔をしたが、
にこっと笑って「伝えておくよ」と言って去って行った。
「さて、当りかハズレか・・・・・・」
少年の後姿を見送りながら呟いた俺の声は風に消えていった。