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御伽噺と世界の真実
ふわふわの巻き毛に白雪の肌。零れ落ちそうな程丸く大きな潤んだ眼で夢を見る。愛らしい微笑みでころころと上品に笑うのは、ピンクのドレスのお姫様。
大きな剣を軽々と操り、正義を背負って人を助ける。どんな敵を前にしようと挫けることなく立ち向かうのが、勇猛果敢なヒーローである勇者様。
民衆の羨望を集めるこの二人の物語と言えば、魔王に拐われた無力な姫を勇者が数々の苦難を乗り越え助け出す英雄譚。
最後に二人が結ばれて、めでたしめでたしで終わる、ありがちだけれど幸せな物語……だったのだけれど。
物語はいつも、型通りにはいかないもので。
現実はいつも、思い通りにはならないもので。
どんなお話でも唯一変わらないのは、主人公には数多くの苦難が押し寄せる。
これだけである。