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転生の間にも三年【異世界で成り上がる予定なので美少女達と事前準備(意味深)しまくります】配慮版  作者: 星野林
見習い貴族

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第92話 地竜討伐 上

 あっという間に1週間が経過し、俺とメアリー、アキ、シュネの4人は地竜討伐に行く準備を整えた。


 そして約束の日、俺達が辺境伯様の屋敷に行くと、デーニッツさんが出迎えてくれた。


「地竜討伐に行く前にバイパー様が坊主や嬢ちゃんらに挨拶しておきたいってさ」


 デーニッツさんの案内でバイパー様の寝室にお邪魔すると、顔色の悪そうな青年が大きなベッドで本を読んでいた。


 俺達に気がつくと、本を読むことを止め、体を起こして目線を合わせる。


「初めまして、ケッセルリンク騎士伯の皆さん。フォーグライン辺境伯家のバイパーと言います」


「は!」


 俺達は即座に臣下の礼節を取る。


「いやいや、それは父上である辺境伯や皇帝にやることです。ただの病人にやる必要はありませんよ」


「失礼しました」


 俺達は立ち上がると、地竜を討伐し、素材を持ち帰り、必ず回復させますので、なるべく安静に過ごすようにお願いする。


「ワイバーンを何百体も倒している君達にデーニッツも居る。僕は特に心配はしていないよ。正直君達が現れてくれて助かったと思っているくらいだ」


 病気が治ることに喜んでいるのかと思ったが、バイパー様はどうやら違うらしい。


 喜んでいるのは父親であるフォーグライン辺境伯様がバイパー様の病気を治そうと軍を動員して地竜討伐を計画していたという話が無くなった事らしい。


「魔物の領域に大軍で突っ込んだら、どれだけの犠牲者が出ることやら……僕の為に臣下達を危険にあわせるべきでは無いと忠告していたのに耳を貸さなくてね。それがケッセルリンク騎士伯達が現れたお陰で父上も理性を取り戻してね。お陰で僕も安心して療養することができる」


「そんな事が……」


「デーニッツ、ケッセルリンク騎士伯の皆さんはまだ若い。もし命の危険に陥ったら、彼らの命を優先して欲しい。僕が治るよりも彼らを育て上げるほうが辺境伯家にとって大きなメリットになる」


「必ずや」


「うん。ケホケホ……少し喋りすぎた。一度僕は眠ることにするよ」


「ありがとうございました」


 俺達は部屋から退出すると、そのままの足で辺境伯様とフレデリック様に挨拶しに向かう。


 逆に辺境伯様からは失敗は許さんぞと念押しされてしまったが、デーニッツ様曰く、地竜はワイバーンと同等、やや強い程度で、ドラゴン種の中では弱いらしい。


 だからあれだけワイバーンが狩れる実力があれば負けることはないだろうが、問題は魔物の領域の奥まで行かないといけない為に、道中、飛行魔法を使うと、沢山の空飛ぶ魔物に囲まれてしまう為、地竜の居る魔物の領域に入ったら、地上を進んでいくしかないらしい。


「ただ幸いなのが、魔物の領域も滅茶苦茶広いわけじゃねぇ。出てくる魔物もオークの変種がせいぜいだ。だからこそ初日は魔物の領域近くまで移動し、拠点を作成。翌日にアタックを仕掛けて討伐を狙う。討伐できるまでそれの繰り返しだな」


 作戦も大雑把ながら決まり、場所についての説明を受ける。


 ここハーゲンシュタットの町から東に徒歩で1週間進んだ位置に地竜の居る魔物の領域があるらしく、地竜がそこのボスをしているらしい。


 魔物の領域は基本ボスの魔物を討伐すれば他の魔物は新しくボスの魔物になるため闘争を開始するらしい。


 全体が弱ったタイミングで魔物狩りを大規模で行うと、魔物の領域を解放することができるらしい。


 だから俺達も地竜を倒した後は魔物をなるべく多く狩って欲しいとも辺境伯様から言われた。


 その魔物の領域が解放されれば、ハーゲンシュタット近くに数千人の食料を賄える畑を作ることができるので、それも騎士としての仕事らしい。


 というより長男のバイパー様が完治すれば、解放した領域に次男のフレデリック様の領地として、辺境伯本家を支える分家として相続させたいのだという。


 貴族だから色々考えているんだなぁ……。


「一応食料は1週間分用意しておいてくれと言ったが、準備はできているか?」


「はい、異空間内に蓄えておきました」


「そうか、では移動するとしよう」


 俺はアキを背負い、デーニッツさんを先頭に飛行の魔法で町を出発する。


 ただデーニッツさんの飛行速度は俺達に比べて時速100キロくらい遅い。


 メアリーが


『デーニッツさん、ちょっと速度遅くないですか?』


 飛行しているので、念話で質問すると、デーニッツさんの魔力量的に、これ以上高速だと魔力の燃費が悪いらしい。


 仕方がないので、メアリーにアキを乗せ換え、俺にデーニッツさんが乗ってもらい、飛行編隊を俺が先頭に移動して、一気に速度を上げて飛行する。


『坊主、そんなに飛ばして魔力持つのか?』


『これくらいの速度が俺達の巡航速度です。それに徒歩2週間程度の距離の移動なら魔力の使用も5%以下程度でしょうし』


『どんだけ魔力があるんだよ』


 デーニッツさんも呆れている。


 飛行すること約1時間半、350キロくらい飛んだら地竜が住まう魔物の領域に到着した。


 350キロというと東京から仙台に行くまでの距離であるが、南部の全域を統括する辺境伯の管轄地域は中国全土くらいの広さを誇る。


 ただこのうちの半分が魔物の領域なので、地図上では帝国に存在する4つの辺境伯家や公爵といった大領を保有している家の中でも1、2を争うくらいデカいが、人口はそれほどでもないというのが現状である。


 まぁ帝国があるオーストラリアみたいな形をした大陸の広さが地球のユーラシア大陸よりデカいし、そのうちの3分の1が帝国の領土なので、帝国全土を地球で表すと南北アメリカ大陸とオーストラリア大陸を足したくらいの広さがあるのでね。


 なので350キロ程度だとまだ近い判定だ。


 それに乗り物として巨大な魔石を用いた飛行船が運用されているし、通信魔導具を使うことで、遠方の領主とも緊急時には話すことができるので、思ったより距離感は無い印象である。


「到着」


 地竜の居る魔物の領域をデーニッツさんは狭いと言っていたが、上空から見た感じ、東京都23区くらいの広さがあるんだが……。


 狭いの感覚バグってるだろ……。


 1日で巡れる広さじゃねーだろと心の中でデーニッツさんに突っ込みを入れるが、最初に拠点を作らないといけない。


「よーし、テント設営するぞ」


「あ、異空間に事前にテント建てたの仕舞っているので、それ出しますね」


 アキとシュネ、メアリーが直ぐに近場を数秒で整地して、空間ができた所に、長期冒険用として用意していたゲル(巨大な円形のテント)を出す。


 ちゃちゃっとゲルの周囲に土魔法でゲルのカバーが飛ばないようにレンガを積んで重しにして固定し、雨が降って水たまりができないように排水路を整備しておく。


 あと土魔法で石壁の小屋を作り、そこに魔石で動く水洗トイレも設置しておく。


 その隣にシャワールームも……。


「空間魔法があるだけで、冒険ってこれだけ楽できるのかよ……あ~俺の冒険者としての常識が崩れるぜ」


 とか言いつつも思ったより快適な生活ができそうだとデーニッツさんは顔を綻ばせていた。


「思ったより早く到着できたし、拠点設営も時間がかからなかったから、軽く偵察しておくか。お前ら魔力はまだあるな?」


 特に問題無いと俺達は答える。


 というわけで偵察がてら魔物の領域に足を踏み入れるのであった。



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